無料記事【ヒグマ】この秋に注意したいこと。
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一大観光地でもある『能取岬』にヒグマが出没。
そんな気になるニュースを目にしたので、
撮影の合間に少しだけ現地を覗いてきました。
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なんというか、本当に能取岬の灯台の付近にも出たみたいですね。
行ったことのある方はご存知だと思いますが、
かなり見晴らしの良い場所です。身を隠す場所が少なく、
本来なら、クマが嫌がるような地形と言ってよいでしょう。
付近には、いくつかの看板がありました。
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付近はこんな感じの地形です。かなり見晴らしが良いですが、
出没地点を考えると、こんなところを静かにヒグマが歩いていくことも
予想されます。
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ここ数年で他にも付近のヒグマ出没は報告されていますが、気になる方は下記リンクからご覧ください。
ここから先は私個人の推測ですが、
一頭であれば、新しい住処を求めて移動する
若い雄の可能性が高いかなと思います。
あとは親子連れか…。
まぁ色々なケースがあるので一概には言えないのですが…。
大きなオスグマが単独で出てきてびっくり、という話も
最近は聞きますので。
似たような雰囲気の出没ニュースは他にもあります。
五月には斜里町の施設が閉鎖されるような出没もありました。
またクマ情報掲示板には速報で載せていましたが
驚いたことに、今月初めには
北見市常呂町の海水浴場に出没しています。
私が気になっているのは、開けた地形で、海が近い場所にも
クマが出てくるようになってきている、ということです。
個体数の増加がその原因と考えられますが、
「ここはクマがいない、出ない場所」とされていた様なところにも
目につくケースが非常に増えてきているように感じられます。
また今年はあまり芳しくない予報のサケの遡上ですが、
今までクマが来なかった、サケ釣りポイントやサケの遡上の施設、もしくは観察スポット…ここに広がったヒグマの活動域が重なる可能性は、おそらくかなり高いのではないかと個人的に推測する次第です。
これは、これまでとは違った意味で「人間とクマの行動圏が重なる」ことを意味します。
サケ釣りなどで、ヒグマに注意している方ももちろんいらっしゃるでしょう。しかし、意識している「サケを狙ってくるヒグマ」ではなく、新しい生活圏を求めて移動しているヒグマという意味では、少し想定外な出会い方をする可能性も考えられます。「え、こんな所から出てきた?」「水辺から離れた開けた場所だから油断していた…」など、ありえないと思っていた遭遇の仕方が事故に繋がることのないよう注意したいものです。突発的な遭遇は、クマにおいては一番避けたい出会い方のひとつなので。
また今後、そこから新しい場所でサケを見つけ捕食する→餌場として繰り返し訪れる、という風に行動を変化させていく可能性も高いのではと推測する次第です。これまでクマがいなかったはずの場所にクマがいる。そういう時代になっていくでしょう。
サケが来る場所で「ここにはクマは来ないよ」とされる場所は実はけっこうあります。それが今後変化していく可能性は大いにあるのです。
数年前に、北海道新聞に取材を受けた時、小さな記事だったのですがそこに「いつか札幌の市街地でもヒグマがサケを食べる姿が見られるようになるかもしれない」そんな風に話して記事に書いてもらったことがあります。その方向に、今、ヒグマの変化はどんどんと近づいて行っているのではないでしょうか。
サケを食べるヒグマ、というのは知床だけで見られる光景…というイメージがありますが、今後その認識は変わっていくでしょう。
実は写真絵本「ヒグマの旅」作成時からその思いはあって、ああいった頁構成にしてあります。サケの捕食はヒグマ本来の食性であり、それが今後、各地で復権する。私はそう思っています。
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北海道の各地で、クマの注意喚起の看板が増えてきたように思います。
例えば、私が良く通る北見市付近では、畑の近くなどもずいぶん増えました。クマ出没注意の看板は、「クマ出没実績の情報」と言えます。車で走っていて見かけた看板の周りの地形や状況を見ながら、なぜここにクマが出たのか、道路を横切ったのか、などを考えています。これは私の昔からのクセの様なものですが、これからがむしろそういったことが重要になってくる気がしています。
ここにクマはいない、という思い込みを信じない。
開けた場所でもヒグマと出会う可能性が高まってきた。
私自身もこれまで以上に細心の注意を払いたいと思います。
そして、この秋、サケ釣りやサケの遡上観察を楽しまれる方も
くれぐれもお気を付けください。
私の杞憂に終わりますように。
最後までお読みいただき、有難うございました。
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