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【連載第5回】『ももクロを聴け!』の堀埜浩二さんにばってん少女隊『九祭』について聴く(5)

ばってん少女隊はダンスミュージックでありながら和のテイストも感じさせるような所属するスターダストプラネットのグループの中でもこれまでにないユニークかつ魅力的な楽曲がそろっており、個人的にも注目してきました。新アルバム「九祭」が発売になった機会をとらえアイドル楽曲に造詣の深い「『ももクロを聴け!』*1の著者、堀埜浩二さんに話を聞いてみました。
(ZOOMインタビュー発売以前の17日夜に収録。聞き手は中西理)
中西 初期の曲とかは別にしてばってん少女隊はボーカルのスタイルがほかのスタプラのグループと少し違う印象を受けるのですが。Perfumeみたいにと感じるのは単にエフェクトのことではなくて、一番典型的なのは私立恵比寿中学なんですけれど、歌い上げるような歌唱法が目立つ気がします。そして、それは全部がそうだということではないけれどスタプラの代表的なスタイルになっているように思うんですが。この間いぎなり東北産との対バンライブの映像を見たんですが、東北産の方のボーカルスタイルが完全に歌姫的な人が歌い上げているのに対して、エビ中の延長線上にあると思ったんですけど。
堀埜 歌い上げるということについてはエビ中も東北産も個人的に歌い上げ系の人はおるんです。でもグループ全体として別にそこに足並みがそろっているわけでは決してない。コーラスやってもユニゾンであってもすごく複雑な音の混ざり方をするというのが一番魅力的なことなのだと思います。私がそう考えるときになぜハロプロハロープロジェクト)系のグループにそんなにすごく魅力を感じないかと考えると分かりやすくて、基本的にハロプロのグループBEYOOOOONDSとかOCHA NORMA*2とかは変わってきましたが、アンジェルム*3ぐらいまでは基本つんく♂の歌い方でボーカルしてきていたっていうのをしっかり受け継ぎながらやっている。歌い方のトーンとかをきっちりそろえるという教育をしっかりと受けてきたタイプの歌い方です。なのでメンバーごとのバラツキは少ない。メンバー個人でそれぞれに歌うと全然違う声や味わいを持っているのに群唱になった時につんく♂的なボーカルスタイルがばちっとそろう。たぶん、僕はちょっとそれが苦手なのかもしれない。
ももクロはいきなり全員が全然違う歌唱スタイルでバラバラのまま今もやっていますから、そこの面白さというのが音楽の新しさだった。5人時代もそうですが、5人一緒に歌っていて全然バラバラなのにアンサンブルになった時にここでしか聴けないボーカルのアンサンブル、歌の厚みが聴ける。そして、4人でもそれは変わらない。他のスタダのアイドルもまあまあそれを踏襲しながらやっている。当然ながら、ひな形がももクロなのでそうなっているというのがあります。その中でいうとばっしょーちゃんが面白いのはトーンをそろえることも出来るし、それぞれの幅を持たせることもできるしというのが実はこのグループの面白いところで、ちょっと話に出たDaokoの歌い方に寄せた「和・華・蘭」なんかはどこのパートを誰が歌っているのかがちょっと分かりにくくなるような声のそろえ方をしているわけなんです。そういうこともできるんやなあというのがすごく面白いなあと思いました。
 ばっしょーちゃんの場合、希山愛ちゃんがすごくハスキーボイスで、この子の声のざらつきの感じ、そしてもの凄く声の抜けがいいちゃん瀬田が上にいてこの二人の間の穴に他のメンバーの声が収まっているというここ特有のニュアンスというのがあるという面白さがある。僕はやはりそういうのが好きなので惹かれるのだと思います。
中西 新しい二人もまた違いますよね。最初に入った時にはちょっと弱いかなとも思ったのだけれど最近のライブや収録を見るとかなり強い声を出せるようになっている。自分の個性がどうなのかというのはまだこれからのことになると思いますが、音圧などでいうと遜色がないレベルになってきているし、それぞれの違いもあるなあと思いながら聴いているのですが。
堀埜  新しいメンバー二人が面白いのは単独で歌っている時とコーラスの時との違いがものすごくはっきりとしていることだと思います。フォーク村でちゃん瀬田が出られなかった時が一度ありましたよね。
中西 5人で出ていました。
堀埜  その時にこの子らこういう歌い方ができるんだなという曲があって、もともとローカルながら実力のある子が集まっているグループでここはオーディションとかそういうのではなく、すぐにメンバー補充をきちんとやってすぐに狐のお面をかぶってできたわけですから、その辺の運営のしたたかさ、いい感じの運営との噛み合い方、ストレスのなさというのはあります。ももクロがそうなんですけど本人たちと運営がしっかりと一体となり動いていく感じというのは強く感じる。
中西 もう一度個々の楽曲の話題に戻ることにします。先ほど抜けてしまったんですが、ASOBOiSM*4「御祭sawagi」はどうでしょうか。

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堀埜 ASOBOiSMとPARKGOLFですけれど、これはリズムの感じから言って明らかにハウスですけれども、作家である彼女、彼らのテイストを生かしながらうまくばっしょーちゃん向けの曲を作ってくれたなと思いました。
中西 「沸く星」(作詞:没 a.k.a NGS(Dos Monos), uami 作曲:没 a.k.a NGS , uami)はまだ一部しか聴けてないのですが……。

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堀埜 「沸く星」についてはまだ全貌が分からないのですが、この辺でちょっとバラードっぽいおとなしめの曲が入ってきて中盤のペースチェンジみたいなことがうまくできている感じはあります。 
中西 この作詞作曲の没 a.k.a NGSはどんなタイプのミュージシャンなのか聞いたことがありますか?
堀埜  グループの人のようですが、残念ながらあまり知らない。この人もそうですが、実績があるというよりは若くて才能のある人を引っ張ってきていると思います。ももクロも最近はメンバーと同年代、あるいは場合によっては年下の作家を起用しています。こうした傾向はスタプラの他のグループにも見られますが、そういう中でもばってん少女隊スタプラの中でもかなり尖がったところを引っ張ってきている印象はあります。
(その後、Youtubeで調べてみたら没 a.k.a NGS、 uamiともにラップ系のアーティストのようだが、再生回数もまだ少ないのでA&Rが見つけてきたタイプのアーティストではないか。参考のためにそれぞれの楽曲も載せておく)

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■収録曲
01:OiSa (2021 ver.)(作詞作曲:渡邊 忍(ASPARAGUS))
02:わたし、恋始めたってよ!(作詞作曲:渡邊 忍)
03:YOIMIYA(作詞作曲:ケンモチヒデフミ水曜日のカンパネラ))
04:御祭sawagi(作詞:ASOBOiSM 作曲:PARKGOLF , ASOBOiSM)
05:さがしもの(作詞作曲:ケンモチヒデフミ
06:和・華・蘭(作詞:Daoko 作曲:GuruConnect , Daoko)
07:沸く星(作詞:没 a.k.a NGS(Dos Monos), uami 作曲:没 a.k.a NGS , uami)
08:Bright & Breezy(作詞:YonYon 作曲:YonYon , DÉ DÉ MOUSE)
09:南風音頭(作詞:村里 杏 , サトウ ショウゴ 作曲:サトウ ショウゴ)
10:禊 the MUSIC(作詞作曲:渡邊 忍)
11:虹ノ湊(作詞:Rin音 作曲:Rin音 , Taro Ishida)
12:OiSa PARKGOLF REMIX

*1:simokitazawa.hatenablog.com

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りん (id:simokitazawa) 1日前

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