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人生の死の行軍を思いつつ

人口動態統計を見る度に、歳を重ねるに従い、人口数が減っていくことを若いときから人生の死の行軍と思っていた。実際に訃報が歳とともに増えてきて、上の世代から自分たちの世代に移ってきたのを知ると、海に尖端を張り出した岬のように生命の置かれている場所が益々狭くなっているように感じている。

数年前から工合が悪いということが年賀状に書いてあり、案じていたら、昨年にその家族から訃報が届いた。ひとりひとり友人の顔を思い浮かべるが、病のない友はいない。会えるときに会っておこうとそんな気持ちになる。

わたしは、スマホを手に取って、温かくなったら逢いましょうとメールをする。すると温かくならなくても会おうという返事が来た。皆同じような気持ちなのかも知れない。人生をともに歩いた人たちよ、今を大切にして、会えるときに会おうではないか。

誰しも、いつかは簡単に会えなくなる体になるだろう。そんなときには、ひとりひとりの友の顔を思い浮かべながら、友と会い話した思い出を糧として生きていこう。明日のことは気にやまないように。死の行軍ばかり考えいては生きてはいられない。大切なことは、ただ今ある命を大切に楽しく生きていくことだ。実体のあるのは現在だけ、それがすべてだから。


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