クラシック勢とエモ勢のハイブリッド

筆者はクトゥルフ神話TRPGのネット募集によく参加している者だ。
記事も公募に参加するような方たちをターゲットにしている。
もちろん筆者の体験が元になっているため、主観だらけの主張だが温かい目で見てほしい。

現在遊ばれている新版と旧版の層の違いについてはわざわざこの場で書くまでもない。
今回はあえて偏見を込めてクラシック勢、エモ勢と呼称する。
また、この記事は旧版で遊んでいる層に、新版で遊べなどという偉そうな小言を書くものではない。

私が伝えたいのは、エモ勢のパワーが新版に必要だということだ。

また、こうも伝えたい。
探索者同士のロールプレイが多い方が、プレイヤー満足度が高いというものだ。
あえて言うまでもないが、ここでいうロールプレイは台詞回しのみではない。
帽子を脱いで一礼したり、笑顔の裏で悪態をつくモノローグをいれたりするものだ。

探索者同士のロールプレイがまったく無いテーブルとはどんなものだろうか。
プレイヤーの誰かが図書館ロールで、シナリオ背景にまつわる書物を入手したとする。
もちろん、情報自体はすべてのプレイヤーに渡すだろう。

ここで、プレイヤーは「情報を共有します」の一言で片づけていないだろうか。
キーパーはただただ情報を渡すのみで終わらせてはいないだろうか。
このやり取りがひたすらに繰り返されてはいないだろうか。
作業感の満ちたものになってしまってはいないだろうか。

主観的で申し訳ないが、今の新版で遊んでいる層はここの配慮が足りていないと感じる。
これではプレイグループ間でシナリオの情報しかやり取りされない薄味なものになってしまう。
果ては、一人用シナリオを一度に複数人で遊んでいるかのような錯覚にすら陥る。
とても"セッション"とは呼べないだろう。


ここで足りていないものは"描写"だ。
そもそも、書物は棚のどこにあったのだろうか。
その探索者はどのようなリアクションをしたのだろうか。
他の探索者に情報を渡す際にも、探索者の言葉で言い換えて伝えられているだろうか。
そもそも、図書館ロールに失敗したはずの探索者が、いの一番に情報にリアクションしてはいないだろうか。


ここで心掛けたいのは、常にシーンを意識することと、スポットを当てることだ。
NPCが探索者グループに話しかける際、主に誰に話しかけているのか考えてみよう。
漠然とグループ全体に話しかけてはいないだろうか。
ダイスを全員に振らせた場合も注意が必要だ。
目星ロールなどで全員が成功した場合、複数人が同時に気づくとは思えない事象なら、出目が一番低い者が真っ先に気づいた描写をしよう。
これらすべてはキーパーからプレイヤーへ話を振るべきだ。
また、優秀なプレイヤーは他のプレイヤーへパスを渡すべきだ。


こういった探索者の背景情報の処理と細やかな描写は、エモ勢の方が工夫がなされていると感じている。
もちろん論文キャラシなどといったゲームマスターに配慮が行き届いていないものはNGだ。
しかし、探索者のキャラクター性を見出そうという方向性は着目するべきだろう。

逆に、エモ勢の弱点として、アドリブの苦手さが挙げられる。
同人シナリオには冗長に描写が書かれているためか、それに慣れていると咄嗟の描写が出づらいようだ。
こちらに関してはクラシック勢に軍配が上がるだろう。


総じて、クラシック勢はエモ勢の遊び方をリスペクトするところがあるはずだ。
既に旧版で遊んでいる人たちを新版に誘い込むことは難しい。
であればこそ、フットワークの軽いクラシック勢たちは、エモ勢のパワーを吸収し、より満足度の高いセッションを実現してほしい。

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