絶対♡福井夏vol.2『妹と姉と駅の上と妹と姉と駅の上』@三鷹SCOOL
絶対♡福井夏vol.2『妹と姉と駅の上と妹と姉と駅の上』@三鷹SCOOLは世田谷線山下駅のホームで起こる出来事を描いた二人芝居。タイムループ構造、並行世界といかにもポストゼロ年代的な設えになっているが、妹が高校演劇をやっていて東京都大会を突破して、全国大会に臨むという設定になっている。高校演劇では全国の上位校にそうしたアイデアが登場しているみたいだから、ひょっとしたら意図していたのかもしれない。
福井夏はしあわせ学級崩壊の所属だが、クレジットを見てみると柿喰う客にもダブル所属のようだ。だが、柿喰う客の公演では見た記憶がなく、私がよく知っている同劇団の俳優よりもだいぶ若いようなので最近所属したのかもしれない。相手役の長尾友里花も柿喰う客の所属。そうなると劇団内ユニットみたいでもあるが、作品を見る限りは柿喰う客ともしあわせ学級崩壊ともほとんど似たところはない。ハセガワアユムも毎回作演出を担当しているわけでもなさそうだし、女優としてその時々にやりたいことをやるわがまま企画のように見える。
ただ女優のわかまま企画と表現したら誤解する人がいそうなので補足するとこの舞台はいわゆる「私女優よ」というヒロインめいたところが一切ない舞台で、なまじ本人の容姿が整っていることから、自分の劇団でもそういう役回りをあてがわれることが多いのにわざわざマスクに眼鏡を掛けて、少しおどおどしている性格の妹を演じるというのは演じるということへの拘りの強さを感じさせる意味で興味を引かれた。
相手役の長尾友里花は姉役とその元カレ役の二役を演じさせており、客演で招いた形の俳優にこうした難しい役どころをまかせているのもこの公演への意欲の高さを感じさせた。
そして、そういう女優魂の一方で受付でキャストの生写真を販売するようなアイドル的なマーケティングを持ち込んでいるところも面白かった。