【24】シングルファーザーの1日 〜休日編〜
世の中には希少なモノ、希少なコトが存在している。
小学生未満に伝えるならポケモンの色違い
中学生に伝えるなら勉強してないというのにテストの成績が良い奴
高校生に伝えるなら同じ高校にいるという芸能人
そういった存在を希少という。
社会人に伝えるならそう
シングルファーザーだ。
今回は現代の希少種であるシングルファーザーの休日について読者に知識を深めていただこうと思う。
<シングルファーザーとは>
今さら伝える必要とないだろうが、シングルファーザーとは何か。
一人親家庭で子を持つ父親のこと。父親だけで子どもを養育している者。
早い話一人親家庭で親が父親ということだ。
我が家は子供2人と猫がいる。
では、シングルファーザーが世の中にどれほど存在するのか。
※資料元:厚労省 平成29年度母子家庭等対策の実施状況
少し古いデータだが、確認いただくと母子家庭よりも遥かに少ない数だとお分かりいただけたと思う。
あなたの周りにはシングルファーザーはいるだろうか。
私の周りにはシングルマザーさえ、存在するのか分からない。
そのぐらい希少なのだ。
近所でいれば有名人レベル。
井戸端会議のネタには困らないキーパーソンであろう。
そんなシングルファーザーは、果てしてどのような休日を送っているのか。
本題に入ろう。
<シングルファーザーの早朝~朝>
-----Am2時起床-----
シングルファーザーの朝は早い。
もはやおじいちゃんだ。
私は前日21時頃までに子供達を寝かしつけ、9割ほどの確立で寝落ちする。
世の中の2人親世帯で寝かしつけ未経験者がいれば是非知ってほしい。
子供たちの寝かしつけは、子供たちを寝かすことが大変なのではなく、自分の眠気と戦うことが大変なのだ。
現在、私の寝落ちしないことに対して、勝率は1割を切るだろう。
大体共に寝落ちし、目の中のコンタクトレンズがカピカピになる。
今日は子供たちを寝かせたら飲むぞ~(^o^)
と意気揚々スーパーで購入したビールが次の週末まで冷蔵庫の中で眠っている。
子供たちに内緒で食ーべよっ♥
とわくわくしながら買ったかまぼこが賞味期限切れる。
大分話が逸れたが、そのように勝率が1割を切る私は、平日、休日問わず2時ごろ目を覚ますのだ。
そこから子供たちが起きる6時までの間に何をしているのか。
・モンスターハンターRISE(ゲーム)6割
・YouTube 3割
・かろうじて家事(洗い物とか前日のやり残し) 1割
こんなものだ。
シングルファーザーだから、自分の時間が取れなくて大変でしょ?
とよく知ったように言われるが、実態はゲーム三昧。
自分の時間はここで稼ぐのである。
今日も早朝から太刀を振り回し、幾多のモンスターを狩った。
そこで、自分の強さを知り、優越感に浸り、そして現実に戻る。
<シングルファーザーの朝~10時のおやつ>
-----Am6時-----
下の子が寝ぼけながら起きてくる。
トイレ…トイレ…おしっこ…おしっこでしょう(でそう)…
ふらふらと亡霊のようにトイレを求めて階段を下りる子供。
その姿を見て、ご飯を炊いていないことに気が付く。
米を研ぐか、トイレに連れていくか最善の策を考える。
その間約2秒。
当たり前にトイレに連れていきます。
漏らしちゃうから(笑)
その後、トイレが終わると目をパチッと開き、子供は言うのだ。
「ママ、まだ帰ってこないね。」
下の子はまだ離婚がどういうことなのか、理解が出来ていない。
だから、この1年以上の間、元嫁は仕事で帰ってこない、と伝えている。
いつ真実を知るのか、理解が出来るのか。
私は毎朝この言葉を聞き、自分のした決断が間違っていたのか自問する。
「間違っていなかった」
そう結論付け、米を研ぐ。
ご飯を炊いている間、子供と庭を見ながら会話を交わす。
今は梅雨なので、話題はなめくじが多い。
「なめくじさん、いないね」
「あ、いた。パパ塩かけて!やっつけて!!」
朝から庭に塩を撒く30代男性。
完全にイッちゃってる奴だ。
それは何故か。
塩を撒いてと言った子供は既に興味を失くしテレビを見はじめ、今この世界にいるのは向かいの家のおばちゃんと塩を撒くおっさんとなめくじしかいないからだ。
ご飯が炊ける頃、上の子供が起きてくる。
ここからが勝負だ。
あちあちな出来立て朝ごはんを作るために、ここから目玉焼きとベーコン、ご飯を用意する。
ほぼ毎朝同じメニューだが、子供たちは美味しいと食べてくれる。
子供たちが美味しそうに食べてくれる姿は、父親冥利に尽きるものだ。
朝ごはんが終わると、子供たちは惰性に流され、歯磨きや着替えを後回しにしようと、私の目をかいくぐり四方に散っていく。
まずは下の子を確保する。
「虫歯ばい菌が増えちゃうから歯磨きしよっ♥」
気色悪い声を出しながら、近づくおっさん。
きもいなこいつと思いながら遠くから眺める上の子。(多分)
何も聞いていない下の子。
ーーーー よし、ならば戦争だ。
下の子供が私の気配に気が付く前に、脇に手を入れ、徹底的にくすぐる。
そのスピード感たるや今日一番のネタを最高の味に仕立てるため、鮮度を落とさず捌いていく寿司職人のように、私も子供たちを捌いていく。
そして無心でくすぐり、下の子がギブアップした時に歯磨きに連れていく。
そうすると洗面台の前で下の子供が言うのだ。
「パパ、おしっこでちゃった…」
くすぐり過ぎるとこうなる。
こうやって休日の朝は忙しなく過ぎていく。
気が付くと、先ほど朝ごはんを食べさせたはずなのに、おやつの時間になっているのだ。
<シングルファーザーの10時のおやつ~お昼寝>
10時のおやつは、親戚から定期的に届くお菓子で賄う。
救援物資は本当にありがたい。
ここからはお昼ごはんまで公園に行くか、買い物に行くか、家でぐーたらするか様々な選択肢がある。
私は家の掃除がしたいため、家でぐーたらを選びたがるが、子供たちは有り余る体力を発散したがる。
そして近所の公園に行くのだ。
公園での主役は子供たち。
脇役の大人たちはベンチで子供たちを見ている。
休日はパパさんが多い。
この中にシングルファーザーはいるのか。
毎回思う。
そうしているうちにママさんも合流する。
やはり自分は希少種なのだと感じる。
少し気が重くなる。
しばらくして満足した子供たちと手をつなぎ、3人で自宅に戻る。
お昼ごはんは何にしようか考える。
冷凍していたうどんがある。
子供たちに焼うどんはどうか、と聞くと。
いいよー!
と元気な声が返ってくる。
焼うどんを作り終えて美味しかった?と聞くと、子供たちからはしょっぱいけど美味しかったと言われる。
子供たちが大人になったときに思うおふくろの味は、しょっぱい焼うどんなのか。
もはやおふくろの味ではなく、親父の味だが…
お昼ごはんが終わり、歯磨きも終わらせた後、お昼寝しよーと言っても、2人とも寝ないという。
タイトルにあるお昼寝とは、私のお昼寝タイムのことなのだ。
ソファに寝転がる私。
至福の時間。
子供たちはテレビやタブレットなど自分たちのやりたいことを始める。
30分ほど経つと、やることに飽きてきた子供たちが、新しいおもちゃはないかを探す。
腹を出して寝ている中年。
最高のターゲットだ。
お気に入りの恐竜の人形の固い尻尾の先っちょで腹をつつく。
悪夢で起きる私。
シングルファーザーにお昼寝は許されないのだ。
<シングルファーザーのお昼寝~夜ごはん>
夜ごはんまでの間にやることは様々だ。
大体は私が掃除や片づけをする。
私は片づけや掃除が苦手なので、一つ工夫していることがある。
部屋にある物の数を減らすのだ。
そもそもの片づける数が減れば、片付けの手間も省ける。
それでもやることをやっているとあっという間に夜ご飯の時間だ。
夜ご飯を作りながら、明日の用意をしたのかが気になる。
上の子に宿題はやった?と聞くと、
あっ忘れてた。
という。
分かっていながら、やってないんだろうな、と内心思いつつ、夜ご飯までの間にちゃちゃっと済ませてもらう。
世の家庭ではしっかりと子供の学習を見ているのだろうか。
しっかりと見てあげなきゃな、と思いながら鶏肉を揚げる。
そして、大好物の唐揚げを頬張りながらワイワイ話す子供達を見て、今日もあっという間だったな、と思う。
<シングルファーザーの夜ごはん~就寝>
夜ご飯を食べ、歯磨きを終えるとお風呂だ。
我が家は大体シャワーで済ませることが多い。
3人で入るが、上の子は最近一人で入りたがる時がある。
成長を感じる。
下の子ももう数年したらパパとは入らないというのだろうか。
少し寂しい感じもするが、致し方なし。
お風呂上がりの子供たちの髪の毛を乾かしながら、今更一人では暮らせないなと思う。
子供たちと暮らすことがスタンダードになっているのだ。
元嫁は子供たちと一切面会をしていない。
私が同じ立場なら耐えられないだろう。
そろそろ寝る時間だよ、と声を掛けると3人で寝室に移動を始める。
我が家は寝る前に童話を一つ読む。
電気を消し、桃太郎を読む。
最後まで読み終わると、子供たちが思い思いの感想を言う。
そろそろ寝よう、と声を掛けると、上の子は素直に寝始める。
下の子は、呪文を唱え始める。
何を言っているのかは分からない。
ただ呪文を唱えるのだ。
前までは、しゃべってないで早く寝るよ!と止めていたが、友人の家庭でも同じようなことがあり、それは止めないで気が済むまで唱えさせていると聞き、我が家もそうすることにした。
しかし、私は呪文を最後まで聞いたことはほぼない。
私が先に寝るからだ。
そして気が付くとコンタクトがカピカピになった状態で目を覚ますのだ。
<シングルファーザーになりそうなパパへ>
シングルファーザーの休日はどうだっただろうか。
意外とそんなもんか、と思った方もいると思う。
意外とそんなもんだ。
周りからは大変でしょと言われるが、子供たちと過ごす時間は今しかないのである。
シングルファーザーになる理由は様々あると思うが、あまり不安にならないでほしい。
それは何にも代えがたいとても貴重な時間だからだ。
一番は母親も父親もいること、ということは百も承知だが、シングルファーザーも悪くない。
シングルファーザーになることを悲観的に捉え、その姿を子供たちが見て悲観的な気持ちになること、それが一番辛いことだと思う。
様々な事情を抱えた方が読んでいるかもしれないが、少しでも楽な気持ちになれたらと思う。