#NovelJam 開催前日に、新城カズマがいろいろメモるのこと(無料閲覧可)&アイデア集(ほぼ有料)


S「とゆわけで、いよいよ前日というかほとんど前夜なのですが」

M「準備はできたんですか。ていうか何を準備するもんなんですか、このイベントって」

S「まあ、通いで二日間カンヅメになると思えば新城にとっては『わりといつものこと』なんだけど……2つだけ異なるポイントは『担当編集が誰だか事前には分からない』『アイデア持参はOKだけど前もって書いたものを持ってくるのはダメ』ってところだよね」

M「僕も要項というか基本ルールを通読しましたけど(←わりとゲーム好き)、ようするにそこですよね。即興性……従来の小説作成作業にない化学反応を期待してるっていうか」

S「新城としては『グラップラー刃牙』の地下トーナメント編を思い出しちゃったけどね」

M「わはは。さしずめ新城さんは『協会(=他社の担当)には内緒だーっ!』の立場?」

S「どひ〜。すみません仕事します。ていうかそんなに偉くないですよ。新人作家の新城でーす♪」

M「冗談はさておき、その即興性のところでひとつ気になってるんですが……制作過程をネットでツイートしても大丈夫、と公式Q&Aにありまして」

S「あ、現地で随時つぶやく予定ですよ」

M「で、それを観覧してる我々の反応もツイッタ等にあがるとして……その反応を作品に取り込むことで即興性(というか『ほんとにその場で考えつつ書いてますよ』ということ)を保障しようということですよね、これって?」

S「うーん上手くいけばそうかもしれないけど」

M「でも、たとえば、ある程度のとこまでアイデアを練って、プロットとかキャラとかエンディングとかを途中まで(もしくは大部分)作っておいて、それで当日は『ネットの反応』をちょいとまぶして完成……なんてことも出来なくもないですよね?」

S「でも担当編集との協議でネタを決めるんだから……」

M「じゃあ持参したアイデアが二つしかなかった場合はどうです? 1/2の確率でどっちかを書くわけですよね。ていうか、二つだけアイデア持っていって、どちらもあらかじめ半分くらい作っておいて……という方法が」←かなり古参ゲーマーらしい

S「いやまあ原理的にはそうだけど」

M「つまりどうやって即興性を担保するのか?てことなんですけど」

S「そうだなあ……(半日ほど考える)……よし、こういうのはどうだ:もちろん新城もアイデアを持参するんだけど、たくさん持参する

M「ん?」

S「でもって、担当編集と協議の上でどれを書くのか決める。持参アイデアはたくさんなので、ぜんぶについて準備したり『下ごしらえ』してる暇は当然ない。どれを作品化するかは当日の打ち合わせが終わるまで——たぶん4日の夕方くらいまで——は、新城自身にも分からない。さらにこのアイデア群は事前に公開しておく」

M「ほほう?」

S「どう?」

M「……いくつくらい持ってくつもりなんです、そのアイデア?」

S「えーとちょっと待ってね」……パソコン内のメモを検索中……「よし、こんなもんかな。今回のお題『破』の文字を用いてるor近い内容のメモ書きのうち、まあ短編にできなくもないやつを集めて——総計64個だ」

M「げふっ」

S「これなら即興性が、かなり担保されるんじゃないかな?」

M「ちょちょちょっと見せてくださいそのメモ」

(……数十分経過……)

M「これ——このまま読み物として売り出したらいいんじゃないですか?新城さんのファンというかマニアには垂涎の」

S「ん?ああなるほど、それも面白いな」

M「そうですよ、ぜひ!」




というわけで——

今回の #NovelJam に合わせて、急遽アイデア集を以下に販売したいと思います:

基本的には、

1)ご意見ご感想は下のコメント欄にいただけるとありがたいです

2)新城自身が今後作品化するかもしれないネタなのですが、まあさすがに全部を書き上げるとも思えないので(そもそも今回持参しないアイデアも数百個あるので^^;)「このアイデアを自分でも書いてみたい!」「ぜひこのネタで一本書いてください!」等という場合も、コメント欄にご連絡ください:個別&前向きに対応したいと思います

3)大ネタや「高い確率で新城が今後作品化するネタ」については一部最小限の伏字がしてあります、あしからず

4)冒頭の幾つかは特別記念セールということで、読めるようにしておきます

てな感じで……

S「さてはて明日のジャムはどうなる!?刮目して待て!」

M「そういえば天気は大丈夫なんですかね:ここで豪雪となったら文字通りのカンヅメ…」

S「どひー」




****以下、アイデア・メモです****

01:最新鋭の自動思考兵器、故障して動けなくなる

敵に鹵獲されるよりはと破壊しようとするが、頑丈すぎて破壊も分解もできない

以下どたばた

02:NSAの集めたデータを「未来の考古学的史料」として冷凍保存することを求める過激データ主義運動>>連邦ビルを爆破

03:ファンタジー戦記

強力すぎる竜族の支援をとりつけた帝国・王国同士の戦さ…は、竜の破壊的攻撃力をおそれて散兵戦術に出るため、火力集中も機動戦術も使えず、かえってgdgdな万年膠着戦線になってしまう

cf.核戦略時代の最前線砲兵運用

http://stanza-citta.com/bun/2011/12/29/1063

案外、竜族はその結果を予測しきったうえで力を貸しているのかもしれない

竜族の炎に焼かれた獣は知性化し、逆に人は野生化する???

04:ルシファにも神にも味方しなかった「中立天使たち」その後…教会から破門された人々&その子孫を、(暇なので)自主的に見守る「職務」につく?

05:破壊力も影響も不明の「新型爆弾」を落とすことになった乗組員&科学者についての短編

その後の「影響」はカフカ的ラヴクラフト的バロウズ的

「言葉にあらわせない大惨劇」を科学的に描写する言語実験

06:T・E・ロレンス、コクトー、プルースト、ケインズ、ホーチミン(ただし皿洗い)がすれ違う講和会議中のマジェスティック・ホテル@1919

@

07:巨大な開放系養殖場で「密漁」していたサンティアゴ氏(実話)

@

08:天才監督が生涯をかけた大作、ついに未完成のまま……脚本最終稿・絵コンテ・撮影済みのフィルムの山は、相続人から保険会社へコレクターへ密売人へと流れ流れて、世界中に散在……それをかき集めて「完成」させようとする映画人たちマニア富豪たち、法廷闘争と破産陰謀劇、どっと集まるメディアとSNS群衆、等のせいでかえって映画は完成から遠ざかる……

09:19c末に難破したクレイトン一家が、7万年前のアフリカに漂着して現生人類とは別系統の人類(猿人)と接触、一人息子は生き延びて猿人の王となる……が、たびたび19cの「列強に侵略されつつあるアフリカ」の夢に悩まされ、王国を離れて沿岸部へ戻ると、そこで白人たちと遭遇:

19c暗黒大陸に食らいつく欧州蛮人と7万年前の先史文明王国(崩壊の危機)とを往還しつつ二つの「文明の終わり」を食い止めようとする若き王クレイトン二世、そしてかれに力を貸すインド人青年ガンジー

もしくは、

 一家漂着>>夢の中で7万年前の猿人王国に至る>>両親が夢の中で死亡、一人息子は猿人の王となる>>王は夢の中で列強植民競争時代のアフリカに至り、さらにはロンドンへ渡って白人の侵略と戦いジェーンやガンジー青年と出会う

10:Napoleonic帆船戦闘小説×南海の孤島に難破船員たちと原住民女性たちがつくりあげた「言語以前のユートピア」を支配する獣と密林と海洋の王者 ……ふたつのまったく異なる時間の流れ、世界観、環世界

11:人工知能+ドローンによる戦争……が社会の性道徳・倫理を変容させる:それまで黙認されていた「人工知能との性愛」が禁止され、「自然人」と「自然人のために戦い破壊される物体」との峻別が政府によって強制される>>叛乱もしくはレジスタンス

12:合衆国次期政権の親露政策への転換後、現場のエージェントたちが勝手に/オバマ政権への忠誠心からrogueに走り、世界各地でヘンテコ事件&未遂が相次ぐ(が米露首脳は「何も起きてまへん」と言い張る)……という可能性

第一次世界事変?

13:排除アートが進化して「排除美少女」に

14:地球に漂着して退化した異星人たち(の子孫):未開人状態か、それとも生物学的に獣にまでもどっているか……数種類が並存?

「さいきんながれついたやつら」はまだ言語を保持しているが、それ以前のものたちは野生化し順応している

かれらの四季をシートン/ファーブル的に描く?マタギ(に弟子入りした若い女性)との「交流」

15:YHWHの介入逸話部分を削除すれば、エデンの園の神話は「聖蛇神による人間のレベルアップ」物語になる……

「合衆国建国の父」のひとりが「編集」した(はずの)創世記、として

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16:現在製作中の書籍を予約注文できる機能…が更に充実して「刊行未定」「執筆未定」「未だ存在しない」本も注文できるように

ついには「未だ生まれていない大型新人作家」のデビュー作も

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17:侵略者文学としてソロー『ウォールデン』を(『宇宙戦争』等と並行で)再翻訳する……もしくはそのように読み直している読書会の人々についての話

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18:弱者貧困などの社会問題に特化した美少女アイドルグループ、BigIssueなどの社会派雑誌でのみグラビア写真

撮影会もダーク・ツーリズムやソーシャル・アントレと提携した「その場で何かを解決する」形式で

19:架空の/虚報の商品に対して世界中が絶賛悪態を投げつけているうちに、それ自体が巨大産業になってゆく

20:人工知能+ネットの情報キュレーションによって半自動生成される「お手紙やりとり型異世界物語」……が、あるとき突如として不安と恐怖にとりつかれデマゴーグを王国の頭領に選んでしまう:そのありさまを物語内の「親友」から手紙で聞かされる現実世界の少女が、なんとかして「物語の中に入ろう」として奮闘し……

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21:ロビンソン・クルーソーが発見遭遇したのがフライデーではなくてキャリバンだったとしたら……

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22:街で突然「招待状」(時計など)を渡されて、指定場所時刻に行くと一流シェフが(趣味で)ひらいている「店」にたどり着く……というsecret private restaurantの実話^^;をヒネって——小説家たちの秘密ジャム・セッションに「招待」された読者の話

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23:十数年前にコンタクト開始した(天使のように美しく純真な)異星人種族への性愛欲求を抑えられない一部の人間たち…が人類社会全体から迫害され罪の呵責に怯えながらもひそかに生活している。あるいは公然と人権を請求して排斥される。強姦事件、誘拐事件、殺害と食異星人事件。等々。

かれらを取材した**********という体裁の小説。

@

24:地下出版等で弾圧され焼却殲滅され続けてきたキャラ類型の歴史 を、そのキャラの一人称で描く……幾度も殺され拷問にかけられ、意に沿わぬ「語り」を強要され、それでも同じ「私」が生き延び続ける。 倒錯的な拷問ファンタジーとして

25:愛してくれる相手が近接していれば/いる間だけ賦活する不死者……遠ざかればor心が離れれば骸に戻り次第に腐ってゆく

@

26:未知の超垂直洞窟を発見/発明しつつ地球の中心方向へ進んでゆくcaverたち:目の前の異様な超洞窟という「事実」を前にして、進めば進むほど次々と「新しい地質学理論」を考えつかねばならなくなる……ハードなサイエンスの前にまずは異様な事実があるのだ

 +

ヒマラヤ山塊には、対応する地下部分があるはず(海洋プレート等との比重の関係で):その「超深度地底山塊」の中に巨大な空洞生態系があることを、科学者が(海洋&マントルの熱入出データから)確信する

27:地球に襲いかかってくる異星人と戦う(ことになっている)巨大戦闘兵器を操縦する少女戦士たちの日常……が、なぜかまったく戦闘もなければ軍事的でもなく、ひたすら合宿訓練・広報活動・CM撮影・総選挙・握手会・センター位置の争奪戦……などで「毎日がんばっている」ことをアピールするだけで、機密情報なので市民は巨大戦闘兵器の実物を見たこともなく(ただしCGは毎日報道されている)、最終的には政府要人向けの高級売春であるらしいことが読者には読み取れるが物語世界内の読者はまったく気付かないままのネット匿名暴露サイト書き込み&コメント欄の炎上

28:己の愛していた/生活の中心であり続けた美しい幻想恋愛ロマン文学(長編連作)の世界が、じつはすべてまるごと二次大戦〜冷戦のあいだ二重スパイが暗号を届けるために書き残したもの、と知らされる読者たち……は、その後どうするだろうか?

29:赤死病の仮面vs青髭公爵

30:滅ぼされた先住民族の言語体系だけが、滅ぼした侵略者たちの子供たちや女たちを経由してひっそりと浸透してゆき、いつのまにか侵略言語と並存共存している、という幻想短編案

いくら滅ぼそうとしてもいつのまにか「繁茂」している

31:あちこちの書店の中で短期限定で「ショテン」を請負で開いては、次の街へと旅立つ「旅する本屋の主人」……の話

32:アモンティリャードの書庫もしくはLibrary of Innisfreeに、自らを埋め込む幸福な愛書家

33:大戦の末期に国内少数民族を大虐殺……したがトラウマが大きすぎて集団的健忘症にかかった都市

34:「書籍・書物・物語のための薬局」……古くなった書籍修繕から、小説アイデアの完成までを手伝う薬剤師まで、あらゆる段階の「手助け」が揃っている

35:「それは無根拠の幻想でなければならない、という無言の圧力」をかけられ続ける物語ジャンル、の一人称物語

36:小説の定義を決めるTRPGのルール、という体裁の短編小説

@

37:ヒトという種が(この数万〜数千年でやたらに)増殖した理由は、知性の進化論的優位ではなく、単に男性の暴力化促進→女性に妊娠と出産を強制する「おそろしい文化」の成立→人口増加による「ましなアイデアを思いつける人間」の確率的増加→さらに次の人口増加に、という暴走なのでは?

ティプトリー「ラセンウジバエ解決法」への返歌として

@

38:「たくさんの可愛い/けなげな女の子たち」が、ばたばたと全員死んでいってしまう物語

 全寮制の女学校、東欧のような小国。ある日政治の怠慢と大人たちの腐敗無関心によって経済崩壊と内戦が始まる。戦渦、あっというまに空爆の日々。女学生たちの半分が死亡。残るヒロインたちはがんばって瓦礫と空襲警報と銃弾の雨の中を生きてゆく/義勇兵として戦うが、一人また一人と倒れ、全員が死んで物語は終わる。

彼女たちのうちの一人が勇気を振り絞るために考え出した「神話」の発達と増殖……「どこか、遠い東洋には、信じられないくらい平和な国があるのよ:そこでは若い娘がひとりで暗い夜道を歩いていても殺されないし、お金を入れればおいしい飲み物が出てくる自動機械が道端のあちこちに並んでいるの……」。その「神話」が************かどうかは読者には分からない。

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