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ほとんどの人が、アイデア出しを億劫に感じる理由
「アイデアを考えないと!」
そう思った瞬間、もう何も考えたくなくなる人が、この世の98%だと思います。
理由はいろいろあって、
・興味がない
・考えると疲れる
・考え方が分からない
・他社に評価されるのが怖い
・自分にはアイデアなんて関係ない
・なかなか思いつかない状態がストレス
・いいアイデアが出ないのは恥ずかしい、という強迫感がある
などなど。
アイデアなんて仕事でも生活の中でも別に考える必要がないし、考えなくても不自由なく暮らしているし。そういう98%の人に対して、僕たちのように新しいアイデアを考えることが仕事の人が、「アイデアって、面白いし役に立つぜ! 人生が幸福になるぜ!」なんて語っても理解されないでしょう。
そして、そういう僕ら、いわゆるクリエイティブっぽい職種の人間たちも、実は結構アイデア出しを億劫に感じています。職業柄、世の中でいろいろと言われているアイデア出しの方法をかじってみては飽きて、毎日降ってくるお題に対して、いくつもの選択肢を出してみるけどブレイクスルーしなくて。社内外で、ダメ出しを繰り返されて。考えなくてもいいなら考えたくない、と思っている人の方が多いでしょう。
その主たる理由は、
アイデアと、自分を、切り離しているから
だと僕は分析しています。
昨年、『企画のメモ技』(あさ出版)という本を出させて頂き、その本の中でも偉そうに様々なアイデア発想法を紹介させて頂いたのですが、この本で一番言いたかったことが、まさにそれで、
アイデアを考えることとは、まだ知らない自分を探すことである
ということを、みんなに分かってほしいなー、と思います。
アイデアの出し方を説明すると、
1.お題に対するアイデアを、あらゆる方向でたくさん探し、考える(ランダム思考)
2.その中から、自分自身が欲しい、使いたい、やりたいものを分かり、選ぶ(自己分析)
という二段階構造になります。(発想のテクニック自体は、いろいろな所で紹介されているのでここでは割愛します。)
これを、一つに合体させてしまい、なおかつそこに自分を存在させず、
1.人に評価されるいいアイデアを探し、考える、以上。
という作業をしてしまうと、アイデア出しなんてすぐ嫌いになります。
アイデア探しは、果てしなく面白い、自分探しの旅です。
人間が一番わからない人間は、自分です。何が心地いいのか、何が好きなのか、どんな癖があって、何を辛いと思うのか。自分の姿を外側から目で見ることはできないので、自分を捉えることはとても難しい。感情というものの実態もないし、自分に何かを問いかけても返事なんて聞こえません。
そんな自分を少しずつ分かって、自分にとって嬉しいことを見つけていく作業こそが、アイデア出しです。どんなお題に対するアイデアを考えていても、たくさんの選択肢から自分がときめくものを選べるようになっていけば、自分にとっての幸福とは何かが、徐々に見えてきます。
いいアイデアを一発で見つけようとすると、世の中の流行や、他人の評価を指標にして考えてしまうため、それは新しい着想ではなくなります。単なる作業です。それを一生懸命考えることは、億劫になって当然です。だから、最初は手あたり次第の気楽なランダム思考から始めて、「ああ、自分はこれを欲している」という感情を探します。これが新しいアイデアのつくり方です。
※ランダム思考に関しては下の動画を参照。「ランダム」は、テキトーで遠回りだと思われがちですが、新しいものごとを見つける最強最速の方法です。
アイデア出しを、自分と切り離してしまっていると、良いアイデアはいつまでも見つかりません。例えば仕事で、お客さんに求められたアイデアを考えるときに、「自分はこれがいい」という気持ちを無視すると、なぜそのアイデアがいいのかを、お客さんにも、その先の世の中の人たちにも伝えることはできないし、曖昧な具現化しかできません。まだよくわからない「自分」という一人目のお客さんを喜ばせるアイデアを探すために、ランダム思考でアイデアをたくさん出し、自分が一番ときめくものを分かる。そしてそのときめきを、世界中のお客さんと共有する。これが、誠実なアイデアのつくり方です。自分の感情を無視したアイデアを提案することは、不誠実です。
他人に無難に喜ばれそうな、いいアイデアに見えるアイデアを狙いに行くと、何も起こらず、何も分からず、作業が終わる。それを繰り返すから、アイデア出しが億劫になる。
まずは、まだ誰も知らない自分、これから一生付き合っていく自分に、もう一歩踏み込んで、興味を持ってみませんか? 他人のことを一切気にせず、自分だけのためにアイデアを探してみませんか? その時に、アイデアというものは、自分と他人を同時に幸せにする力を発揮し始めるのです。
(結局、「アイデアって、面白いし役に立つぜ! 人生が幸福になるぜ!」という普通の結論になってしまいました。あーあ。。)
「企画って、今この世にない新しいものじゃないとダメなんですか」と質問されました。
— 高橋晋平/おもちゃクリエーター(株式会社ウサギ代表) (@simpeiidea) October 2, 2019
別に新しくなくても良いです。
ただ、企画とは自分が本当に欲しいものを作ることであり、すでにこの世にあるなら、ただそれを使えばいい。
今ない欲しいものを作れたら、必然的に新しいものになるだけです。