高専から経済学部への編入攻略

どうも,/*単純マルコフ情報源*/のPM担当です.

ここでは,高専(高等専門学校)から経済系の学部への編入を考えている方をターゲットに,有益であろう情報を提供します.注意点は以下の2つです.

①経済学科への編入が対象
あくまで,本記事が対象としているのは,経済学系の学科への編入となります.経営学科,およびその他人文社会学系の学科への編入については対象としていません.同じ大学でも経済学科と経営学科が存在することもありますので,ご注意ください.
②募集要項は各自で確認する
本記事に掲載されている情報は,2024年12月19日時点での情報です.皆さんが実際に編入する際には,本記事の情報から変更されている可能性が非常に高いです(中には編入学をとりやめる大学もある).出願を検討している方は,必ず来年以降にご自身で募集要項の確認をしてください.

それでは,始めていきましょう.

※本記事に掲載されている内容は筆者の主観に基づくものであり,本記事の内容を実践したからといって必ず合格できるわけでもありません.
また,本記事の内容が他の意見と比較して絶対に正しいと主張するわけでもありません.
以上の点をご了承の上,本記事をお読み下さい.

1.高専から経済系の学部(学科)への編入とは

いわゆる進路変更です.工学が自分に合わないと感じている方,技術者として就職するのが嫌だと感じた方,社会科学系の大学院に進学したいと考えている方は,経済系の学科への編入をお勧めします.
ただし,文系への編入だと思って舐めてかかると普通に落ちますので,対策は怠らないようにした方が良いかと思います.
そのためのポイントを次の章から書いていきます.

2.攻略ポイント

①募集要項を読む
これは必須でしょう.出願締め切りはいつか,試験日はいつか,試験科目には何があるか等,態々この記事で重要性を説く必要もないくらい当たり前のことです.
当然,担任の先生方も募集要項の詳細まではチェックしてくれませんので(そんなに暇じゃない),必ずご自身でよく読み込むことを心がけてください.

②過去問を手に入れる
これも必須級でしょう.当然大学によって試験問題の傾向が変わります.
どの分野の問題が出るのか,それがわかるだけでもかなり違います.
多少の出資は惜しまず,過去問は手に入れておくことを強く推奨します.
ただ,6年以上前の古い過去問はあてになりませんので,必要ありません
(編入学試験は割と頻繁に出題傾向が変わるため).

③ひたすら問題を解く
この「問題を解く」とは,「過去問を解く」「市販の参考書の問題を解く」の2種類の意味合いがあります.
参考書を購入する際には,以下のポイントを気にするとよいでしょう.

・「ミクロ経済学」「マクロ経済学」「経済学史」など,分野ごとに参考書を探す
(有斐閣,ミネルヴァ書房など,有名どころで探すといいかもしれません).
・大学の募集要項等に「参考図書(文献)」が記載されている場合は,必ずそこに記載されている参考書を購入する
・「演習問題」が記載されている参考書を購入する(解答がついているものが望ましい).

また,専門科目の筆記試験では,数学的な要素がふんだんに盛り込まれています.「数列」「微分積分」「線形代数」「統計学」あたりは押さえておかないと,問題が解けないこともままあります.
そもそも「数学」の筆記試験が課されている大学もありますが.
ですので,「数学をやりたくないから経済系に編入する」ことは,大きな選択ミスです.経済学・経営学の分野では,大いに数学を使います(とくに統計学).くれぐれも勘違いされないように.

④TOEICで高いスコアを取得する
英語の試験の代替として,TOEICが課されている大学は多いです.
どのぐらいのスコアが必要なのかは大学のレベルによって変化しますが,ベーシックなポイントは以下の通りです.

・出願要件がある大学は,当然その点数は必要.
・要件がない大学でも,最低600は欲しい.
・目標として,800あればどの大学でも戦える(確実に勝てるわけではない).

私もTOEICが得意なわけではないので,TOEICの攻略法などは書けませんが,1つアドバイスをするのであれば,「徹底的に問題を解いて慣れる」ことです.私は高専4年生の時にTOEIC420点でしたが,その後に10回ほど受検して
420→505→555→595→615と伸びました.
短期間(半年~1年)でひたすら問題を解いて慣れるだけでも,600点には到達するかと思います.

⑤経済経営系の論文や記事を読む
こちらは小論文や英語の筆記試験が課されている大学用の対策です.
例として,筑波大学では英語の小論文試験が課されています.
日本語でも英語でも,とにかく「語彙力」がカギを握ります.
ですので,日本語にしても英語にしても,経済・経営系の論文・参考書・新聞記事等を読み込み,経済学・経営学に関する語彙を増やすことが重要になります.最低限,テレビのニュースや日経新聞の内容が理解できるようになっておきましょう.これは面接試験の対策にもつながります.
通常の高専で習うような経済学科目を受けただけでは,1問も解けないと思ってください.それくらい小論文試験は厳しいです(特に英語).

⑥すべてのカギを握る面接試験
大体どの大学でも,面接試験が課されています.
ちなみに,ここではっきり言っておきますが,経済系への編入学試験はかなり厳しいです.なぜなら,大学としては編入学させる気がないからです.
事実,募集定員ぎりぎりまで合格者が出ることはほぼありません.
募集定員が20名でも合格者が2名だけ,なんて年も実際にありました.
大学側は編入試験合格者が0名でも構いませんし,むしろ優秀でない学生に編入されて留年されても困るので,面接官はこちらを落とすつもりで面接を行います.筆記試験やTOEICの結果が良くても,面接試験での質問に対応できずに落ちることがままあります.むしろ,筆記試験ではあまり差が付きません(編入学を志す学生は皆たくさん勉強しているからです).
このため,面接試験が合格のカギを握るといっても過言ではないでしょう.
ポイントとしては以下の通りです.

・なぜ編入するのか
→なぜ工学から経済へ?
(これは必ず聞かれます)
・編入後にやりたいことを固める
→どんな勉強?どんな研究?どのような人間になりたいのか?
(編入学後の2年間でどのような能力を身につけたいのかを説明しましょう)
・自分の強みは何か?
→リーダーシップ?論理的な思考力?粘り強さ?
(具体的な事例と絡めて説明しましょう)

また,面接では「Botにならないこと」も重要です.
バカの一つ覚えみたいに,用意した回答を喋るだけでは100%落ちます.
面接官が何を問うているのかを1つ1つ理解したうえで,丁寧に答えることが重要となります.

⑦編入予備校には行かない
少し調べればわかりますが,世間には編入予備校というものが存在します.
ただ,ここには行かないことを推奨します.
なぜなら,行ったところで特段意味はなく,ただ高い金を払って過去問をつかまされ,訳のわからない面接練習や小論文の添削をされるだけだからです.過去問を買うだけならば別の方法もありますし,面接の練習や小論文の添削ならば,高専の先生や先輩に頼めばそれで済みます.
(過去問の解説や小論文の添削なら私でもできます)
そのためにわざわざ高い金を払う必要はありません.その金を使って過去問を入手するなり,参考書を買うなりした方がよっぽど有意義です.

※あくまでも個人の主観です.行くも行かないも,ご自分で判断願います.

3.各大学ごとの重要情報


以下に,編入可能な大学(学部)と,TOEICの要/不要,過去問入手の可/不可を掲載します.参考にしてください.
なお,難易度が高い(Sランク)大学には★をつけています(主観ですが).
★の大学への出願を考えている方は,それ以外の大学も併願することを推奨します.
※1 ここでは,国公立大学のみ掲載します.私立大学への編入を考えている方は,別途ご自身で調査してください.
※2 具体的な試験科目等は記載しません.ご自身で募集要項を確認してください.

【TOEICが必要】
★東北大学 経済学部 経済学科
・新潟大学 経済科学部 経済学コース
・富山大学 経済学部 経済学科
・宇都宮大学 農学部 農業経済学科
・埼玉大学 経済学部 経済学科 経済分析メジャー
★横浜国立大学 経済学部 経済学科(出願要件:620点以上)
★名古屋大学 経済学部 経済学科(590点以上)
・三重大学 人文学部 法律経済学科
・和歌山大学 経済学部 経済学科
・滋賀大学 経済学部 総合経済学科 経済専攻
★大阪大学 経済学部 経済・経営学科
★神戸大学 経済学部
・尾道市立大学 経済情報学部 経済情報学科
・香川大学 経済学部 経済・政策分析コース
・北九州市立大学 経済学部 経済学科(450点以上)
・長崎大学 経済学部 総合経済学科(450点以上)

【TOEICは不要】
・山形大学 人文社会科学部 経済・マネジメントコース
★筑波大学 社会・国際学群 経済学類
・高崎経済大学 経済学部 経済学科
・信州大学 経法学部 応用経済学科(ただし,2年次への編入)
・島根大学 法文学部 法経学科 経済学コース
★広島大学 経済学部 経済学科
・下関市立大学 経済学部 経済学科
・大分大学 経済学部 経済学科
・鹿児島大学 法文学部 法経社会学科
・琉球大学 国際地域創造学部 国際地域創造学科 経済学プログラム

【過去問が無料】
・福島大学(大学HP)
・宇都宮大学(大学HP)
★筑波大学(大学HP)
★横浜国立大学(サイバーカレッジ)
★神戸大学(大学HP)
★広島大学(現地での閲覧のみ)
・下関市立大学(大学HP)
・香川大学(大学HP)
・北九州市立大学(現地での閲覧のみ)

【過去問が有料(要コピー代,郵送費)】
★東北大学(やたら高い)
・新潟大学
・富山大学
★大阪大学
・大分大学
・鹿児島大学

これ以外にも,「フリマサイトで購入する」「インターネット上に転がっているものを拾う」「知り合いから貰う」等の方法もあります.
が,当然公式ではないので,ご利用は自己責任で.


4.編入後の注意点

(工業)高専から経済系の学科に編入した場合,専門科目の単位認定数はほぼゼロと考えてください.
すなわち,編入後2年で卒業しようとするならば,2年間で60~80単位ほどを修得することを覚悟しなければなりません(通常2年間で修得できる単位数は88~96単位).当然この中には必修科目や外国語科目も含まれるので,編入後も気を抜くことはできません.
また,基本的に大学では単位修得の計画や時間割は各自で考えることになります.高専のように担任がどうにかしてくれることはありません.履修登録の際にミスをしても,誰も注意はしてくれません.
しかも,高専生はこの部分が非常に苦手な方が多いです.ですので,経済系の学科への編入を考えている方は,今のうちにシラバスと学生便覧を読み,履修計画を立てるクセをつけておいてください.
くれぐれも,「大学に入ってから誰かに聞けばいいだろう」なんて甘い考えを持たないように.

長くなりましたが,本記事はここで終了です.
最後まで読んでくれた方,ありがとうございました.
貴方の編入学ライフが満ち足りたものになりますように.


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