想い入れ
この間ご飯をよそっていた時に発見した。
発見したのか、その前に自分でどこかにぶつけたのかわからないが妻の茶碗にヒビが入っていた。とてもショックを感じた。
ヒビが入ってることを妻に伝えると「まー使えるしいいじゃん。汁物とか入れないし。」とのこと。
やってしまったことは仕方ないし、本格的に割れて修正が必要になったらその時対処しようと踏ん切りをつけた。
その後に思って考えたことがあって、それは「ああ、こうやってヒビ大切に使うことで思い入れが生まれ愛着が湧くのか」と言う発見である。
私は現在有田焼を製造するメーカーに勤めている雇われ職人である。
製造する過程で必ずといっていいほど不良品が出る。俗に言う二級品である。その二級品はどうなるのかというと、廃棄されるか陶器市に出すか刻印やロゴが貼ってあると出せないので何割か落として卸すのである。
不良品を捨てたり割ったりするときは何も感じないし、むしろ悪ことを楽しんで
「来来来世分まで割った!ガハハ」てな感じで思うこともしばしば。
けれど自分で使う器が割れたりかけたりするとショックを感じるので驚いた。
百均で買った食器がなかなか捨てられない気持ちもわかるような気がした。
想いはプライスレスなんだね。