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【ショートショート】いなくなる恋人
私に告白した人は、みんな死んだ。
私に告白した翌日に、みんな不慮の事故にあって死ぬのだ。
私は中学から今通う高校に至るまで、多くの人に告白された経験をした。けれど、告白された人と一度も付き合ったことはない。それは私から断ったのではなく、告白したその人が翌日になったら死ぬからだ。
そのため、一時期クラスのみんなから、彼女に告白すると死ぬ…みたいな噂が流れてきたことがある。そのせいで、私はクラスから孤立した。
でも私はそれでいいと思っていた。自分のせいで誰かが死ぬのは耐えられない。だったら、私は自分1人でいる方がマシだと。
それでも私に告白してきてくれる人は多かった。私は嬉しくない訳ではなかった。その人の告白を受け止めて、最初はその人のことを何も思っていなかったけど、その人のことを好きになろうと決めて、明日がその人と過ごす日々を思うだけで、楽しみに思えた。
でも、いつもそう思った矢先にみんな死んでいくんだ。
今日も、私に告白してくれた人が学校の屋上から飛び降りた。
私は自室で1人、自分を好きになってくれた人の死を悲しんだ。
その時、扉からトントンと叩く音が聴こえた。
「お姉ちゃん…いる?」
妹が、自分を心配して声をかけてくれたのだ。扉をガチャリと開け、妹が私の側に座り、そして抱きしめた。
「大丈夫…大丈夫だよ、お姉ちゃん。いつも私がいるから」
私は涙が溢れた。そして嬉しかった。今まで私を好きになってくれた人はみんな死んでしまって、そしてクラスからも孤立していた私を、それでも側にいてくれると言ってくれる人の存在に。
「今まで死んじゃった彼女さんも、最期にお姉ちゃんに告白して嬉しかったと思うよ!」
妹がそう言って励ましてくれるのが嬉しかった。でも少し、気かがりな部分があった。
私は一度も「女性」に告白されたと、妹に告げていないのだ。
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