【連載4回目】『ももクロを聴け!』の堀埜浩二さんにAMEFURASSHI『Coffee』について聴く(4)
『ももクロを聴け!』の堀埜浩二さんにAMEFURASSHI『Coffee』について聴く(4)「『ももクロを聴け!ver.3』の堀埜浩二さんにAMEFURASSHIの音楽について聴いてみることにした」*1の第二弾。今回は『Coffee』について聴いてみることにしました。収録されたリード曲「Blow Your Mind」がこれまでの最速で25万再生を達成するなど注目のミニアルバムだが、前回のアルバム『Drop』に続き、現在のAMEFURASSHIの音楽性や戦略がますますはっきりしてきたようなところがある。
(ZOOMにて5月24日収録)
堀埜浩二(以下堀埜) でもアメフラもそうですし、フォーク村で聴いてて思ったのはukkaも意外と生バンドそんなによくなかった。バンドとの相性もあるとは思うんですが。いぎなり東北産とか、今も実際にエビ中(私立恵比寿中学)なんかは生バンドを何回もやっている。楽曲によっていい悪いが分かれると思うがとき宣(超ときめき宣伝部)なんかはもう生バンドでまったく問題ないですよ。昔のアイドル歌謡はバンドでやってましたし。それで言うと実はアメフラが一番ややこしいと思います。普段のアメフラの音圧感というのはそんなに生バンドを求めていない。バンドが入ることによってよくなるケミストリーというのはバンドとコーラスと歌唱の一体感なんですが、そうなったときに今のアメフラのメンバーに加わったバンドの形というのがあまり見えない。DJが現場でトラックを流しながら煽るということの方がイメージしやすい。
中西理(以下中西) DJだったらまあ普通にやれるというか、クールにやることもできるし煽ることもできる。その辺は演出次第でしょうね。
堀埜 そうですね。それは結局やって面白いかどうかだと思うんです。今のアメフラの曲とかやり方とかはあまりそれを求めない路線のような気がします。はっきり言ってLDHがそうなんですよ。あそこなんかは別にこれは悪い意味ではないんですが、グループの中にひとりふたりボーカルがいて後はダンサーでしょ。アメフラは4人とも歌って、ダンスもするけれどそこの部分(ダンス)を見に来ている人にとって演出的なギミックというのは音響・照明の部分では必要でもバンドが入ってそこで音楽を作っていくということに意味を見出す可能性というのは厳しい見方をすればLDHに関していえばない。彼らのいろんなライブとかを見たうえで、まあこんなもんだなと本人たちにきわめて負担の少ない部分で最終的なパッケージをどう作るのかというのがLDHのやり方。Kのグループも基本的にそうです。それはそれで完成されたエンターテインメントの破綻のないスタイルとしてあって、今アメフラがやっていることは割とそっち寄りに行っているという印象はあります。これが面白いのはアイドルだから間のトークとかそういうところは本人たちがこんなに高度に楽曲を歌っているのに間にぐだぐだの部分が入る。そこで萌えるというのはアイドルファンの好きな部分でもあるので、ここからのライブ構成をどうしていくんだろうなという行き方がすごく楽しみではあるんですよ。
中西 今のところ2つに分かれていますね。2つというのはとりあえずはライブを完成するためにMCを途中にはいっさい入れないというやり方。これでアルバムツアーぐらいまでは来て、この間のツアー(Spring Tour)は逆に緩い観客を和ますトークや曲中でのアドリブや煽りなどで緩急をつけ、それでと観客を動かすというスキルを上げて客席との一体感を作るということに力を入れてきた。そして、最近それが生きてきたなと思うのは確かにアメフラのような楽曲を嫌いなアイドルファンというのは一定数おり、アイドルフェスでの受けというのはそれほどいいわけではないというのは今も昔も変わらないのだけれど、前は完全にアメフラはパフォーマンスを淡々とやって凄いスキルを見せつけるけど興味のない人は下を向いて携帯を見ているような状況があったのが、今は前の方にいるアメフラのファンだけではなくて、ほかのグループのファンとかたまたま見に来た女の子とかもだんだん惹きつけることができるようになってきている。それはやはり空気の作り方というか、特に私はそれを「あーりんイズム」と呼んでいるのですが、あーりんの煽りをはなちゃん(小島はな)とかは参考にしていて、そういうことを言えばあーりんはあゆ(浜崎あゆみ)直伝の煽りなんで、avexとかから脈々と受け継がれているものと言えなくもないわけですが(笑)。
堀埜 これは最近はあまり言わなくなったけれど以前は本人たちも言ってましたけれどももクロというのはパクリの集大成ですから。過去にやっていたものをどう自分たちがパクるか。しかも、パクった時には徹底的にそれで遊び切ろうというのの集大成ですから。「15年やれば邪道も王道」というのがありましたけれども、根本的なところでの邪道というのはももクロに関しては変わっていないと思います。そうした遊びをやりきることのエネルギーとかの重要性をももクロに関与しているステークスホルダーはみな知っている。僕自身が一番好きなのはその部分で完成されないし、15周年ライブの初日、あれだけ凄いライブをやって、夜の配信を見たら「相変わらずこんな感じなんや」というのが魅力というか……。
中西 そのことについて言えばその部分を受け継ぐべきなのかどうかという問題はあるのだけれど、スタプラでそれを一番受け継いでいるのがアメフラ。
堀埜 ことアイドルファンにとってはそこが魅力。
中西 でもあまりにも酷いんです(笑)。ライブの振り返りで差し入れと当日のお弁当、食べ物のことしか振り返らないんですよ。あーりんにどんなお菓子をもらったとか。
堀埜 平気でそういうことをしちゃうんですね。それはそれで楽しめるので個人的には全然かまわないのですが。そういう振り幅も必要かも。
中西 ただ、そうしたグダグダトークもスキルは上がっているというか、特に市川優月が腕を上げてきている。
堀埜 小島はなちゃんという天才ものまね師もいるので、あの辺は本人たちのライブの中で生かしてできるかどうか。彼女はここ1、2年の成長が著しい。あの子のやっていることがちゃんとグループの個性につながるようなことになってきたらもっと面白い。
中西 ももクロがそうだった以上にAMEFURASSHIというのはタレントとしては一芸名人の集まりで、それぞれまったく個性が違うし、それぞれの個性を好むようなファン層も違うので、そこがうまく相互作用を起こせばいろんな種類の観客が集められるかなと思います。
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