詩『私が愛するビール(もどき)』
題名
『私が愛するビール(もどき)』
私はビールが大好きです。
ほかのお酒も飲みたいのですが、あの快感を脳が覚えていて私を自由にしてくれません。
脳が飲みたがるのです。
スカッとしたいならビール。
冷凍庫に入れて、凍る寸前に取り出すのがベストなのですが失敗もちょくちょくしてしまう。
しかし、うまくいったときの缶ビールもどき?は最高だ。
唇から感じる凍るような冷たさと、のどに駆け込む強烈な冷たさは夏のご褒美の最上級だ。
そして、その液体がのどを通ると、のどがキューっと搾られてゆく。搾られて苦しくなるのですが、ここを必死にこらえて耐えるのです。そして、飲み終えると、搾られるような刺激から一気に解放されて、クィ〜って物凄い快感がのどを襲います。
しばらく、その快感に酔いしれてしまう。
そして、遅れて、腹の底から、今度はアルコールのまるで数十万の大軍のような強い刺激が頭に向かって沸き上がってきます。
カーっと熱くなる快感が、全身の細胞を一気に駆け抜け刺激して、弾け飛ぶのです。
生きている!!!
しあわせだー!!!
そう思わせる瞬間だ。
それから、遅れて、ゲップ。
実はこれもいい。
余韻というヤツだ。
たった一口で、これだけのドラマと快感があり、これに勝る幸福を私はあまり知らない。
そして実はビールとの大恋愛はすぐに終わる。
あとは、ひたすら昔の恋人を思って慕って追いかけるのである。
あの瞬間の恋人に出会いたくて、ビールを飲みまくるのだけれど、けっして会うことはない。
ビールとは、衝撃的な大恋愛と失恋の味でもある。