日本で独自進化した電動シルバーカー『eカート』を作ってみた!!
はじめに
電気自動車(EV)の普及は急速に進んでいますが、まだ身近に感じられない人も多いのではないでしょうか。この記事では、より身近なシルバーカーを電動化してみました。以降、この車は「eカート」と呼びます。
シルバーカーは、長年にわたり日本で独自の進化を遂げている車両です。再度見てみると、優れた点がたくさんあります。それは、高齢者でも免許なしで貨物を扱えること、歩行者と安全に共存できること、疲れたら座れること、自然に店内に入りマイショッピングカートとして使えたり、電車やバスに乗れることなどです。これほど日本の社会に溶け込んでいる車両はないと言えるでしょう。さらに、乗り物ではないため、自分の足で歩くことで健康的であるとも言えます。
eカートは、シルバーカーを電動化することで歩くことをアシストし、荷物を乗せた状態でも上り坂や下り坂の負担を軽減します。つまり、楽にショッピングができるのです。また、体に負荷をかけずに自身の足を使って歩くため、健康的です。さらに、移動を早くしたければ、電車やバス、タクシーに乗せれば良いだけです。
しかし、それだけではないのです。eカートは、カーナビやドライブレコーダーを装着し、スマホやタブレットから設定を変更したり、状態を確認することができるスマートカーにもなり得ます。
昨今のリモートワークの急速な浸透により通勤がなくなった結果、慢性的な運動不足に陥ってしまった人も多いのではないでしょうか。
eカートでの移動は、足に負担をかけずに運動をすることができるため、慢性的な運動不足を解消することができます。
移動の許容距離が長くなれば死亡リスクを抑えられるという研究報告もあるようです。
(歩行で1km、自転車で2kmの移動を許容できることが健康長寿のカギ)
その上、eカートは燃料を使用せずに移動することができるため、環境にも負担をかけません。
スティーブ・ジョブズは電話を再発明しましたが、eカーは車の再発明です。
eカーはソフトウェアによる機能のアップグレードが可能なプラットフォームに育てたいので、競合はテスラです。
概要
eカートとは
シルバーカーの良い所をアップデート、弱点を補うために電動化したもの
シルバーカーの特徴
重い荷物をたくさん積める
自然に店に入れる・電車に乗れる。
免許不要(乗り物では無い)でも車両ではある。
自転車と違い操作が簡単・習熟不要
歩くので健康・自転車は骨が弱る
ミニマムなフットプリント(場所をとらない)
※ 人の肩幅・畳めば50cm四方・使用時でも自転車の半分シルバーカーは日本の文化
シルバーカーの弱点
坂道に弱い
上りは荷物&車両重量(鍛えられるので健康には良いかもしれないが)
下りはブレーキ操作しないと止まらない
坂では勝手に進むので手を離せない(ストッパーはある)
電動化(eカート)するメリット・デメリット
メリット
・上りはアシスト
・下りは回生ブレーキ
・自然にスピードが出ないように支えてくれる
・荷物の重量は0(重さを気にしなくて良くなる)
・ちょっと引っ張ってくれる感じ
・インテリジェント
・スマホ、タブレットと連携(電源供給・ナビ・ライト)
デメリット
・車両が重くなる(自転車よりは軽い)
・盗難の心配
更に
・日本の文化であるシルバーカーを高齢者だけに特化するのは惜しい
・若者がeカーを押してもいいんじゃないか
・チェアリングとかノマドとか
eカートの構成
モーター: バランススクーターから流用。6.5インチ・ブラシレスインホイールモーター
バッテリー: バランススクーターから流用。25.2V 4Ah(100.8wh)
充電器: バランススクーターから流用。29.4V 1.5A
モーターコントローラー: 汎用ブラシレスモーターコントローラー
ディスプレイ: モーターコントローラーとセット品※但しコントローラー×2に対し1つのみ使用
ブレーキ: 汎用親指スロットル
アクセル: 汎用親指スロットル
USB電源: 汎用(バイク用)USB電源 USB-A×1 USB-C(QC3)×1
諸元
モーターコントローラとディスプレイによる設定項目:
液晶ディスプレイのバックライト調整
マイル、またはメートル
バッテリー電圧を設定
自動スリープ時間
ギア数(スピードレベル)
速度表示調整(但し、スピードセンサーが無いため慣性速度表示ができない)
制限速度
0スタート、または6kmh以上でアシスト
アシスト方法:スロットルのみ、ペダルのみ、スロットルとペダル両方
低電圧保護
ODOメータークリア
オートクルーズ有効・無効
スロットル操作、またはフルスロットルのみ
E-ABS回生制動あり、なし
パスワード保護
その他: USB電源でスマホ、タブレット等に電力供給
モーターコントローラーについて
・1つのモーターコントローラーで2つのモーターを制御したかったが、脱調が発生するため、モーターコントローラーはモーター毎に設置。
※ 脱調とは、モーターが高速に回転することでコントローラーがどの角度に電荷を加えれば良いか把握することができなくなり、ガタガタと円滑に回転できなくなる現象である。脱調を回避するため、モーターコントローラーはモーター毎にホールセンサーからの信号線を接続する必要がある。
・モータからスピードセンサーの信号を得る必要があるが、スピードセンサーを持たないモーターもあるため、自転車の場合はペダルの回転を検知するPASセンサーを設置する方法がある。しかし、シルバーカーにPASセンサーを設置するのが困難であるため設置していない。
・モーターコントローラとディスプレイの接続は以下のように行う
ディスプレイについて
・モーターコントローラーを制御するボタンを備えている。
・(+)ボタン (-)ボタンと同時押しで設定モード、数値upなど
・(◯)ボタン 長押しで電源ON、モード切り替え
・(-)ボタン (+)ボタンと同時押しで設定モード、数値downなど
・表示
各ページ共通: バッテリー状況、ブレーキ状況、スロットルモード、スロ ットルレベル
1ページ目: スピードメーター(現在)、DST(電源onからの走行距離)
2ページ目: エラーコード、スピードメーター(電源onからの平均)、ODO(積算走行距離)
3ページ目: 電流計、スピードメーター(電源onからの最高)、バッテリー値(ボルト)
スロットル、ブレーキについて
・スロットル、ブレーキはそれぞれ独立した親指スロットルからコントローラーのスロットルセンサー、ブレーキセンサーに接続する。
・スロットルとブレーキは操作バーの両端に逆向きに設置している。バーを 握るとアクセルとなり、スピードを調整する。その間、ブレーキはオフとなる。バーを緩めるとブレーキが効き、アクセルはオフとなる。
・操作バーにはロック機構が備わっており、下向きに一段下げると物理的なブレーキが効くようになっている。
・シルバーカーの多くは前輪を固定するかフリーにするロック機構が備わっており、小回りを効かせたい時はフリーに、悪路など直進性を高めたいときはロックできるようになっている。eカーでもこの機構を活かし、特にスピードがでるような場合はロックすることで対応する。
・下り坂では回生ブレーキとなる。長い下り坂であればディスプレイのバッテリー値が増加することで、パワーが回生されていることがわかる。
SDGs
持続可能な開発目標
・3 すべての人に健康と福祉を・・・eカーでみんな健康に
・8 生きがいも経済成長も・・・eカーで行動範囲が広がる
・9 産業と技術革新の基礎を作ろう・・eカーは新しいプラットフォーム
・11 住み続けられるまちづくりを・・・eカーは人と街に負荷をかけない
・12 つくる責任、つかう責任・・・eカーをサステナブルな産業に
・13 気候変動に具体的な対策を・・・eカーはCO2を排出しない
今後の開発目標
PASセンサーの装備
舗装が悪い状況や、煉瓦敷き状の歩道、砂利道など、本体が激しく振動することがある。スマホやタブレットを設置したが、振動で常時見続けることができない。ながらスマホは現状難しい。タイヤをクッション性の高いものに変えるか、サスペンションを設置することにより改善したい。理想はアクティブサスペンション。
前輪のロック機構は都度足回りの操作が必要である。これは、手元から操作できるよう改善したい。
apple car play や amdroid audioなどに対応したデバイスを設置する。重くなるのでメリットが小さい場合は優先しない。
ドライブレコーダーやAIカメラによる自動ブレーキの設置
カメラを載せ遠隔操作を可能にする。カー・ドローン化。
テスラに匹敵する自動運転
類似で電動化したい。(ショッピングカート、ベビーカー、ペットカートなど。)
『Maker Faire Kyoto 2023』に出展予定!
ご興味のある方は、是非体験しに来てください。
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