「普通エンジニア」はみんなシアトルに来たらええのにと思う話
アメリカで、ソフトウェアのエンジニアをするというのは、ごく一部のものすごく優秀なエリートが達成できる境地…みたいに思っていないだろうか?そんなことは無いですよ。アホにゃんにゃんで、日本ではプログラマとして通用しなかった自分でもやれています。5年たった今でも自分的には最高に居心地が良くて楽しい!だから、なぜ私がタイトルのように思うかを解説したいと思う。
シアトルでエンジニアをやる楽しさ
本記事はもちろんマイクロソフトはなんの関係もなくて、自分の意見であるが、私はマイクロソフトの Azure Functions の開発者をやっている。自分の性格をあげると、エヴァンジェリストとかやってたので陽キャと思われる人もいるかもしれないが、私は趣味がギターとプログラミングの陰キャで、人と一緒にいるより一人の時間がないと死ぬタイプの人間だ。(ちなみに、陽キャの人は楽しめないという話ではありません)
アメリカでエンジニアというとシリコンバレーとかイメージするかもしれませんが、スタートアップとかでタフだけど成功したら凄いことになる環境でお仕事をしたい人ならお勧めしますが、普通にソフトウェアエンジニアとして「楽しい仕事がしたい」「面白い仕事がしたい」でも、そんなに人生削りまくってハードなことをしたいわけではなく、安定した生活を送りたいわたしみたいなのんびり屋さんには圧倒的にシアトルをお勧めします。
まずシアトルエリアの良いところは、なんといってもソフトウェアの大きな企業が沢山あることです。Redmond にキャンパスと呼ばれる巨大な施設があるマイクロソフト、そして、Amazon本社、Google まであります。他にも魅力的な企業が沢山あります。私は Microsoft だけですが、沢山の人が、Amazon や、Google を渡り歩いたりしています。だから、この街では、石を投げれば、Microsoft, Amazon そして Google の人にあたるぐらいそんな人ばっかりで、全く珍しくありません。一般的にスタートアップよりもこの手の企業の方がワークライフバランスがしっかりしているので、そういうのを求めている人にはぴったりだと思います。
ソフトウェアの「中の人」になれる楽しさ
次に仕事内容ですが、これがまさに私がシアトルを気に入っている理由です。シアトルエリアに住んでいるとそれだけで仕事のチョイスが物凄く多くなります。例えば私は 世界中で使われる Azure というクラウドサービスの、Serverless プラットフォームを開発しています。世界中の企業が使うので、中身が複雑で、面白くて、ガンガンに作り作り変えて根本的なアップデートとかもしょっちゅうなので、カビの生えたようなコードのお守りみたいなことにはならず、高度なソフトウェアエンジニアリングを実際に自分の手でやることが出来ます。これマジ最高!めっちゃ面白いです。
学んだことが実践できる
日本に居るときは、アメリカから来た本とかで書いてあるような事って現場では実際に使えないよね…という事も良くありましたが、こっちでは本に載っているようなアルゴリズムやパターンなどの知識を使う機会がしょっちゅうあります。だから、自分がエンジニアとして常にアップデートされている感じもあってホント最高…
上司の説得…不要
また、よくわかってない上司みたいなのが全くいないのも最高です。日本に居るときは、良い技術があったとしても、その技術を導入するためには、ほとんどコーディングをしたことないような上司の人を説得する必要があり、そうとうな「人間系」スキルを要しました。(私は個人的に心理学を勉強して催眠誘導までできるようになりましたw)
ところが、こちらではそんなことは必要ありません。日本では「プログラミングなんて誰でも出来る。業務を理解しろ。」とか「経営層の気持ちを理解しないとだめだ」とかよく言われましたが、こちらでは一秒も言われません。ソフトウェアエンジニアに求められるのは、ソフトウェアエンジニアリングの能力と、普通のコミュニケーション力です。(別に陰キャでもOKなレベル)
そもそも「上司」という概念が無い
上司の説得も必要ありません。そもそも、「上司」という概念がなく、時分とは役割の違う「マネージャ」がいるだけです。彼らの命令に従うというイメージではなく、自分が仕事を任されて、何かつまづいたら、マネージャがそれを助けてくれるサポータのような感じです。そしてマネージャもことごとくプログラミングの経験あり、しかも優秀だったりするので、何も説得する必要がありません。最高です。だから本当に「ソフトウェアエンジニアとして如何に良くなるか」ということのみに集中すれば評価してもらえます。私の周りにも、日本ではそういった根回し的なものになじめず、低評価だった人が、こちらにきって爆評価されている例も見ています。
そして、「理不尽」も無い
そして、「偉い人」という概念がないので、日本でいう偉い人もロールが違う人ぐらいの感覚で接する感じです。だから日本で働いている時によくあった、「よく意味がわからないけど、鶴の一声でこうしないといけない」みたいな理不尽な状況にほぼ出会いません。なにか変更みたいなことがあっても全部「そらそうだなぁ」と思うような内容です。だから仕事をしている時の納得感は本当に最高です。
ちなみに、人に怒鳴ったりするような人はこちらだとパワハラで首なのでいません。そういう人は toxic な人と呼ばれて首になるようなので、こちらにはそんなわけわからない人は全く見かけません。(少なくともマイクロソフトでは)
エンジニアとして幸せな職場環境
自分としてはこれだけでも、自分は会社経営もしていましたが、人生で最も仕事が楽しいのは今と断言できます。だから、Xで日本のエンジニアの人が理不尽なことに出会ったりするのを見て、悲しなります。自分はまだまだですし、本当に日本でも素晴らしいエンジニアの人が低い待遇で技術もよくわかってない一次請けの人に振り回されているのを見て、技術が優れた人という自分のヒーローがそんな扱いなのは本当に見ていてつらかったです。
だから、そんな人、いや、そうでなくても普通のエンジニアの人がもっとシアトルに来てくれたら、きっともっと多くのエンジニアの人が幸せになり、技術力を楽しんであげることができると思います。
ソフトウェアのヒストリを作っている感覚を味わえる
仕事の環境だけでなく、中身も、C#の開発、Windows 自体の開発、Cloud 自体の開発など、日本にいたら多くは「使う立場」の開発しか体験できないと思いますが、こちらではいろいろなチョイスがあります。もちろん「使う立場」の開発はブロードに様々な技術に触れられて面白いですが、これにしても、世界レベルの企業のシステムとかにもかかわれるので、エンジニアの個人の能力ではなく、「より困難で面白い問題」を解く機会が沢山こちらには沢山あるので最高に楽しいわけです。
日本にもきっと良いこと
こっちに来る人が増えると実は「日本」にも良いと思います。こんな感じで、エンジニアが本当にエンジョイできる環境、世界に通用する開発の進め方、こういうことを実体験した人が日本人で増えることになります。
こうした人材がどんどん日本から出ていけば、日本の企業もエンジニアの待遇や開発のやり方を考え直さないとエンジニアが雇えなくなります。また、日本の労働環境が改善されたら、アメリカでそういう「体験」をした人が日本に帰ることになるので、日本の労働環境もきっとずっとよくなると思うのです。そして、ソフトウェアで世界で勝てる企業が増えるのではないでしょうか?
あと、よく言われることで、日本とアメリカのソフトウェアエンジニアの給与が全然違うという話がありますが、それは本当です。こちらの現地の人に聞いても「ソフトウェアエンジニアは医者のようなもの」と言っていました。だからお給料は同じことをやっていても全然違います。
しかも「シアトル」エリアが良い理由がここにもあります。アメリカでソフトウェアエンジニアをやる場合、その給料は「どこに住んでいるか」で決まります。その土地の物価ではありません。ちなみにシアトルは、アメリカで最も給料の高いエリアの一つです。住んでいる所+ランクで給料が決まると思っていただいて良いと思います。
あと、私はお金にあまり興味が無いのでやりませんが、人によっては、転職して給料アップをする人も多くいます。転職するタイミングが給料の引き上げ交渉をする良いチャンスだからです。だから、Microsoft -> Amazon -> Google をぐるぐるしている人もいます。
安全面
生活面において「シアトルエリア」がお勧めなのは「安全性」です。アメリカは全体的に日本のように安全ではありませんので、住むときに安全性というのは物凄く重要な要素だと思います。
最近では、残念ながら「シアトル」自体はそんなに治安はよくありませんが、治安の悪いところよりずっと良いですし、シアトルの反対側のゾーンに住宅地があってそこだとめっちゃ安全で過ごしやすいです。
ちなみに私も Kirkland というところに住んでいますが5年間で1回も危険な目にあったことがありません。Microsoft もシアトル側ではなくこちら側の Redmond というところにありますので、全然安全なゾーンです。
気候もとても過ごしやすいです。湿度が高くなく、夏は本当に最高です。そんなに熱くもなく、過ごしやすく、冬は日本よりも寒くないぐらいの勢いです。緯度が日本より高いので不思議ですが。そして、そして何より最高なのが、私が日本に居るときに2大大嫌いな生き物だった、蚊と、Gがいません。これはマジ最高!小さいクモは居ますがそいつらに比べたら可愛すぎます。危害もないですし!
音楽な好きな人のメリット
あと個人的な話ですが、私は音楽が好きで、ブルースとか最高に好きですが、日本ではめったに見れない「本物」を見に行くことが出来ます。実際に行ってきました。あまりお金がかからない国内旅行で日本であこがれたようなアーティストを小さな箱で見れたりします。これマジ最高。そしてやっぱ演奏のレベルがマジ高い。リズムが気持ちいい! ミュージカルも好きですが、ニューヨークとかも国内旅行です。イギリスのロンドンにちょっとだけ住んだ時も最高と思いましたが、アメリカの音楽シーンは、イギリスとは違った意味でまた楽しいです!
シアトルにもいろいろアーティストが来たりしますが、ニルバーナや、ジミヘンの故郷ですが、そこまで音楽がここで盛んとは思えませんが、良いアーティストを見れる機会はとても多いです。日本では大きなホールのSteve Vai がめっちゃ小さい良い音の箱で見れたり、彼と泊まり込みで一緒にギターを彼から学ぶみたいな、プロから学べるような機会も沢山あって、その辺はマジ最高です。
あと、職場ですが、変ないじめとか、理不尽なこととか、差別とか全然ないです。(少なくともマイクロソフトでは)もともといろんな国の人が集まっているので、「違っていて当たり前」という文化なので、自分がどう人に見られるかとか、あまり考えなくても良いので自分としては心地よいです。
英語はどうだろう?
そして、多くの人は「英語がぁ…」と思うかもしれません。でも、きっとこっちで働いている人は英語が凄いかというと、凄い人もいるけど、私のようにそうでもない人(国産でおっさんになってから勉強した)という人もいると思います。なにも凄いレベルである必要はありません。私の同僚にも英語怪しい人もいます。(きっと私もそう)重要なのは技術力です。
デメリット無いん?
シアトル住み、というか、アメリカに住んでデメリット無いん?というと、仕事面ではありません。仕事は最高でなんのデメリットもありません。たとえ不自由な英語であったとしても!
衣食住ですかね。宅配とか適当ですし、便所が詰まるとか日本では体験したことのないようなこともするかもしれませんw あと、日本はメシがうますぎるので、太刀打ちできません…が最近マシになってきました。あと、とても良いのは、日本のようにメシウマの修羅の国ではダイエットとか大変ですがこちらではレストランに普通あんまり期待できませんので食事のコントロールが楽ですw 私は日本に帰った時に日本食のうまさを堪能しております。だから日本は住むには最高なんだけど、仕事だけが・・・というのが自分の意見です。 下のブログとか見てもらえばアメリカの適当さがわかるかもw
あと、医療費高い!その辺も、ビックテックに就職していると保険のカバーが良いのでビックテック系がお勧め。
アメリカ就職を成功させる最大のコツ
さて、沢山いいことを書いたのできっと皆さんもちょっと興味がわいてきたのでは?でもきっと、そんなのは優秀な人だけだろう?とか思っていませんか?確かになーーーんも努力せずに行けるとは言いませんが正直なところ「優秀」である必要はないと思います。普通に努力して合格ラインを超えればよい感じです。多分、日本に居る多くの人はすごーーーくハードルが高いと思っていないでしょうか?
日本人レアキャラ説
こちらに来るとわかりますが、大手のテック企業の大半は、インド人と、中国人の人がめっちゃ多くて正直ネイティブの米国人より多い感じです。彼らが選りすぐられた天才のみがこちらに来てると思いますか?
もちろん違いますw 優秀な人も普通な人も、横に住んでるだれだれさんもアメリカ行ったから俺も行くぐらいのノリでアメリカに来ます。
人口比率を合わせて考えても、インドとか、中国の人の割合と、日本人の人の割合を比べると凄ーく低い感じがします。日本人マジレアキャラ。韓国の人の方が多い感じがします。国民的に、あまりこっちに来る人が少ない感じですね。
理由としては、きっと国内でもまだ十分仕事があるとか、英語苦手とかあるかもしれません。でも英語に関しては日本語と同じぐらい英語との言語距離が離れている中国の人はなんで沢山おるねんという話になります。ちなみに、日本人は現状永住権のグリーンカードに関しては相当ラッキーな立ち位置です。といいますのも、例えばインドの場合希望者が多すぎて30年待ちぐらいなんですけど、日本の場合応募者が少ないので2年で終了ですw
「やろう」と思う事
めっちゃ個人的な意見としては、多くの人がアメリカでエンジニアをするのをすごくハードルが高くて難しい事と思い込んでいて、それをやろうとすらしないからではないでしょうか?
自分の周りでも「いやぁー。私はまだまだ、技術力が…」とか、「技術は自信あるけど英語がぁ…」という人は沢山見てきましたが誰一人として「自分はアメリカで働きたくて、数年の計画を立てて、それを何年かかけて実践してきた、その結果としていろんなチャレンジを10年ぐらいしたがどうしてもそれを実現することが出来なかった…だからあきらめたのだ」という人には一人もあったことがありません。
アメリカで働くのは、挑戦ではない
よく、アメリカ就職に「挑戦」とか言いますが、そんな大層に考える必要はないのではないでしょうか?多分多くの人に重要なことはまず「アメリカでエンジニアやってみたいな。やるか。」ぐらいの軽い気持ちだと思います。
その具体的な方法はいろいろあると思いますが、そもそもやってみようと思わなければそれを調べる気にもならないでしょう。自分の周りで同じように働いている人も沢山いますが、自分の想像を超えるような物凄い努力をしたから到達した人や、ものすごく賢かったからここにいます。という感じの人はいません。(中にはいるかも、、、あ、一人100個ぐらい面接受けて仕事ゲットした人いた!でもその人だけでした)
実際に働いている人は大層に思ってない
みんなかるーく「アメリカで働きたいな。どうしたらいいかな」とおもって、数年かけて機会をうかがって、うまくいかなくても、いっても実際にいろいろやってみたら、そのうちチャンスが来て出来ました。みたいな人がほとんどです。だから、皆さんも是非気軽に、シアトルでソフトウェアエンジニアしてみようと思ってみませんか、めっちゃ楽しいですよ!
もし、この記事がもし沢山読まれてみんなどうやったら良いかの方法を知りたい人が多そうでしたら、今だとどういう方法があるかを書いてみますので、コメント等いただければと思います。
面接とか具体的な部分に関しては次のブログでも紹介していますが、もし沢山読んでもらえたら現在のVISAの状況などそういう話含めて書いてみたいと思います。人気なかったらめんどくさいのでやらないっすw
あとこの本は相当役に立ちます!
もしよかったら、本を書いていて、ありがたいことにもうすぐ10万部行きそうなので、よかったら応援してくだされ!
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