春先の鹿。
まだ冬の寒さが支配する春先。北関東の小さな山。
白い林床に残った雪を踏み固めながら、進んでいく。
冬眠から目覚めたクマの気配を探しつつ、
自身の冬の引きこもりになまった身体をほぐすように
ゆっくりと、慎重に歩いていく。
クマを探す。という意味においては、これが僕の一年の始まりだ。
しかしながら、雪の残る山で、
そう簡単にクマの姿を見ることができるわけではない。
一年の最初の印象的な出会いは、大抵が別の動物だ。
最初の出会いで、最も多いのがニホンジカだ。
そして、その出会いの中で記憶に多く残るのは、
生きたシカではない。死んだシカである。
ここから先は
1,021字
/
1画像
いただいたサポートは、旅費や機材など新しい撮影活動の資金とさせていただき、そこで得た経験を、またこちらで皆様にシェアしていきたいと思います。