ある意味「決定版」。 最新形と初期曲組み合わせたセットリスト。週末ヒロインももいろクローバーZ LIVE「origin」@明治座(東京都民限定ライブ)
セットリスト(曲順)は前日見たニコニコ生放送の配信回と同じ。今回は5回の公演ですべて同じ内容だったようだが、そのせいもあって、最終日の4日はダンスも歌も非常に完成度の高いライブであった。これはももクロ自身のパフォーマンスもそうなのだが、スタッフワークとの息もぴったり合っていた感覚もあり、今回は演劇公演が中止に追い込まれたことでの急きょの対応ではあったが、コロナ禍の終息した後も年に1回ぐらいはやってほしいと思った。特に今回は直前の配信ライブを佐々木敦規、百田夏菜子のソロコンを本広克行が手掛けているため、演出を誰が手掛けたのかは分からないのだが、劇場なら照明効果や映像なども存分に使えるので、「5TH DIMENSION」ツアーや「東京キネマ倶楽部」のライブのような凝った演出も可能なわけで、おとなになったももクロの良さを前面に出していくには劇場公演というのはよい選択肢ではないかと思ったのである*1
明治座でのライブの感想はどうかというとまず何と言ってもスタジアムライブやアリーナでのライブではありえないぐらい客席からの距離が近い。演劇公演的なものやそれに付随したライブではこれまでもあったが、私が座っていた12列目でも肉眼でメンバーの表情がはっきりと見え、同時にダンスのフォーメーションや踊りの時のディティールもはっきり見えたのが素晴らしかった。
楽曲的にいうと今回のライブの目玉は「Survival of the Fittest -interlude-」からの「BLAST!」だったと思う。「Survival of the Fittest -interlude-」ではセリフを読み上げるのだが、はっきりとセリフのニュアンスまで聴き取ることができるのは劇場だからこそであろう。「Survival of the Fittest -interlude-」の部分は日替わりでそこからすぐ続く「BLAST!」の冒頭部分を担当する百田夏菜子が入ってないものの、残りの3人が日替わりで務めたようだが、この日の担当は高城れに。私の耳にはうまくいったように聴こえたが、本人は満足できる出来ばえではなかったようで、アンコール後のMCコーナーで再び挑戦するというくだりがあり、何とかうまくいった後、舞台上で大号泣するというハプニングシーンもあった。
「Survival of the Fittest -interlude-」は通常録音で挿入されるので、生でこれをやったのはおそらく初めて。「BLAST!」のパフォーマンス自体もいつ以来かすぐ思い出せないぐらい最近はやっていないと思う。ただ、五輪を連想させる部分が多いため、メットライフドームの夏ライブが当初の予定通り五輪開催と重なる日程で行われればやる予定で準備はしていたのかもしれない。
冒頭で披露された「Moon Revenge」はセーラームーン曲のカバーだが、ももクロ版として収録はしているものの、ライブで披露されるのはあーりんがソロコンでひとりで歌ってはいるものの大阪城ホールの「女祭り」以来かもしれない。ということになるともちろんももクロの生パフォーマンスを見たのは初めてということになる。「いつか君が」も随分ひさびさなのではないか。あーりんのアイデアだったらしいが、元々コールが重要な曲構成にmiwaが作っていた曲なため、メンバーがセルフコールを入れていたのが可愛かった。
最近は新しいアルバムを出すたびに楽曲が増えてきたこともあり、なかなかやられるチャンスがない隠れた名曲が増えてきてしまっているという事情もあり、配信ライブで披露した「Neo Stargate」や「Blast!」などは来年初めに新アルバムが発売される前に一度やっておきたいというのがあったかもしれない。
下に先月行われた配信ライブ「The LIVE ~諦めない夏~in ABEMA」のセットリストを掲載したのだが、興味深いのはほとんど重なりがないセトリの中で「月色Chainon」「Re:Story」の2曲だけがどちらにも入っていること。もうひとつは従来ならももクロの代名詞的存在で頻繁にやられていた「行くぜっ!怪盗少女」がどちらにも入っていないことだ。今回の客層がほぼファンクラブ会員に限られており、おなじみの曲でわざわざアピールする必要がないこともあるが、今回のセットリストには「怪盗」や「走れ!」を入れなくても新旧曲をバランスよく組み合わせた不自然じゃないセットリストを組むことができることを示してみせたのに加え、初期曲を取り混ぜながらも「大人のももクロ」を感じさせるももクロの最新形を見せたいとの思いもあったのかもしれない。
*1:ただ、明治座は演劇公演はともかく、ライブ会場としてはキャパが小さすぎるから、もう少し大きな劇場でないと難しいかもしれない。ただ、正常時のフルキャパならば1368人なので、29ステージなら4万人の動員が可能になる。