今更プレイ、レビュー「喫茶(カフェ)ステラと死神の蝶」
大前提
『作中通して、〝喫茶=カフェ〟表記がほぼ全てでした(二度と〝きっさ”と呼ばないでくれ〘魂の叫び〙)』
(全体の感想しかしゃべりません、本編の世界観説明すらしません、ネタバレの心配なしです)
ごく少量でもその魂に、興味の光がともった場合は買って頂くことを私は強く推奨します。
粗感想
本作は老舗メーカーである「ゆずソフト(YUZU-SOFT)」の作品だけあってか、全体的な完成度が高いです。
以下簡易評価(10段階評価)
初心者お薦め度9(超お薦め)
イラスト綺麗度9(マジデキレイ)
台詞難易度8(簡単に読める)
演技度9(余念なし)
シナリオ完成度8(ノンストレス)
ここから下は詳細レビューです
・初心者お薦め度9(超お薦め)
本作品はよくある作品とはちがい、1回の分岐ではルートが確定しないというちょっと色があります。ですがフローチャート機能を用いてしまえば、ルートを選択しやすいです、セーブをして分岐にいちいちもどるなんて面倒な作業は勿論、分岐以外にもエピソード事に区切られているのでお気に入りのシーンに直ぐにもどれたりと操作楽々です。
ですが、これになれて他の作品をやってみると肩透かし、というかできの悪さにがっかりするかもしれないです。ですので、あくまで本作は「老舗の自信作」ということを忘れないで下さい。
・イラスト綺麗度9(マジデキレイ)
さすが老舗、台詞を言っている最中にキャラクターに動きが入ったり、目元が動いたり、立ち絵が変わったりとが超滑らかに行われます。
ですが、行為シーンなどを含めて作中で一度もライブ2D的ななめらかさは無く、あくまでもテンポ感とタイミングのよいイラスト変更の域をで無いことはご留意ください。
・台詞難易度8(簡単に読める)
紅茶系などであまり普段使わない言葉が出てきますが、それは基本その場で説明されます。あやふやに進めなくて済みますのでご安心を。また面倒な四字熟語などは出てきません、作中で一番読みにくい漢字はキャラクターの名前だと胸を張って言えるほどには、行為シーンでは官能小説的な隠語などは使われませんのでご安心を、ですが直接的な奴は出来てきますし、簡易モザイクかかります(ですがストレスにならない程度のなめらかさなので安心して下さい)。
・演技度10(余念なし)
声の緩急などは勿論、作中全体でキャラクターの心情描写に合わせた声のトーンなどが変わります。超のめり込んで進むことが出来ます。(不安だった公式が音声付4コマを公開しています、これを見ればクオリティが解るかと思います)。たとえ文字としては「うーん、…」などとなっていてもそれがそのままの音読では無く、キャラに合わせた個性的な物になっています、これはノベルゲーム特有の文字と音声を同時に出されるからコソの良さであり、これを高品質出だしてくるあたりやはりといった具合です(ついつい喉からうなり声がでる良質な逸品といっても過大なし)。
ちなみになのですが、立ち絵が無いキャラクターでも音声がついています、ついついキャラクターが想像できるほどの分かり易い演技です(あれすでに出てきたのに忘れてるのか、とつい不安になるほどです)。
・シナリオ完成度
シナリオライターが3人も参加しているのに作中通して矛盾がないです、ルートを越えるとおきる多少の違和感はありましたが。(かずきふみ先生が参加しているので私として超満足)
エロゲでなくても創作物全般として、男女が急に仲良くなるとかに違和感を感じる私ですが、本作はなるべくしてなったをしっかりとかみしめさせてくれます。(なにせ個別ルート入ってなお、お預けされますからねそれもほぼ全キャラ)
キャラクターの丁寧な台詞回しとそれがその子の個別ルートによって解決する感じは、まさにマルチルートの真骨頂といった具合です。
また日常をしっかりかくので、タイトルでファンタジー色強めかななんて尻込みしている人にはカウンターパンチといして映るんじゃないかと思うほどです、てか日常パートではパンチの強い言葉の嵐、個別ではドロドロ甘々と使い分けてくるのも流石です。ほかにも世界観をみせるためにあえて淡泊な表現技法を用いてくるあたり、シナリオライターが全員手練れであることをこれでもかと見せつけられた気分です。その反面、個別ルートではやはり、重い部分も見えてきます、ですがあくまでも「虹を見るには先ず雨をこえないとね」的なやつです、すこしストーリーを見る手が止まるかも知れませんですが臆せず、自分のペースで楽しみましょう。
・総評
大満足、ですね。キャラクターは愛着が持てます。ですが一番いいのは、本作の男性陣、私は創作物はあえて鼻つまみ者になりがちなキャラクター(百合の男友達とか、BLのお姉ちゃんとか)そういうが一番大事だと思っています。本作なんと主人公の大学での友人と、カフェでの上司の二人の男性が日夜サポートしてくれます、これはなかなかに気の休まりつつ主人公を導いていて、心地よいとすら思えました。
ほかにも主要人物が大体三つくらいのグループにわかれて会話を回すのでとても聞きやすい(主人公をつっつくときは反転して総攻撃に遭います、それどころか男まで加わることがある始末です、ですがこれで個別ルートに入るとそれが二手に分散するので良い感じになります)、そしてコミカル。これが初めてのエロゲだと他作品が物足りなくなったり、ブランド原理主義になりそうで個人的には逆に進めにくいくらいです。ですが業界越境した名言製造機四季ナツメ(もうこいつ実質メインヒロインだろ)など個性豊かです。ですが恨み言を言えるのなら、俺イチオシヒロイン、汐山涼音がサブヒロイン扱いなのは許せぬ。(メーカー的には攻略可能な女の子5人のうち、汐山涼音さんを除いた4人がメインヒロイン扱いらしく、それに準拠して4人でパッケージを飾っているそうです。)許せぬ!!、だがナツメさんを見るとなんともまぁ言わんとすることはわかる。だが俺は汐山涼音がイチオシです(鋼の意思)。