
旅先案内 赤池渓谷
宮崎にも秋がやって来ました。でも11月中旬とは言え、日中はまだ汗ばむことがあります。南九州の紅葉は非常に限定的で、赤色よりも黄色が目立ちます。
赤くなるカエデは非常に少なく、逆に黄色いイチョウが美しいイメージがあります。
年末になり仕事も忙しくなって、しかも屋外撮影活動も増えて何かと忙しい「しんはく」です。こんにちは。
今日は宮崎県串間市にある赤池渓谷を紹介します。
ここ一週間で2回ほど訪れてきました。へとへとです。
赤池渓谷の見どころは、何と言っても美しく真っ白な甌穴群や柱状節理でしょう。
赤池渓谷の川底は溶結凝灰岩(ようけつぎょうかいがん)がむき出しになっていて、その上を自由に歩き回ることができます。もちろん、注意しないと滑りやすく、転倒すれば骨折もありうるのでちょっと危険です。
赤池渓谷にはキャンプ場が隣接していますが、現時点で使用されているようには見えません。何しろ子供が遊ぶには結構キケンです。
この寂れたキャンプ場にはトイレがあるのですが、さすが宮崎県、こんなところのトイレまでピッカピカです。
私は全国を旅していますが、宮崎県ほどトイレがピッカピカの県はありません。冗談抜きにピッカピカです。全国でもダントツに清潔感のある県です。
ちなみに宮崎県ほど、道路にゴミが落ちていない県も知りません。
子供たちは、まず掃除を教わるそうです。素晴らしいです。
話が逸れましたが、この渓谷の溶結凝灰岩は、鹿児島県の姶良カルデラの火砕流によるものです。
はぁ!?と思うかもしれません。
何しろ姶良カルデラまでは50kmもあるのです。
まず姶良カルデラについて説明しましょう。
姶良=あいら、と読みます。
姶良カルデラとは、鹿児島市の目の前にある桜島の北に広がる海です。
ここが「どっがぁぁあん!」と噴火して吹き飛んで、沈降し、そして海水が流れ込んで海になっちゃったわけです。要するに鹿児島湾の北の部分です。南の部分は、また別の大噴火が絡んでいます。
信じられないでしょう?
ちなみに桜島は姶良カルデラ噴火の南端にあたります。
2万5千年ほど前に今は海底となっているカルデラで、特別に大きな噴火があり、山を越え谷を越え、超高熱の火砕流が南九州全土を覆いました。
最終的に高熱の火砕流は海の上を走り抜け、高知県の宿毛(すくも)まで到達しています。距離にして230kmといったところでしょうか。シャレになりません。
恐らくこの噴火は、宇宙からでもはっきりと見えたことでしょう。
このとんでもない死の火砕流を入戸(いと)火砕流と言いますが、この火砕流による堆積は最大で150mの厚みがあり、標高1000mを越える山をも駆け上っています。
恐ろし過ぎます。
赤池渓谷では、入戸火砕流によって堆積してできた溶結凝灰岩を見ることができるのです。
無名の渓谷ですが、その様子はとても貴重で素晴らしいものです。
日曜日に訪れましたが、誰一人としてやって来る人はいませんでした。
静かな空気と、川の音が、その当時の恐ろしい出来事をむしろ強く思い起こさせる、そんな感じの渓谷です。
入戸火砕流の形跡は、南九州の他の地域でもいろいろ観察できますので、また別の機会に紹介しましょう。