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VRの世界

新型コロナウイルスによる影響は未だ衰えず、現実世界ではなかなか大変な状況が続いています。いかがお過ごしでしょうか。
かく言う私も外を出歩くことがほとんどなくなり、歳のせいもあって活動量は激減しています。
そこで、家の中でできる面白いことや情報を当分お伝えしてみようかなと思っています。

以前、「感動の仕組み」の記事でお伝えしたように、私は30年ほど前に人間の感動の仕組みを探るために、写真と絵画、そして3DCGによる差異や変化を研究していました。
その頃、併せて行っていた実験は、PC内に3Dで構築した美術館を閲覧するというものです。
30年も前とはいうものの、いずれそいういう時代が来るだろうということはわかっていましたので、かなりの額を投資して最新のソフトウェアとPCを用意し、ヴァーチャルの世界における芸術鑑賞について調べていました。
実験の目的は、ヴァーチャルの美術館でも作品を見て感動できるかといった調査です。

結論としてはヴァーチャル美術館は十分な可能性を秘めているものの、当時の技術ではスタンドアロンのPC内に限定され、通信速度がネックとなり広く一般に利用してもらうことは不可能であるということでした。
ところが30年たった今では、その通信速度の制約はほぼなくなり、VR(ヴァーチャルリアリティ)が急速に現実味を帯びてきました。
このVRにまつわる問題について、芸術や感動の仕組みと合わせて面白おかしく紹介していこうかなと思っている次第です。

現在のVRについて簡単に説明しておくと、現在におけるVRとはVRの専用ゴーグルを装着することによって、仮想3D空間内を自由に移動し、周囲全ての空間を遠近感を伴った立体的な映像として認識するものです。
体験した人ならばわかると思いますが、ほぼ現実世界と変わりません。

そして去年、画期的なゲームソフトがリリースされました。
それはマイクロソフトのMicrosoft Flight Simulator(2020)です。
このゲームは文字通りのフライトシミュレーターで、3D空間内で実際の航空機とほぼ同じものを飛行させるゲームです。
しかし驚異的とも言える新技術がこのゲームには投入されていました。
それは現実の世界の衛星写真などから、AIによって3D空間を構築し、全世界、ありとあらゆる場所をリアルに再現するという技術です。
天候も実際の天候データをリアルタイムに反映させることが可能で、北極点から南極点まで、文字通り地球全てを再現するものです。
しかもVRをサポートし、もはや究極のシステムと呼べるものです。

この写真を見てください。

摩周湖-2

これは摩周湖の写真です。
ただしこのゲーム内で撮影したものです。
現実の世界で同じ場所から撮影した写真が次です。

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次は屈斜路湖。

北海道1-2

現実の同じ場所からの写真が次です。

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ほとんどそのまんまですよね。
しかし、まだまだ弱点もあります。
例えば次の襟裳岬付近のゲーム内の写真。

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これはまだ現実的とは言えないですね。
次は現実の写真。

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もともと飛行機で飛ぶことを前提としたAIによるモデリングなので、このように地表から直近を見た場合の映像については無理があります。
ただし、今後アルゴリズムを変えて進化することで、かなり近い将来において相当現実味を帯びてくるでしょう。
かつて写真と絵画、そして3DCGを比較した時、いずれこの三者は間違いなく融合するという結論に至りましたが、ついにその時がやってきそうです。
私の予想では半世紀はかかると考えていたのですが、なんとわずか25年から30年で達成してしまいそうです。

びっくりです。

今後、現実世界で生活するよりも、VR内で生活する時間の方が多い人が出てくるはずです。
しかもそれは50年後、100年後の話ではなく、ソフトウェア次第ではあるものの数年以内の話です。
そうなると世界の構造は劇的に変化します。
現実世界の車などには、そういった人たちはほとんど興味を示さなくなるでしょう。
逆にVR内での車や建物、土地、そういったものに価値が生まれ、現実世界における産業構造は激変するはずです。超エコの時代です。
仮想空間内における価値は、いままでもネットゲームなどにおいて散発的に生まれていましたし、リアルマネートレーディングと言って現実世界でゲームアイテムを現実世界の現金でやり取りするということはありました。

しかし、あまりにもリアルで現実的なVR空間の登場によって、ついにそれらは普遍的な価値を生み出す可能性があるのです。
逆に現実世界の物質は、著しく価値を減少させるかもしれません。
誰もが仮想空間内で豪邸に住んで、カッコいい車や数十億円もするような飛行機に乗り、年老いた老人も若者となって生活できるようになるわけです。
まるでSFそのもののようですが、これは大袈裟な話ではなく、すぐ先の話です。もう見えてきている世界の話です。
最大の変革のキーとなるのは、間違いなく量子コンピューターの実用化だと思われます。
しかし、我々人類の多くがVR空間内で生活を始めた時、何が起きるのか、それは非常に興味深いことです。

次回以降も芸術とVRに関して、お話ししようかと思います。

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