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ShortStory『シャッター通り』

幼い頃、おばあちゃんに手を引かれて訪れた、商店街の縁日。

会う人は皆、親戚のようで。

「元気か?」とか「大きくなったなぁ」とか、屈託なく笑って声をかけてくれた。

あの空間が、とてつもなく好きだったなぁ。


───午後2時34分。

30年振りに訪れた商店街は開く事のないシャッターが建ち並び、過ぎ去る時の中で“何か”が起きるのを、ただじっと待っていた。

いつも記憶の片隅にあったあの光景は、もうここには存在しない。

しかし、帰ろうとしたその時、ひとつの音が希望を繋ぐ。


シャッターを切る音、だ。


ゆっくりと目を瞑れば、過去にも現在にもない景色が浮かぶ。

カラフルでフォトジェニックな人々の笑顔が集う、通り。

私にできるかは分からない。

けど、“何か”を待つだけじゃ駄目なんだ。


シャッター音と人の熱が途切れないあの空間をもう一度、創り出したい。

私の幸せの原風景である、あの空間を。


│物語図鑑とは、

Instagramで出会ってくださった方々のお写真をお借りして
1枚のお写真からソウゾウされるShortStoryを紡ぐ企画です。

誰にでも、どこにでも、どんな瞬間にも物語がある事を信じて
物語を書き続けています!

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▼今回の元投稿
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