AWS re:Invent 2024の記録(5年ぶり2度目の参加を振り返る)
はじめに
自己紹介
シンプレクス株式会社クロス・フロンティアディビジョンの松本です。
本記事では私が2024年12月2日〜12月6日に開催されたAWS re:Inventに参加した記録を記載します。
タイトルの通りですが、AWS re:Inventには5年前の2019年に初参加し、今回5年ぶり2度目の参加となりました。
なお、筆者はJapan AWS All Certifications Engineersに2023年、2024年の2年連続で選出されており、今回の参加はそのご褒美という話もあるとかないとかです。
記載のモチベーション
2025年以降のAWS re:Inventに初めて参加される方や久しぶりに参加される方向けに、2回分の経験を踏まえた参考情報を提供したいと思っています。
準備からイベント、帰国までについて順に触れていくので、何か役立つものが見つかれば幸いです。
準備編
航空券、ホテル、カンファレンスパス
絶対必要な3点セットで、半年前ぐらいには準備しておくことを推奨します。
航空券、ホテルについては同行する他の人にまとめてやってもらったのでそんなに言えることがないですが、旅行会社のツアーでなくても大きな問題はないということが今回分かりました。
(だいぶ安く抑えられたようです)
カンファレンスパスは個々人で購入する必要があるのでお忘れなく。
パスポート、ESTA(or ビザ)
これも絶対必要です。
パスポートは持っていなければ当然発行が必要ですし、持っていても期限が切れていないことはもちろん、渡航時に期限に十分余裕があることの確認も必要です。
また、日本国籍の場合、多くの場合ESTAによる簡略化された入国手続が行えますが、こちらも事前に申請が必要なので忘れないようにしましょう。
(なお、過去の渡航先などによってESTAが使えないケースもあり、その場合はビザを取得する必要があります。私もこのパターンだったのですが面倒かつリードタイムが長いので要注意です)
※この項の内容について、最新の情報は外務省や米国大使館の発信するものをご参照ください
セッション予約
セッションの予約は約2か月前(今回は10/9 午前2時)にオープンになります。
早いもの勝ちの競争なので、どうしても予約したいものがある場合、オープンの瞬間を夜更かしして待ち構えたほうが良いです。
なお、実際にはアナウンスされた時間より前から予約可能になっていることが多いらしく、今年も少なくとも10分前には予約できる状態でした。
GameDayなど人気のセッションを予約しようと思っていたのですが、その時点では予約不可扱いになっていたため、いくつかのInnovation Talkなどだけを予約しました。
※GameDayは後日予約可能になっていました
セッションの選び方としては、よく言われることですが、体験型のものを優先するのが良いです。
ブレイクアウトセッションは現地で空き時間ができたときに探したり、列に並べば入れたりするので、予約の優先度は高くないです。また、新サービスのセッションは開催期間中にオープンになることもあるので多少空き時間を設けておくのがお勧めです。
持ち物
手持ち荷物はノートPC(MacBook Pro)と充電ケーブル類、スーツケースはほぼ服だけで、SWAGの分のバッファを加味しても機内持ち込みサイズ程度に収まりました。(他の人は倍ぐらいのサイズのスーツケースを利用していたのでおそらくかなり少ない方です)
服はカジュアルな普段着がほとんどで、一応ジャケットだけ持っていきましたが結局使わなかったです。
靴もスニーカー一足だけです。
防寒着としてはユニクロのウルトラライトダウンジャケットが活躍しました。
なお、よくモバイルバッテリーが推奨されますが、私の場合はホテルで夜充電するだけで十分でした。
お金について、現金は円を普段使う程度とドルは前回渡米した時の余り(30USD程度)、あとは海外キャッシング可能なクレジットカードを持っていきました。
実際はほぼApple Pay経由のクレカ決済しか使わなかったので、両替もキャッシングも特に必要なかったです。
後から振り返ると、乾燥がひどいのと、とにかく歩き回るので、リップクリーム、ボディミルク、絆創膏あたりは持参しても良かったかなと思います。
ただ、現地でも買えます。
渡航~前日まで
渡航
土曜昼発、土曜朝着のLA経由のアメリカン航空で渡米しました。(時差マイナス17時間なので巻き戻る)
行きの飛行機はほぼずっと起きていました。
(時差ボケ対策的にはずっと寝ていた方が良かったかもしれないですが、後述する観光ツアーで睡眠時間がめちゃくちゃになるためあまり気にしないことにしていました)
土曜日(滞在1日目)
ラスベガスに着いた後、空港からホテルまではUberで移動しました。ただ、チェックインが午後3時だったのでそれまではブランチを食べたり会場の下見をしたりして時間を潰しました。
有償で30分程度だけ早くチェックインができたので、少し仮眠をとり、近くで夜ご飯も食べました。
日曜日(滞在2日目)
他社の方が企画してくださった、AWSパートナー企業合同のグランドキャニオンツアー(総勢20名程度)に参加しました。
集合が午前2時、解散が午後7時で1,200kmをマイクロバスで移動するというなかなかの強行軍でしたが、様々な観光名所を回ることができ、満足度が高かったです。
ラスベガスに戻ってきて、まだぎりぎり受付ができる時間だったので、AWS re:Inventの参加証(バッジ)とSWAG(おみやげ、今年はプルダウンのパーカー)を受け取りました。
イベント開始後
月曜日(滞在3日目)
特に目立った時差ボケはなく、ぎりぎりで会場の朝食(9時まで)にも間に合いました。
サーバレスのCode Talkに参加したり、認定者ラウンジでカフェラテを飲んだり、Self-Paced Labで生成AIサービスを触ったりしていました。
夕方はAmazon Monitoring & Observability Customer Connection Panelという交流イベントに参加したのですが、日本からの参加者がほぼおらず、アテンドしてくださったAWS社の方と関連サービスの担当チームの方とディスカッションする感じになりました。
夜は寿司ブリトーなる食べ物を食べましたが、普通に海鮮太巻きで美味しかったです。
火曜日(滞在4日目)
朝からCEOのキーノートに参加しました。
その後はExpoを少し回り、公共領域の事例紹介を聞き、Sports Forumで軽い運動(特にAWSは関係ない)もしました。
ExpoではPokerVisionというARでポーカーの学習ができるアプリが面白かったです。
同日、開発プロセスに対して生成AIをいかに組み込むかというイノベーショントークも聴講しましたが、関心領域と近いので興味深かったです。
この日はうっすら体調が悪く、程々の活動で切り上げ、早々に寝ました。
水曜日(滞在5日目)
早めに寝たら何とか起きられたので、5K runに参加し、早朝のラスベガスを走ってきました。
程よい涼しさで走っていても不快感がなく、終わった後には少し体調が回復した気がしました。
一旦ホテルに戻って休憩後、会場内の様々な展示を見て回りました。
ホログラムになったり、動きに合わせて画像をリアルタイム生成するカメラの前で踊ってみたり、自撮りをAIで加工してもらったり、音声認識でリアルタイムに顔を有名人に変換してみたり、プロンプトで画像生成してみたり、カードゲームでアーキテクチャを学んでみたり、勝手にホールインワンするゴルフボールを見たり、落書きをきれいな画像と広告にしてみたり、などいろいろです。
その後はAI系や金融系のイノベーショントークを聞いていました。
この日はEBC(Executive Briefing Center)というイベントもあり、AWSの開発チームの方と同時通訳付きの45分枠でディスカッションする機会がありました。
テーマはDevOps Cultureでしたが、ちょっと時間が足りず表層的な話に留まってしまったので、もう少し自社の課題感を深掘りして臨むべきだったなと反省しました。
一方、AWS様のカルチャーや問題解決のアプローチが聞けた点で有益ではありました。
木曜日(滞在6日目)
この日はDr.Wernerのキーノートからスタートです。
アーキテクチャの一般的な考え方の話を踏まえつつ、当たり前のことを積み重ねてこれまでできなかったことを成し遂げたというAurora DSQLの誕生秘話(?)は非常にアツく、イノベーションの事例として印象深かったです。
この日もExpoを回りましたが、前日までより積極的にいろいろなブースの話を聞いてみました。
一見、自社には関係ないと感じたものもありましたが、立ち寄って話を聞いてみると、役立ちそうな話だったり、直接使わないまでも考慮した方が良い話だったりに出会うことがあり、良い経験になりました (SWAGもいろいろもらいました)。
その後はSageMakerの最新アップデートのセッションを聞き、最後にAmazon Qのワークショップに参加するつもりだったのですが、残念ながら環境トラブルでログインできず断念しました。
若干時間が空いたのでラスベガスの街中でZiplineを初体験しつつ、公式のパーティー・イベントであるre:Playに参加しました。
(今回のre:Playは最初から最後までいたのですが、5年前と比べて自分がライブ慣れしたためか、めちゃくちゃ楽しかったです)
金曜日(滞在7日目)~帰国
この日も一応セッションは午前まであるのですが、完全に燃え尽きていたので特に参加せず。
昼食をみんなで食べ、少しカジノで遊んでから早々に空港に移動しました。
金曜夜発、日曜早朝着のLA経由のアメリカン航空で帰国します。
帰国便は半分くらい寝ていました。
日曜の午前を寝て過ごし、翌月曜から通常勤務でしたが特に目立った時差ボケもなく、体調も崩さなかったです (良かった…)。
感想
アメリカはいろいろな意味でデカいです。
このスケールを体感するだけでも行く意味があると感じます。
もちろんAWS re:Inventもデカく、イベントの規模や参加者の熱量に圧倒されます。
技術的な面では、今年はBedrock(生成AI) Yearだったというのが率直な印象です。
5年前は似たようにSageMaker(機械学習) Yearだったのですが、機械学習から応用の生成AIへと、技術が順当に進歩している感があります。
5年前も思いましたが、その分野に対して自分自身のキャッチアップが全然追いついていないので、隙を見つけて触っていかないとなあ、という思いを強くしました。
また、今回のAWS re:Inventを通じて、何回かAWSの方々とディスカッションする機会がありました。そこでは、AWSの方々はとんでもない天才だけの集団というわけではなく、我々と同じ人間、同じビジネスパーソンで、同じ課題を同じように悩み、同じように問題解決を積み重ねているのだなあ、という印象を持ちました。
AWS様と当社、またはその構成員同士が同じレベルということを言いたいわけではなく、スケールの異なる組織だったり国が異なったりしていても、エンジニアとしての思考プロセスは共通している部分があるということが分かり、新鮮な驚きでした。自分たちも練度を上げれば同じレベルまでいつかきっとたどり着けるはず…という希望にもなりました。
そして、会場内の各種展示やExpoのブースを回って、様々な新しい技術やサービスを見聞きする中で、技術って面白いものなのだという喜びというか、好奇心が満たされる楽しさを思い出したような感覚があります。
もちろん普段の業務の中でも新しいものに触れようと思えば触れられるのですが、意識しないとできることや知っていることの繰り返しに陥りがちなので、最初にプログラムを書いて感動したときの初心や好奇心を忘れずにいたいなと思いました。
そんなこんなで、新しいことにも積極的に触れつつ、地道にやるべきことをやって、もっと大きなことができるように頑張ろう、と思った2度目のAWS re:Inventでした。
この記事を書いた人
松本頌(まつもとしょう)
シンプレクス株式会社 クロス・フロンティアディビジョン
2015年にシンプレクス株式会社に入社。複数のシステム開発プロジェクトにアーキテクトやQAとして参画するとともに、SD(システムデベロップメント)コンピテンシーの一員として全社横断での開発プロセス改善にも従事している。