対峙するふわふわの構え
あした子どもが産まれます。
あした、子どもが、産まれます――ってすごいな。すごい状態だ。第一子だ。やばい。
諸事情により帝王切開なので、日程が確定しているのだ。
名前を決めたり、入院の段取り確かめたり、出産後の手続きをチェックしたりとか奥さんと一緒に備えはしてるけど、心のスタンバイについては、ふわっとしている。
わからん。この状態、なに!?
漠然とした不安とか、ワクワクとかはありますが、それはなんか、遠い未来の他人事みたいな、ははぁ第一子ですかぁそりゃあいいですなあ、きっと可愛らしくて仕方ないでしょうなぁ、みたいな認識だ。
でも、それは遠い未来でも他人事でもない。明日で、自分だ。自分たちだ。
「明日やなあ」
「ほんまやなぁ」
とかいう会話はするし、いろんな思いが渦巻くが、どう心構えしていいかわからんので、朝ご飯たべて、一緒にお散歩して、帰って録画してた旅番組みたりする。
しかし、産まれたら、そこにはK・O・D・O・M・Oという、R・I・A・Lが厳然として有る。
それは、ふわふわした他人事ではなく、ごりっとソリッドな人間で、アクセルべた踏みで生き尽くさんとする火で、我らが育む女の子だ。
甚だウェルカムである。望むところだ。どんと来い。
自然、ぼくの中の空手家が、すっ、と淀みない動作で前羽の構えをとる。未知や困難に立ち向かう場面で、いつも脳裏に結ぶ像だ。その空手家は、いい顔をしている。ひるまず、油断なく、適度に弛緩していながら、強靱で、どこか優しい……。
えー、まあ、要約すると、なんかそわそわする! だ。
はあーどうしましょ!
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