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たまねぎの下のユーフォリア

まーたアニメの話なんですがアニメばっか見てるひきこもりなので今日は「推しが武道館行ってくれたら死ぬ」という知らない人には若干物騒なタイトルのやつ。原作コミックは漫画関連の賞とかにもランクインしてたりしてますね。とはいえ10位以下なのか意外と低いのね。

原作はこちらのサイトで読めます。アニメ見てから読んでみたけど、ほんと可能な限り原作に忠実にアニメ化されててすごい。忠実にしながらアニメらしい演出も加えられてるし。

岡山の地下アイドル「ChamJam」の一番不人気な子「舞菜」に惚れ込んでしまった強火オタの女の子「えりぴよ」が主役で恋として描かれてはいるけど、あくまでガチオタとファンと友達みたいに仲良くなりたいけどダメだよねって感じだからその辺は曖昧。他のメンバー間の方が百合百合してる。とはいえ両片思いというすれ違いの切なさとか歯痒さが描かれてます。
原作の方はコメディではあるんだけど繊細なタッチの絵で結構独特な間を持った静かな感じで描かれてて、その辺をすごく大事にしてアニメにされてるなぁと。アイドルものではあるけどオタクの方をメインに描いていて、かつオタクの不快さとかをオミットして真剣に何かを好きになって入れ込んで応援して楽しんだり悲しんだりすることの良さも悪さも純粋に描いてるな〜と。

俺はあくまで軽度なオタクだと思うんですが、ドルオタにはなったことなくて女子プロレスとかでもチェキとか握手とかちょっと二の足を踏む人間だったりするので、アイドルもののアニメは見てもキャラへのガチ恋とかもないし「推し武道」も自分に向いてないんじゃないかな〜と思ってたんですが、やっぱり純粋に何かにハマるっていうのはジャンルが違っても楽しく見れました。そういう何かを楽しむことの大切さを描いているからだと思う。

あと俺はちょっとだけ仕事でアイドルの現場を見学に行ったことがあって、色んなグループが出て投票で競うやつだったんですが他のアイドルのステージを見てるあるグループのセンターの子が目の前にいてすごい真剣な顔してて、もうすぐ出番だったので他のメンバーが心配になって迎えに来たらなんかめっちゃ緊張してたみたいで励まされたりしてて(うわ青春だ〜、ドラマみたい)って思って、アイドルのアニメとかでも描かれてるようなことが実際にあるんだなと思って、それ以来こういう作品を見るたびに思い出しちゃう。

で、冒頭にはっつけたこのアニメのOPの曲がめっちゃ良くて、歌詞も深いなぁと。歌詞と映像のリンクもこだわりがありすぎて、すごいんですわ。個人的にはコーラスの「揺れて」のとこだけ百回くらい聞き返してもいいくらい好き。

下にリンクしてある対談でも語られてるようにこの曲は「ChamJam」が作中よりもっと成長して武道館に行けるくらいになった頃の曲というコンセプトで作られたそうで、だから曲のクオリティも高いし歌唱も洗練されてる。それでも作品としてはメインなはずの舞菜のパートが少ないっていうのはこれもすごいこだわりだと思うけどw

クローバーって言うまでもなく四葉のクローバーで有名なシロツメクサなんですが、実際シロツメクサ摘んだことある人ならわかると思うけど指に摘んでクルクル回しちゃうんですよね。それが傘を回すのと似てるから四葉のクローバーに願いをかけながら相合傘を想像してるという情景が浮かぶの詩的な表現だなと。

歌詞で「君の傘なって」とあえて「傘に」としてないのは「重なって」とも掛けてるんでしょうね。肉体的な意味だったらエロいですが、ここでは「願い」を重ねるという意味でしょうね。アイドルの「武道館に行きたい」とオタの「武道館行って欲しい」という。
この歌詞「会いたい」とか「言葉を伝えた」っていうのでオタ目線なのかなって思っちゃうけどアニメの方を見ればわかるけどアイドル側からオタへの気持ちの歌でもある。どっちの目線でも読めるようなとこも多いからダブルミーニングなところもあるんだろうけど。「会いたい」は「会いにきて欲しい」ということで、何の気なしに握手した相手に「シンプルな言葉を伝えた」で沼に引き摺り込むのかなとw

OPでは流れない歌詞の最後の方に「教えたい君の存在を」っていうのは地下アイドルを布教したいオタの気持ちっていう方がわかりやすいんだろうけど、これがアイドル側から「私たちのファンはこんなに素晴らしい」っていう言葉だとしたら、まあファンは卒倒しますよねっていう。
だから、もしこの曲を武道館で歌うってことがあったら、玉ねぎのついた傘の下でえりぴよと舞菜が相合傘になるんだなってのを想像しちゃうと泣ける。

ちなみにEDは♡桃色片想い♡のカバーでしかもアイドルではなく、えりぴよが歌っているという意外なものなんですが、これもいい。EDは絶対飛ばさないで見るのがこの作品の楽しみ方。見た人ならわかると思うけど。

そのOPとEDに関する裏側も語られてるこちらの対談も必読。

アイドルではないけど武道館でのライブは何度も行ったことがあって、俺が見たことあるのは海外のバンドばっかりだから「武道館が目標」って地道にやってきたグループはあんまり見たことないし日本のバンドでも武道館より先に大きいとこでやってるバンドばっかりだったけど、それでもやっぱり武道館は特別なんだなぁと感じたし、地下アイドルが武道館立ったりしたら本当にすごいんでしょうね。

そしてClover wishの歌詞にあるユーフォリアというのは「多幸感」のことなんですが、ライブに漂うあの多幸感も念願の武道館という場所ではやはり特別なものだろうし、早くまたそういうものが当たり前ではないけど当たり前に感じられるようになって欲しいですね〜。あと2期も待ってます〜。


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