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いさり火(静岡・伊豆大川温泉)宿泊記*2015年12月
食、温泉、星空、海。伊豆の自然をまるごと堪能できる宿
今回宿泊した、伊豆大川温泉「いさり火」は、東伊豆の海岸道路から山側へ少し入った高台に位置します。急な坂道やヘアピンカーブ、幅員の狭い路地を注意深く抜けて宿に到着。運転に不慣れだとすこし不安かもしれません。
エントランスを入るとすぐ横にラウンジがあり、こちらでお茶とお菓子をいただきながらチェックインします。大きな一枚板のテーブルや、木のぬくもりを感じるいろいろなデザインのチェアが点在しており、全面の窓からは相模湾が一望できる心地よい空間です。ラウンジではセルフでコーヒーのサービスもあり、夜にはお酒もいただけるようです。
[客室]全室に源泉掛け流しの露天風呂が
こちらの宿は、全12室すべてに源泉掛け流しの露天風呂が付いており、今回利用したお部屋は、「露天風呂付きベッドルーム」という40平米の洋室でした。
数年前にリニューアルされた部屋だそうで、ブラウンの色調でまとめられたシックなお部屋です。
海が見える窓際には、重厚なダイニングテーブルが置いてあり、食事はここでいただきます。
ベッドがすぐ横にありますが、食事中すぐそばにベッドがあるのが気になる方は、簾と障子で目隠しすることもできます。ベッドの向かいの壁には40型のテレビが掛かっており、サラウンドスピーカーが完備されていて、普通のテレビ番組を観ていても音が立体的に響いていました。ブルーレイレコーダーも備えてあるので、好きなDVDを持っていって、いい音で堪能するのもいいかもしれません。
[温泉]豊富な湯量で高温の源泉掛け流しが楽しめます
部屋付きのお風呂は、露天風呂といっても“窓を全開にすれば”という感じで、実際は檜張りのビューバスといった雰囲気です。2階なので立ち上がって外へ乗り出そうとすると宿の駐車場が見えてしまいますが、気にするほどではありません。
鉄分を多く含んでいるため、茶色く濁ったお湯で、湯船の底が見えないくらいです。源泉の温度は73.3度と高いため、チョロチョロと掛け流してある状態でもかなり熱く、水を足してもいいのですが、せっかくの源泉掛け流しなので、我が家は一旦お湯を止めて数時間放置して冷ましてから入りました。
部屋のお風呂を冷ましている間に、大浴場へ行ってみました。1階から階段を下ると、独特な世界観の通路が現れます。ピラミッドや古代遺跡に迷い込んだような不思議な空間です。ここを抜けると2つの大浴場の入り口に到着します。向かって右が男湯、左が女湯となっていますが、午後9時を過ぎると、両方貸切風呂となり、空いていれば予約しなくても中から鍵をかけ自由に入れます。
浴室から露天風呂へ行けるドアがあり、外に出てみると竹垣で囲われた結構な距離(20mくらい?)の小径が通っています。
小径の途中で宿泊客の女性とすれ違い、「ここ、本当にこんな格好(裸)で歩いていいのかしら?」という会話も生まれたほどです。
小径を抜けると露天の岩風呂が目に入ってきました。常緑樹に囲まれ、その隙間から海も見渡せます。外を丸裸で歩くことになるので、冬場などは屋内のお風呂でよく温まってから露天に行くほうが良いかと思います。
[食事]伊豆の海の幸と山の幸をたっぷり堪能!
食事は先述のとおり、夕朝食ともにお部屋でいただきます。料理はさすが海も山もある伊豆という立地だけあり、地元で水揚げされた新鮮な伊勢エビ、魚介や、地物野菜をふんだんに使ったものばかりで、旬の素材をとてもいい状態で提供されます。
こちらの宿は、「磯小町会席」という、通常の献立より少なめのコースがあり、少食な我が家はこちらをチョイスしました。通常のコースと比較すると、1品少ないだけでしたが、私たちにはちょうどいい量で、最後の金目鯛のお茶漬けまでお腹が苦しくならずにいただくことができました。
料理そのものは、奇をてらったような凝ったメニューというより、いい素材をシンプルに料理している印象です。それだけ素材に自信があるということでしょう。
食事が終わり片付けていただくと、すぐにゴロ寝できるのが部屋食のいいところです。ベッドはシーリー社のキングサイズのもので、ふわふわの羽毛布団に包まれて、雲の中にいるような寝心地でしたが、横で寝ている夫の寝返りの振動を割と拾ってしまうベッドで(夫も私の寝返りのたびに振動が気になったと言っていました)、そこだけがやや気になりました。
純和室の客室もあれば、今回私が滞在したベッドのある洋室もあり、すべて趣きの違うお部屋だそうなので、何度リピートしても違う印象で滞在を楽しめそうです。また、各部屋に温泉があり、食事も部屋食のため、チェックインのとき以外は他の宿泊客に会うことがほとんどありませんでした。小さい子どもが居るなどでなるべく館内での移動を避けたい方や、誰にも干渉されず部屋に籠って気ままに過ごしたい方にはおすすめの宿かと思いました。
※写真と内容は2015年当時の情報です。ご了承ください。