結局金景品って持ってた方がいいの?パチンコ・パチスロの金景品の仕組みや今後ついて考察

2022年3月8日、東京都のパチンコパチスロの金景品(大)の価格が8000円から8500円に引き上げられました。

世界情勢の影響による金価格の高騰で、金1グラム当たりの買取価格が8000円を超えたことに平仄を合わせる形です。

巷では、ここ数週間8000円の時に交換した金景品をTUC(買取所)にもっていかず保管する方が続出しておりましたが、大方の予想通り値上げが行われたことで、大景品1個当たり500円の利益が出る形となりました。

本日の値上げを機に、保管していた景品をTUCで現金化する方も多いと思いますが、世界情勢はまだ予断を許さない状況のため、今後も金が高騰を続ける可能性があります。

金がまだ高騰をすると考えるなら、更なる金景品の値上げを見越して、まだ現金化せずに保管をしておけば更に得になるのでしょうか?
保管するのであれば現金化のタイミング(売り時)はいつでしょうか?

金景品の価格上限やこれまでの価格推移、そもそもなぜ保管すれば得をするのか?など、今後について考察してみたいと思います。

■金景品はまだ現金化せずに持っておくべきか?

先に結論を書きます。筆者としては8500円になったこのタイミングで現金化してもよいと思います。実際に本日、数日間保有していた金景品をすべて換金してきました。
(あくまで個人的な考えなので、判断は人それぞれかと思います)

理由はいくつかありますが、最も大きな理由は、筆者が、巷で言われているような「金景品は値下げをされない」という神話じみた話に懐疑的だからです。

確かに、金景品はこれまで、価格が上がっても下がることはありませんでした。ただ、これは金自体の価格が多少の上下はあっても長期で見れば右肩上がりのトレンドであったからだと思っています。この歴史を見て「金景品は価格が下がらない元本保証の投資」のようにとらえる意見も目にしますが、実際のところは誰もそんな保証はしていません。
つまり、金景品の値下げは、金自体の長期的な右肩上がりのトレンドもあって、「これまで下がったことがない」だけで、「これからも下がらない」とは言えないのです。例えば、(あくまで仮定の話で)世界情勢が安定の方向に向かい、金の価格が徐々に下がり、6000円にまで下がったとします。その時に、大景品の価格が今のまま8500円であり続けるでしょうか?それとも、市場価格と景品の価格の妥当性担保のために、7000円程度まで値下げをするでしょうか?
筆者は、後者の対策が取られる可能性を0だとは思いません。市場価格に対して上げたのだから、市場価格に対して下げることもないとは言えないでしょう。

もし筆者の主張通り、「下がる可能性がある」場合は、金自体に投資しているのと同じように「値下がりのリスク」を許容するのですから、是が非でも保有している理由がありません。(もちろん金価格との連動性や、景品が下がる前にリスク回避で売り抜けられる可能性は金景品の方が高いとも思いますが)また、TUCが突然大景品を買い取らないようになる可能性や、レシートなどをつけて、当日限定など交換に制限をつける可能性もあります。そうなると、保有した金景品のカバーをはがして中の金地金を取り出し、街の金買取店にもっていって換金する必要が出てきますが、極めて面倒です。

もちろん、今回の値上げのように、ある程度金価格の上昇が既定路線であり、価格が金景品の価格に近付いたタイミング(今回でいうと8000円間際)で金景品を保有しておき、上がったら売り抜ける、金価格が減少に転じても売り抜けるというような方法であれば、かなりの角度で利鞘を生むことができるでしょう。

一方で、ひたすら金景品を元本保証の投資として保持し続けることは、あまり得策ではないでしょうということです。

まあ、あとは、筆者の貯玉はたかだかコイン1万枚程度なので、大景品がさらに500円値上げされても、追加の利益が500円×24個=12000円程度なので、普通に「家にあっても邪魔だしもういいかな」と思ったのもあります。

なので、例えば、数百万円分の金景品をこのタイミングですでに持っている人は、9000円になるかどうかもう少し様子をうかがって、下がりそうになったらリスク回避で現金化するのもありかもしれません。
※10万枚分のコインを5.2枚交換で大景品に交換していたら500円上がるごとの利益は12万ですので。
この考え方は、上で書いたこととやや矛盾しますが、金の暴落はあり得ても、金景品の値下げにはパチンコ店の交換枚数(玉数)変更など多少の準備は必要ですし、TUC運営組織での検討時間などもあるでしょうから、「1日夜が明けたら金景品が2000円安くなっていた」みたいなことはないような気がしますので。

さて、ここからは、今回の一件を経て、筆者が金景品について興味を持ったので、色々調べてみたことを書いています。
「そもそもなんで金景品を交換せずに持っていたら得をするの?」という初歩的なところから書いてみましたので、興味のある方は続きをぜひお読みください。

■そもそもなぜ交換せずに金景品を持っていたら利益が出るの?

これは、パチンコ店の換金の仕組みが要因です。少し難しい話ですが、パチンコ店は法律で、ユーザーと直接現金のやり取りができないようになっています。(実際、ホールは景品をくれるだけで現金はくれませんよね?)

なので、ユーザーはコインや玉を一度、価値のある「金景品」に交換します。

そして、それを「近くの古物商(=TUC/換金所)※パチンコ店とは表向き上無関係」に持っていき買い取ってもらうことで現金を手に入れます。(これがいわゆる三店方式です)

交換せずに持っていたら得をするのは、この「直接現金化せずに、一時的に現金に換えることのできる景品をユーザーが保有する」からです。
少し具体例を挙げて流れを見てみましょう。
※都内では等価交換はないですが、便宜上等価交換と仮定して説明します

①ユーザーがホールで400枚のコイン(等価で8000円)を出して流す
②カウンターで金景品(大)に交換する(必要な枚数は400枚)
③TUCにもっていって金景品(大)を渡す
④TUCは決められた価格(3/7時点では8000円)で買い取る
⑤ユーザーは8000円を手にする

というのが通常の流れです。
それでは、金景品(大)が8500円に値上げをされたらどうなるでしょう?

まず、金景品が上がったので、それに連動してホールの大景品の交換に必要な枚数が425枚に上がります
なぜなら、400枚のままだと8000円相当のコインで金景品を取得し、TUCにもっていけば8500円で買い取ってもらえる、言い換えれば「サンドにお金を入れて換金すればお金が増える」という状態になってしまいますので、意味が分かりませんよね?なので、TUCでの買取価格に合わせて、大景品のホールでの価値が8000円相当のコインから8500円相当のコインに上がるのです。

なので、3/8(金景品値上げ後)に交換した景品は、8500円分のコインで取得しているので、8500円で買い取ってもらえば、上記の流れと同じく、ただ現金化しただけになります。

それでは、3/7に上記の②金景品への交換までで止めて持ち帰り、3/8にTUCで現金化した場合はどうでしょう?
金景品の交換は3/7のレートなので、400枚のコインで交換してもらえます。一方で、TUCでの買取は3/8のレートなので8500円で買い取ってもらえます。つまり、8000円分で取得した景品を8500円で買い取ってもらえるようになるので、3/7にそのままTUCにもっていくより、3/8にもっていった方が大景品1個当たり500円得することになるのです。

ちなみに、この「一度持って帰る行為」はそもそもOKなのでしょうか?次はその点について解説します。

■金景品はその日に交換しなくてもいいの?買い取ってもらえなくならない?

結論、都内であれば基本的には大丈夫だと思います。(一部地域などでは即日交換などのハウスルールがあるところもあるので、ご自身の地域でのルールにはご注意ください)

なお、もし買い取ってもらえない場合も、「パチンコ屋で交換してもらった景品」はほかの誰でもなく、受け取った「ユーザーの所有物」です。要は、どうしようともユーザーの自由ということなので、どうしても買い取ってもらえなくなっても、現在の金景品には、本物の金が使用されていますので、最悪ケースを取り外して、街の金買取所にもっていくことで現金化するという方法はあります。(個人的にかなり面倒なので避けたいですが)

ちなみに、昔は全く価値のない「特殊景品」が使用されている時期もありましたが、暴力団排除や、景品の市場価値透明化を目的に1990年代に実際の金地金(延べ棒)が使用されるようになりました。
都内では大景品に1グラム、中景品に0.3グラム、小景品に0.1グラムの金が封入されているケースがほとんどです。

封入されている金をよく見ると、「Tanaka Kikinzoku」という刻印もある、正真正銘の金であり。実際にユーチューブやネットで「金景品を質屋で換金してみた」みたいな情報もたくさん出ています。

過去には、セキュリティシールで判別し、値上げ前に交換したものは値上げ前の価格で買い取られたり、買取を拒否されたりしたこともあったようですが、「金景品が外部に流れるのを防ぎたい」というパチンコ屋やTUCの意図からしても、その行為を助長する「買取拒否」は基本的に行われないものと思います。

では、次に「そもそもなぜ金景品は値上げされるの?」を見ていきましょう。

■なぜ金景品は値上げされるの?

通常は市場の金価格より高い値段が設定されている金景品ですが、金の高騰などにより、市場の価格が金景品の価値を超えてしまった場合、ユーザー的には「TUCにもっていかず、金取引所で買い取ってもらった方が得」という状態が発生してしまいます。

そのままほっておくと、パチンコ屋で交換された金景品が、本来の流通ルートであるTUC以外に売られてしまい、三店方式が回らなくなってしまいます。

そこで、金の市場価値との整合をとり、市場価格より少し高い値段で買い取るように値上げすることで、「TUCで買い取ってもらった方が得」という状態を維持し、「パチンコ屋⇒ユーザー⇒TUC⇒パチンコ屋」という本来の金景品の流通に戻すのです。

では、このまま金の価格が上がり続けたとして、そのたびに際限なく、金景品の値上げは続くのでしょうか?答えはノーです。

■パチンコ・パチスロの金景品の上限がある

パチンコ・パチスロは風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)により、景品の価格の最高限度が決まっています。同法施行規則によると、景品の上限価格は「9600円に消費税額を足した金額」となっております。10%の消費税下では10560円が上限となります。(あくまで法律上)

10500円の景品はあまりイメージできませんので、今後引き続き金の価格が高騰を続ける場合は、金景品(大)も10000円までは上がる可能性があるかと思います。

■最後に、金景品交換のすすめ

さて、これまで金景品で利鞘を得る方法について解説してきましたが、最後に筆者から「金景品をなるべく保持し続けず、適度で交換すること」をすすめさせていただいて終わりたいと思います。

昨今、SNSの発展などで情報の拡大範囲が昔に比べて飛躍的に広がっています。実際に金景品の値上げによる利鞘を目的に、金景品を換金せず保持し続ける方も圧倒的に増えていると思います。
ただ、冒頭で筆者が主張した、「値下げの可能性」もそうですが、もう一つ、「ホールの適正運営」を阻害しないためにも、なるべく長期間金景品を保持し続けることは避けていただきたいと思っています。
筆者自身も今回、2日程度金景品を換金せずに保持していたので偉そうなことは言えませんが、仮に(とはいっても実際にパチンコの構造上あり得ないですが)すべてのユーザーが金景品が下がらないと信じて、手に入れた金景品をすべて換金せず保持し続けたとします。

そうすると、いずれ金景品がなくなり、換金サイクルが回らなくなります。それでは、ホールのスムーズな運用を阻害するばかりでなく、一般的なユーザーにも迷惑がかかる(実際今回の件では、金景品保持の対策としてか、2週間程度1日の交換枚数に上限を設けるホールもあったようです)ことにもなります。一人のパチスロ好きなユーザーとして、より一般ユーザー離れを加速させるような状況に放ってほしくないと思います。

また、ホールやTUCの関係者の方が、奇跡的に見ていただいていたら。
一刻も早く対策をとっていただけるようお願いしたいです。金景品の値上げで本来獲得できない利鞘を得るということは、ホールがその損失を負担しているということだと思います。その分は当然、営業の出玉から削られる。
そして、今回のような件で大きな利益を得るのは、数万枚の貯玉をしているようなパチスロ生活者の方など、一般ユーザー以外の層だと思います。

ただでさえ、一般ユーザーに厳しい時代に、遊技以外の部分でも一般ユーザーが割を食う状態は、さらなるユーザー離れを加速させると思います。本当にそれは避けてほしい。(私も学生時代はパチスロで生活してたので、パチスロ生活者の方を非難したい意図は全くありません。ただ、通常の営業以外の要素が原因で設定状況が悪くなり、ユーザーが離れて業界が衰退する一因になると嫌だということです。)
ぜひよろしくお願いします。




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