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人口の半数が「移住者」? 北海道東川町

(2019/01/23付Facebook投稿記事を一部加筆して転載。2020/05/04に一部修正)

長期の移住者比率が56.6%に

 移住先として人気が高い北海道東川町で、この四半世紀の間に転入してきた人の数が、それ以前から住んでいた人の数より多くなっていたことが分かりました。移住・定住に力を入れている同町だけに、住民の2人に1人が新住民というのはインパクトがあります。もっと知られてよい数字だと思います。

 東川町定住促進課によると、昨年(2018年)8月に移住者の動向を調べる機会があり、18年8月9日時点で住民基本台帳を精査したころ、総人口8366人のうち4738人が過去25年以内に転入した「移住者」でした。全町民に対する移住者比率は実に56.6%に上ります。

(※2020/05/04訂正)上記調査は法政大学大学院の水野悠希さんが論文執筆に当たって東川町に協力を求めたのがきっかけです。また当初原稿で「過去20年以内」の移住者比率を56.6%としたのを「過去25年以内」に訂正します。水野さんからご指摘をいただきました。なお東川町定住促進課は2020年4月1日の機構改革で税務定住課に改編されました。

 「移住者」というのは実はあいまいな言葉で、自治体によって「過去3年以内に転入した人」「過去5年間」「転入して3年以上定住している人」など、さまざまに解釈されています。東川のように25年くらいの長期で「移住者率」を考えるなら、道北の拠点都市である旭川市や、さらには札幌圏や首都圏など都市部では相当に高い数字になると思われます。

 ただ東川への移住を希望する人は近年ますます増加傾向にあり、「人口の半数以上が移住経験者」であるという事実は、新しい土地での人間関係を心配する移住希望者には心強いアピールになると思います。

きっかけは大規模宅地造成

 東川町では1994年(平成6年)ごろから民間が、翌95年からは町の土地開発公社も加わって大規模宅地造成に着手し、2002年(平成14年)ごろまでに、500区画を超える宅地を販売、完売しました。これにより高度経済成長期から続いていた人口減少に歯止めを打ちました。2000年代に入ってからは、写真の町づくりをはじめとする独創的な事業が評価され、日本全体が人口減少社会に向かう中で、逆に人口が増加する町として知られるようになりました。

 「日本全体が人口減少に向かっている中、なぜ東川町は人口が増えたのか」という疑問を解明する作業は難しいながらも面白く、私も編さんに関わっている東川町史第3巻(1994〜2018年度)でも中心的なテーマになっています。

 まだPDFでしか公開されていないためスマホでは読みづらいですが(将来的にはepub化を検討中)、よかったら下記リンクから読んでみてください。2020年4月時点では「人口8千人からの挑戦」まで公開しています。

https://town.higashikawa.hokkaido.jp/special/town-history/

 直近の2020年3月末時点の人口は男3852人、女4371人の計8223人。

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