ももいろクローバーZ ももクロくらぶxoxo presents スナック愛輪@東京国際フォーラム・ホール
あーりん(佐々木彩夏)がママ、玉井詩織がチーママのスナックに客が来て、お酒を飲みながらトーク、そして歌(カラオケ)を歌うという設定のショー。 「スナック愛輪」はもともとももクロのバレンタインイベントの1コーナーとしてスタート。今回初めての単独のイベントとして開催されたものだが、いつものようにショーアップされ作りこまれたライブとは違う本当にそういう店があって観客は客とママたちの会話をのぞき見しているような感覚もあり、新しいライブのフォーマットとしては「当たり」だったのではないかと思う。
今回のゲストは鈴木拓(ドランクドラゴン)、ミッツ・マングローブ、大友康平の3人。名前を聞いた時には正直ピンとこない部分もあったのだが、結果からみるとこれがいい選択だったと思う。
バレンタインイベントの時には相棒の塚地武雅とともにドランクドラゴンで登場した鈴木拓が今回はひとりで来場。ももクロの番組である「ももクロChan」にもけっこう頻繁に呼ばれていることもあり、あーりん、しおりんも遠慮することなく突っ込みを入れやすい存在として、最初に空気感を作るには最適の人材だったのではないだろうか。
りんりんコンビによる進行は本当に安定していた。興が乗りすぎて、尺が45分も伸びてしまったようだが、こういう自由さはテレビも配信もいっさいないイベントの利点でもある。
ミッツ・マングローブはテレビでひな壇などで一緒になったことはあると思うが、おそらくさしでのトークは初めて。臨機応変に流れを作って、新人ママの二人にママとしての心得を伝授するなど「スナック愛輪」というイベントの流れを作ってくれた。テレビや配信がないことを確認したうえで、風営法のぎりぎりの話をするなどして、イベントとしてぎりぎりセーフの話題の範囲やももクロ(りんりん)がどこまでついてこれるかを探るようなところもあり、今後に向けて大きな経験値になったのではないか。
歌えばかなり上手いはずだが、ミッツがあえて歌わなかったのもフォーマットとしては面白い。一人目の鈴木拓がサブMC的な突っ込まれ役であるのに対して、二人目のミッツのところには例えば糸井重里のような文化人系のタレントを招くようなフォーマットとしても使えるかもしれないと思うからだ。ここでは笑福亭鶴瓶ら歌手ではない大御所も呼ぶことができそう。ゲストの重みの違いによってイベントの重厚さも変わってきそうなのがこの企画の面白いところでもある。
大友康平も年末のももいろ歌合戦の常連出演者でもあり、出演してもらうはずだった明治座の演劇公演がコロナの影響で来年に延期となってしまった。そこに向けて関係性を深めたいという意図もあっての今回のゲストだと思うが、ライブの最中にビールを飲んだからへろへろになって歌えなくなったエピソードも披露してくれた。以前のももクロにはしない話題と思うし、自分たちもお酒が飲める年齢になってのこのイベントというのが分かりやすいトークでよかった。
この日はりんりんとの掛け合いで「夢で逢えたら」を歌った後で、代表曲の「フォルティシモ」も披露してくれ、これを生で聴けたというだけでも得した感が強かった。ももクロにはこの日の大友のように贔屓にしてくれている大御所の人が数多くいる。例えば加山雄三、さだまさし、五木ひろし、坂崎幸之助、松崎しげる、南こうせつ……。一緒に番組をやっている坂崎などはさておき個人的に食事などに招待されてなどというのを除けばフェスや歌合戦などで一緒になることはあっても、個人的な話をこれぐらいの尺でする機会というのはあまり持てない。そういう人たちを順番にゲストで呼んでいくだけでも何度か続くイメージが持ちやすいし、このフォーマットならば他のライブのような綿密なリハーサルをしないでもできるから、日替わりゲストを呼んでのイベントとしても開催できそう。人選にしてもある程度レギュラー化したら「あいつを呼んだのになんで俺を呼ばない」みたいな人も増えてきそうでいろんな可能性が広がりそうなライブイベントだと思う。
ラジオ局主催のイベントであるのにあえてラジオ収録しなかったのも面白い。テレビではできない本音トークが聴ける空気感が高まるし、そういうのが定着したら「だったら出たい」という人も出てきそう。