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【フラホル解説】インターネット購入可能なホルモン療法の種類について

先生、ネットでホルモン買いまくって自分で調整していたんだけど
全くからだは変化しないし、
どんどん量は増えるし、お金も飛んでいくし。
体調は悪いし、疲れたよ。

このような患者さんの受診が増えています。

オンライン診療で、女性ホルモンの注射薬を大量に買って、大量に打っているが、体調が悪い….

注射も内服も塗り薬も。
1人1人、適正量があります。

ホルモン療法をすればするほど
明日から全てが変わるわけではないと思います。


インターネットでのホルモン療法薬購入を推奨してはないのですが、質問が多いので、解説します。

★よくある質問★
この薬、ぶっちゃけどうなの?
エストロゲンや黄体ホルモン、抗アンドロゲン薬(男性ホルモンを抑える薬)について。

エストロモン、プレモン(プレマリンジェネリック)
結合型エストロゲンであり、WPATH(世界トランスジェンダー学会)では推奨しない。とガイドラインに記載あり。
他のエストロゲンの形態よりも、7倍血栓症のリスクが高いと言われており、血中濃度でもE2(エストロゲン)が十分に測れないので推奨しない。

https://academic.oup.com/jcem/article/102/11/3869/4157558

プレマリンは、血液検査で効果判定をしにくいため、
知らず知らずのうちに沢山内服されている方が多いですね….


エストロゲンで内服するなら、こちらですね。

progynova 自身で撮影

これはエストラジオール吉草酸エステル(Estradiol Valerate)なので、
血栓症のリスクもそこまで高くなく、使用している国は多いです。

しかし、エストロゲンの内服薬は血栓症のリスクがあるので、
WPATHガイドラインでも、45歳未満までの方のみ内服薬を推奨しています。



◆スーシ―(ダイアン ジェネリック)
➡成分は、酢酸シプロテロン(2.0mg)とエチニルエストラジオール(0.035mg)です。

◆エチニラ
➡エチニルエストラジオール
エチニルエストラジールは血栓症のリスクが高いので、WPATHガイドラインでは、推奨されていません。


◆シテロン
➡酢酸シプロテロンは、男性ホルモン(テストステロン)を抑える薬として、ヨーロッパや一部の国では使用されています。

※強力に男性ホルモンを抑え、副作用のリスクも高いので、使用可能な国は限られています。
※肝毒性の副作用より、USAや日本では使用されていません。シプロテロンは、プロラクチンの上昇、HDLコレステロールの低下、まれな髄膜腫(脳腫瘍)と関連する可能性も指摘されています。

参照:過去記事

シテロンでがっつりと男性ホルモンを抑えたが….
女性ホルモン(エストロゲン)量が安定せずに、
更年期症状(だるい、汗をかく、眠い、イライラする、鬱々する、眠れない)で受診される方も多いです。


AMABトランスジェンダー(トランスジェンダー女性、MTFの方など)の基本的なホルモン療法の方針は、
エストロゲン+テストステロンブロッカーなので、
エストロゲンの安定と、テストステロンの抑制をうまくコントロールすることが、QOL上昇につながります。


私は、エストロゲン療法は、貼り薬や塗り薬を処方しており、
抗アンドロゲン薬は、スピロノラクトンを処方しています。



黄体ホルモン製剤については以前も書きました。

◆マレフェ(プロベラ)
➡メドロキシプロゲステロン酢酸エステル(MPA)
これは、WPATHガイドラインでは推奨されていません。
私も処方しません。
血栓症や心血管疾患のリスクを増加させる可能性があるからです。

特に、プレマリン(結合型エストロゲン)+メドロキシプロゲステロン(MPA)の組み合わせは、乳がんや心血管疾患(血栓症など)リスクが高くなると言われています。

海外で使用されている黄体ホルモン製剤は、微粒子化プロゲステロンであり、日本の商品名はエフメノです。


なかなか薬を買いに行く勇気がない…
遠方でジェンダークリニックがない….
など、
みなさん、色々理由があるかと思います。

ただ、健康のためにも、安全にホルモン療法を行ってほしいと思っています。

女性ホルモンの自己調整により、血栓症になった患者さんに何名も会いました。
定期的な血液検査をオススメします。


フラホル中の方の血液検査のみの受診も受け入れています。

「一度相談をしてみたい」という方もウェルカムです。


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