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娘が珈琲豆を挽いた
ある夜ぼくが珈琲豆の断末魔を聞いていると4歳娘がやってきて、
「とうちゃん、それわたしがやる!」
と言うので手挽きミルを渡した。
珈琲豆を噛み込んだコーヒーミルのハンドルは重い。
これまでもちょくちょく娘はコーヒーを挽きたがったが、ハンドルを持つ娘の手にぼくの手を添えていっしょに回してやってはじめてグリゴリグリゴリとやれていた。
でも今の娘、けっこうパワーある。ぼくはハンドルは完全に娘にまかせてミル本体を持つだけにした。
すると──
ごりっぎっごりごりっ
と娘がハンドルを回した。大人がやるように片手はミル本体に添えて、片手はハンドルを握って、ちからを入れやすいように体に引きつけながら、ゆっくり、ぐるぐるごりごりと回していた。
初代プレイステーションの『Sa・Ga フロンティア』ってRPGがあって、主人公のひとりブルーのラスボス戦で、とどめを刺した瞬間、突然画面が止まってど真ん中に「THE END」の文字がドンと出てくるんですけど、その演出が好きで、人生のそこここで感動するたび「あ、ここでいきなり画面が止まってTHE ENDってなったら最高だな」って思う。
それが来た。
ぼくが手をミルに手を添え、ハンドルを娘がまわす。
ごりっごりごりっ
「すごいやん! 回せるようになったんやー」
「えひへへへっ」
THE END!!
余談だが、その日、娘とお風呂に入ってるとき、
「とうちゃん、さっきのコーヒーぐるぐるするやつやって!」
というので娘をコーヒーミルに見立てて頭上でハンドルをぐるぐるするジェスチャをすると、娘がくねくねとダンスするのがかわいかった。
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