今更プレイ、レビュー「リドルジョーカー(RIDDLE JOKER)」
『伝説のパット系ヒロイン、三司 あやせ登場作品』
(ネタバレをするとしても、匂わせまたは共通ルート範囲内ですので、ご安心ください)
・粗感想
本作は老舗メーカーである「ゆずソフト(YUZU-SOFT)」の第十作目の作品(2018年発売)です。
以下簡易評価(10段階評価)
初心者お薦め度9(超お薦め)
イラスト綺麗度9(マジデキレイ)
台詞難易度8(簡単に読める)
演技度9(余念なし)
シナリオ完成度7(人によってはひっかかるかも)
ちなみに今回は「七海→茉優→あやせ→羽月→千咲」 順番でプレイしましました。
以下詳細レビュー
・初心者お薦め
人生二作目のゆずソフト作品ですが、今作もやはり分岐は複数回に分かれていて、それぞれのヒロインと誰にも行かない共通ルートで終了の二つに分かれます。ですがいずれも、フローチャート機能を用いれば何のストレスも無く走りきれるのでご安心を。(けどこのフローチャート機能に初心者から馴れるといろいろ作品を触れると痛い目見そうという謎の老婆心は拭えませんが)
・イラスト綺麗
さすが老舗、台詞を言っている最中にキャラクターに動きが入ったり、目元が動いたり、立ち絵が変わったりとが超滑らかに行われます。
ライブ2Dやそれに準ずるような技術は採用されては居ません、そのためあくまでもなめらかに変わると言うだけです。ですが、じらし的な時に、一枚絵と立ち絵に交互に切り替わるシーン等もあるので、こちらの方が心地よいまでありますね。それと主人公の幼少期の立ち絵が出てくるので、これは人によっては気にするのかなとは一瞬思いました。(自分としては何なら行為シーンでも主人公のことをガンガン出してくれて構わないのにくらい、主人公を気に入りましたけど)それよりなにより、キャラクターの目がまぁ良いのなんのって、冷ややかなというか、どこか虚構を見つめているジト目(とくみ式部 茉優先輩)はいろいろと良かった。それと個別ルートのハート目のあやせも可愛かった、SDが拍車をかける。(語彙力の消失)
・台詞難易
ヒロインのうち一人に少し雅な大和撫子系の少女が登場しそのこが少々言葉遣いに癖ありですが、四六時中ではありませんし、出てきてもまるっきり読めない、理解できないと言うほどでは決してないのでご安心ください。その他、個人的にはあまり機器なれない熟語が有りましたが文脈で十分に意味は取れましたし、なにより調べればサクッと出てくるレベルだったので、もしかしたら自分が無知なだけだったかもしれません。淫語の類いもこれといって出てこないので、比較的普通のエロゲが読めれば十分に楽しめるかと思います。
・演技
今作もやはり、公式で声つきの四コマが有りますねで、不安であれば是非是非確認してください。字面ではとても読みとれない、キャラクター達の声がまぁ多いのなんのって、フルプラをちゃんと買って、音声を隅から隅まで堪能する価値正にここにありといった具合ですね。とくに三司 あやせボイスはまじで良かった。(もともとnineの空役などのイメージがあってなのかどうしても癖になっている節がある、あのこび、素、ドスボイスの三者三様の変化がまじで、個人的に好きすぎる)個人的に泣く系の演技が一番難しいと思っているのですが、今作その点でストレスを感じる瞬間がぴっくりとも無かったので、この点は一押しポイントです。
・シナリオ完成
複数のシナリオライターさんが参加しているとのことでしたが、これといった設定の齟齬は無かったです。それどころか引き込まれるシナリオの時なんて、主人公がヒロインに秘密を抱えなければならないシーンでこちらまで胸を締め付けられたほどです。ですがアストラル(この世界の超能力の名前)これは冒頭をはじめ、それぞれ解説らしいものをされましたが、今一つかみ所の無いものという印象は拭いきれませんでした。ですがこの作品はあくまでそういう、誰にでも起きこり得ることとそれを抱えた少年少女達、それを取り巻く社会、それを色々な方向色々な思惑をもって変えようとする人々のお話しなのでこれと言って深掘りしないほうが、かえってキレイなのまとまりになっているのかもしれません。少なくとも個人がアストラルとどうつきあうのか、それに関しては過不足なく描かれていたと思います。すこしひかっかるところが有ったのならそれは各ルート毎で、外的要因がかなり違うことです。これは自分がSFのお里出身なせいで、ある程度外的要因は共通しているという固定観念を持っているだけかも知れません。それと攻略ヒロインのうち2/5は過去が結構がっつり絡みますので、苦手なひとはご注意を。プレイするなら「あやせ→茉優→七海→羽月→千咲」がお薦めですね。キャラクターが掴みやすい。
・総合感想
大満足、ですね。本作はシナリオのところでも言った通り、超能力とそれにつきあう人々のお話しです。無論、規制派もいます、肯定派もいます。それらが表裏関わらず争うこともあります。なにより、主人公はそうった事案で、政府の肯定派に属する工作員であるため、人以上にそれらにふれあう機会が多いです。そういったものを事細かに描きながら、工作員としての、人として、能力者として、恋人として、主人公は色々な苦難に見舞われます。ですがこれはなにも主人公だけではありません。ヒロイン達もリドル・ジョーカー(謎を秘めた切り札)なので抱える者多し手です。そうでなくても普通に魅力的ヒロインなんですよ、ここまで全体的キャラに評価額高いのは久しぶりというレベルで。パット系ヒロインだの、幼馴染み系一途お姉さんだったり、健気で同僚な妹、属性過多の大和撫子系武士、強くて優しい懐かしい系だの語る幅がまぁ広いのなんの。ですが個人的にこの子達を差し置いて、男の娘系親友の周防恭平。なにより在原隆之介、伊勢篤紀という二人の男を語らずには居られない。といっても伊勢篤紀は特定のルート以外では理事長という立場もあってか、登場しません。ですがその特定ルートでは、しみるのなんのって、ネタバレなるから語れないのが口惜しい限りです。在原隆之介は、主人公の養父、どこか飄々とすら言えるような人物像で、娘と息子が大好きな調子のいい人です。が同時に主人公の属する組織の直属の上司でもあり、失敗を悔やみ、ときに父親との狭間で無茶をするそんな漢です。RIDDLE JOKERには是非とも親父過去編をくれよと嘆願せずには居られない、そんな酸いも甘いもも知り尽くした雰囲気の隠しきれない良い男です。
総じて、ゆずソフト総合力1位などの二つ名をもつのも伊達じゃない、そんな安定した面白さと感情に訴えるシーンの多さには身震いさせられました。正直、折角喫茶ステラやったからそのノリで、ゆずをもう一作なんてノリで、やらないでこのためにということをすれば良かったと心底公開させられる逸品です。
てか「O・BA・KA・SAN」が脳裏に張り付いた、EDとか差し置いて、張り付いてしまった。