花と熊の手。
自分なりにクマの撮影を続けてきた。
それはクマを探す旅でもあって、クマの食性を追う日々でもある。
痕跡から、その季節の食べ物を推測し、その在り処を探していく。思い出すだけで、目を細めたくなるような、長い時間がかかる撮影行程だ。
追いかけてきて、到達が間近になった段階で、諦めてしまった撮影もいくつかある。そこ立ちはだかるのは『危険』という2文字だ。クマという被写体故の障碍と言っていいだろう。かけてきた時間と、推測される到達迄の距離の短さに、悔しい思いを抱えることも多い。
今日はその中の、ひとつの話をしてみたい。
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