⑤EPATH’s 2nd Summer School エストロゲン療法について、ヨーロッパの医師に尋ねてみた。
エストロゲン療法の注射薬について
タイのIHRI Tangerine clinicに行った時も
エストロゲン療法(女性ホルモン)の第1選択肢はジェル・パッチ(貼り薬)!で第2選択肢が飲み薬。
よほどなにかあれば、注射と言われていましたが。
日本のエストロゲン療法は、注射が中心です。
私の患者さんたちは、ジェルや貼り薬が多いです。
注射: プロギノン・デポー 10mg/20mg
さて、ヨーロッパに渡り。
色んな先生にエストロゲン療法のリアルを聞いてみたところ。
↑のことは論文ベースでわかっていた。
現在日本に住む ヨーロッパ出身の患者さんたちも、ヨーロッパではプロギノン・デポーが禁止のことは教えてくれていたので....
しかし、ここまで「危ないよ!」と言われるとは。
日本以外の一部の国でも、プロギノン・デポーは使われているので、
こんなにも危ないよね。と言われたことに、驚きました。
ジェンダー外来ではいつも、患者さんたちに血栓リスクを説明しています。
特に、精巣摘出後、45歳以上、喫煙者の方には経皮投与を強く勧めています。
精巣摘出後は、そこまでのエストロゲン量は必要ないので、経皮投与に変更が望ましいかと思います。
しかし….
日本では、時間をかけて何度「注射からジェルや貼り薬に変更しましょう」と説明しても
「注射じゃないと効かない!」と言われてしまうことが多いのです。
これが現状です。
血液検査をしてみると、
ジェル=効かない、ことはありません。
ただし、エストロゲン療法とともに
テストステロン(男性ホルモン)を抑えるための抗アンドロゲン薬をうまく使用することは重要だと思います。
今までの日本のジェンダー医療の歴史を考えると。
まだ注射メインでやっている病院が多い以上、これを変えていくのは非常に難しい。
しかしながら、エストロゲン療法中のトランスジェンダーの方の血栓リスクをできるだけ下げたいと日々思っています。
エストロゲンの内服薬について
エストロゲンの内服薬に関しても、
エチニルエストラジオールは血栓リスクが高くなります。
プロゲスチン(黄体ホルモン製剤)を共に使用することで、さらに血栓リスクが上昇します。
プレマリンの血栓リスクの高さも有名ですね。
じゃあ、
海外ではどのエストロゲン内服薬を処方しているのか!?
海外で処方されているエストロゲン内服薬は下記になります。
ただし、やはり経皮投与(貼り薬や塗り薬)が安全なので、
一番のおすすめは経皮投与です。
国によって使うホルモン薬は異なりますが、
日々知識をブラッシュアップして、
患者さんたちに時間をかけて丁寧に説明していこうと思います。
参考文献
エストロゲン療法に関するわかりやすい説明です。
日本語翻訳にして読んでみるとよいかもしれません。
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