見出し画像

旭川圏、札幌圏とも落ち着いた状態〜4月第3週のお悔やみ件数

4月第3週(15〜21日)の1日当たりお悔やみ件数
 上川全域10.6人(前週比1.3人減、前年同期より0.1人多い)
   うち旭川市7.3人(同0.7人増、前年同期より0.9人少ない)
 石狩全域31.4人(前週比2.5人減、前年同期より2.4人多い)
   うち札幌市24.4人(同4.2人減、前年同期より0.4人多い)

 北海道新聞の無料お悔やみ欄に掲載された4月第3週の1日当たり件数は、上の通りです。旭川市でやや増加したものの旭川圏(旭川市と上川管内)では減少し、札幌圏(札幌市と石狩管内)も前週より減少しました。札幌圏はこのところじわじわ増加していましたが、4月第1週ごろの水準に戻った形です。
 札幌圏、旭川圏ともに最近は、行政機関が発表する感染者数、新型コロナウイルスによる死亡者数ともに増加傾向で、要警戒であることは間違いありません。ただお悔やみの件数は比較的落ち着いていて、超過死亡が懸念されるようなひどい状況でもありません。医療体制にまだ余力があるからだと推測されます。
 道外での感染爆発や変異株の増加など不安はつきませんが、過度に不安がる必要はなく、医療体制の余力を削がないよう注意しながら暮らしていくことが大切だと思います。
 新型コロナウイルス対策ダッシュボードによる全道の病床使用率(4月21日時点)は27.7%で、やや悪化しました。前週4月13日時点は21.7%でした。道内の病床使用率は、旭川などで大きなクラスターが多発し全道で一日の新規感染者数が300人を超えた昨年11月後半には、70%近くまで上がったことがありました。
 道外では大阪府の346%を筆頭に、兵庫215%、奈良142%、沖縄135%の4府県が依然100%を超える極めて深刻な状態です。

※下は週当たりお悔やみ件数の推移(2020年3月〜)

道新お悔やみ欄集計JPG表2020年分

道新お悔やみ欄集計JPG表

道新お悔やみ欄集計JPGグラフ

なぜ新聞のお悔やみ件数を数えているのか

新型コロナウイルスは検査が進まないことと合わせて、肺炎以外にもさまざまな症状で亡くなる人が多いようで、国や都道府県が発表している「感染者数」「死亡者数」が、必ずしも実態を反映していない恐れがあります。

こうした事情から、新型インフルエンザが原因かどうかは別にして、今この時に亡くなる人が周囲で急に増えていないかどうかを把握しようと、新聞の無料お悔やみ欄に着目しました。旭川市と旭川圏(上川管内町村部+旭川市)、札幌市と札幌圏(石狩管内町村部+札幌市)の4つの数字を、2020年3月から1週間ごとに集計し、表とグラフにまとめています。

道内で世帯普及率が高い北海道新聞の無料お悔やみ欄は利用者が多く、亡くなった人の「実数」を表す数字ではないものの、その週に亡くなった人が多かったか少なかったかの傾向をつかむ参考にはなると考えました。

週ごとの増減にあまり一喜一憂する必要はありませんが、季節性インフルエンザの大流行や猛暑による熱中症の多発、大きな事故といった思い当たる理由がないのにお悔やみの件数が急増した時は、新型コロナウイルスによる医療崩壊などが想像されます。それはおそらく、国や都道府県が発表する新規感染者数や死亡者数などの統計よりも数字としては早く表れてくるはずで、感染爆発を察知する手段の一つになるのではと考えています。

実際にイタリアでは2020年3月、地方紙のお悔やみ欄掲載件数の異常な増加に気がついた地元紙記者が公式発表との食い違いを取材し、感染爆発をスクープしました。下のリンクは朝日新聞の2020年4月11日付けの記事です。

「実際の死者もっと多い」イタリア記者、お悔やみ欄注目

行政が死亡届受理件数などを随時公開してくれればいいのですが、そうはなっていないので、次善の策として個人的に集計しています。日本も政府の発表に今ひとつ信頼がおけないので、いろいろな手法を駆使して感染拡大を察知することが大切だと思います。

北海道内外の動き

<2020年>
1月15日 国内で感染者初確認。武漢滞在歴のある神奈川県の中国籍男性
2月3日 ダイヤモンド・プリンセス横浜入港。乗員乗客712人が感染、13人死亡
2月11日 さっぽろ雪まつり閉幕
2月14日 札幌市の男性が陽性。道内在住者の感染第1号
2月28日 道知事が緊急事態宣言。3月19日まで継続し翌20日から緩和
4月12日 道内の感染第2波を受けて知事と札幌市長が緊急共同宣言
4月16日 政府が緊急事態宣言の対象を北海道を含む全国に拡大
5月25日 緊急事態宣言解除。北海道と1都3県は移動自粛要請を継続
6月1日 ほぼすべての業種で営業自粛要請解除
6月19日 政府が都道府県境をまたぐ移動制限を全面解除
7月2日 東京都の新規感染者100人超
7月9日 東京都の新規感染者200人超
7月22日 Go To トラベル、東京発着を除外してスタート
10月1日 Go To トラベル、東京発着も対象に
10月23日 道内の新規感染者数が過去最多の51人に
10月28日 北海道が警戒ステージを1から2に引き上げ。独自の集中対策期間
11月5日 道内の新規感染者数が119人。初の3桁に
11月7日 北海道の警戒ステージを2から3に引き上げ。ススキノなど時短要請
11月9日 道内の新規感染者数がちょうど200人に
11月17日 札幌市と他地域との往来自粛、札幌市内の外出自粛など
11月20日 道内の新規感染者数が300人超。304人に
11月25日 旭川市の新規感染者数が44人で過去最高に
12月6日 旭川厚生病院のクラスターが全国最大規模に
12月8日 旭川市の新規感染者数が50人に
12月31日 東京都の新規感染者数が初の1千人超、1337人に

<2021年>
1月7日 東京都の新規感染者数が初の2千人超、2447人に
1月8日 東京など1都3県に緊急事態宣言
1月14日 旭川厚生病院が外来診療を一部再開
1月14日 大阪、愛知、福岡など7府県に緊急事態宣言。計11都府県に
1月26日 旭川市保健所が旭川厚生病院のクラスター終息を発表
1月31日 旭川の慶友会吉田病院もクラスター終息
2月8日 町立診療所の職員がPCR検査陽性と判定。東川町が発表
2月10日 東川町立診療所が診察再開。町、上川保健所が感染拡大なしと判断
2月28日 首都圏除く6府県で緊急事態宣言を前倒し解除
3月5日 1都3県は緊急事態宣言を2週間延長、3月21日まで
3月7日 感染者数減少を受け、道独自の集中対策期間が4カ月ぶりに終了
3月22日 1都3県の緊急事態宣言が解除
3月31日 前倒しで緊急事態宣言を解除した大阪府で全国最多599人の感染確認
4月5日 宮城、大阪、兵庫の3府県で「まん延防止等重点措置(まん防)」
4月12日 東京、京都、沖縄の3都県にも「まん延防止等重点措置(まん防)」
4月20日 大阪府が緊急事態宣言を発令するよう政府に要請

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?