焦点距離からの解放。
「今までこんなことはない。前代未聞のレベルです」
そんな言葉を聞いたとき、いくつもの感情が
ないまぜになって押し寄せてくるのを感じた。
カラフトマスの姿を川に全く見ない。
そんな言葉を聞くようになって何年になるだろう。
毎年戻ってくるという印象は、既に危うい。
僕が最後に群れるカラフトマスを見たのは2020年。
わずかな期間しか滞在できなかったので、ほとんど撮影はできなかったが、
懐かしく、とても嬉しかったのを覚えている。
しっかりカラフトマスを見たのは2016年が最後になるだろう。
もう8年も前のことになる。
北の野生動物に魅せられ、カメラを持って通うようになったのは
カラフトマスの遡上を間近に見たことがきっかけだった。
目の前でこんなに大きな魚が浅い川に
危険も顧みず押し寄せ、一心に遡上している。
その生命力に圧倒されたのだが、次いで僕の目を捉えたのは
河畔に遺された彼等の死骸だった。
彼等の生命の全うに感動するより先に、
強烈な存在の余韻を感じて、僕は思わず辺りを見回した。
そこに何も認めることはできなかったが、
今思えば、彼は僕のことをじっと見つめていたのかもしれない。
その時から僕はヒグマの姿を見たくて
何度も知床に通うようになる。
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