金融市場と実体経済の乖離:後編(2020年5月7日)
こんばんは。昨日に続き、今週のLeaders記事の後編を共有します。The Economistは、現在の米国の株高を景気回復の兆しと楽観視するのは主に3つの理由で危険だと指摘しています。一つは感染拡大の第二波がやってくる可能性が高いこと。二つ目は歴史的な好景気が続いた後で巨額会計不正が発覚するかもしれないこと。そして最後が、巨額な財政支出に対する政治的な揺り戻しが予想されること。これらが市場をまた一気に冷え込ませることは十分にあり得ると考えているようです。
英語原文は、以下からどうぞ(後編はTellingly, though, the recent rise in share prices has been uneven.からです):
以下、マイバージョン和訳です:
金融市場vs.実体経済:市場と経済がかけ離れた現状は続かない(後編)
2020年5月7日
それが最近は株価上昇に転じているのだが、上昇は一律ではない。パンデミックの前も市場の動きに偏りは見られたが、今はその傾向がますます強まっている。自動車メーカー、銀行、エネルギーなど問題を抱えた業界が多数ある英国や大陸ヨーロッパ市場では、株価回復は遅れており、単一通貨への不安が再燃している。米国では、アルファベット、アマゾン、アップル、フェイスブック、マイクロソフトといった少数のハイテク企業への信頼感がさらに高まり、これらの企業は現在、S&P500指数の5分の1を占めるまでになっている。市場全体を楽観視するムードはほとんどなく、投資家は不況にも強いと判断されたほんの一握りの企業に望みを託しているだけだ。
ある意味、こうした動きは理にかなっている。資産運用会社は投資のパフォーマンスを最大化しなければならない。しかし、このところの株価の動きの速さと回復を見ると、問題があると言わざるを得ない。米国の株価は今や8月の時点よりも高い。これはビジネスや経済全体が通常通りに戻ることを示唆しているようにも見えるが、こうした見方には無数の危険が潜んでおり、中でも次の3つの危険が際立っている。
第一は、余波がもたらすリスクである。感染拡大の第二波が発生する可能性は十分にある。また、米国のGDPは第2四半期に前年同期比で約10%減少すると予想されており、急激な景気後退の影響も懸念される。多くの企業トップは、容赦ないコスト削減によって利益を守り、突然の休業で蓄積した負債を返済しようと考えている。しかし、こうした個々の企業の緊縮財政は、社会全体の需要を押し下げることになる。その結果、通常のレベルをはるかに下回る「90%経済」にとどまることになるだろう。
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