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東川町は引き続き人口増加基調 2020年末は前年比57人増の8437人

半世紀ぶりの8400人台

北海道東川町の人口は昨2020年12月末時点で、前年比57人増の8437人でした。年末時点で人口が8400人台を回復するのは、高度経済成長さなかだった1968年(昭和43年)12月末の8496人以来、実に52年ぶりです。

内訳は日本人が8054人(前年比65人増)、外国人は383人(同8人減)でした。新型コロナウイルスの影響で留学生の入国が困難になり、外国人の定住人口はわずかながら減少しました。半面、日本人の転入は堅調でした。

分譲地が完売

町税務定住課によると、日本人の人口が増加した一番の理由は、町土地開発公社の分譲宅地ウェストヴィレッジ(全34区画)が2020年中に完売し、旭川市を中心に道内外から多数の転入があったことだそうです。

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(住宅の新築が相次いだウェストヴィレッジ=2020年4月)

ただ前年比57人という増加幅は、近年では多くも少なくもない水準でした。コロナ禍をきっかけに、人口過密な都市部から「地方」への移住が進むといわれましたが、「コロナ初年度」の昨年だけでは、さほど大きな人口増にはなりませんでした。大きなトレンドとして都市から地方への人口逆転が始まりつつあるのは間違いないとしても、顕著な動きとしてい出てくるのはまだもう少し時間がかかるのかもしれません。

不足する住宅

また以下は筆者の推測ですが、特に東川町の場合、独自のまちづくりが評価されて移住希望者は増えているものの、需要に見合うだけの宅地や集合住宅を供給できていない面があると思います。その理由は以前に考察したことがあるので、興味のある方は下記リンクからご覧ください。

実は東京より狭い東川町 移住希望者は住宅探しに一苦労

一方、こうしたゆるやかな人口増加も、ほどよい人口規模である「適疎(てきそ)」を目指す町の政策の帰結という側面があります。田んぼをつぶせば宅地はいくらでも造成できますが、やみくもに人口増を追求するのではなく、基幹産業である農業や豊かな田園風景を大切にするまちづくりの姿勢そのものが、高く評価されていることも付記しておきます。

東川町の人口は日本の高度経済成長が始まる直前の1950年(昭和25年)ごろに1万人を超えてピークに達した後、減少に転じ、バブル経済崩壊後の1993年(平成5年)ごろには一時7千人を割り込みました。

ただ94年から少しずつ人口が増加し始め、2014年11月に当時目標としていた8千人を40年ぶりに回復。年によって増減はありますが、以後も人口増加基調を維持しています。

東川町がなぜ人口増を実現しているかについては、筆者も執筆に携わっている東川町史第3巻で分析を試みています。ぜひご覧ください。

定住人口の推移 グラフJPG

定住人口の推移 表JPGグラフ


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