妊娠および出産を模倣し疑似体験する習俗を演劇化 したため「擬娩」@こまばアゴラ劇場
したため「擬娩」@こまばアゴラ劇場を観劇。「擬娩」とは妊娠および出産を当事者でない第三者(主として夫を想定か?)が模倣し疑似体験するという習俗。ブルタニカ国際大百科事典によれば「男子産褥ともいう。妻の出産に際し,妻の産褥時にとる行動と同様のことを夫がまねる習俗。フランス語 couver (孵化する) に由来する語で,元来 E.タイラーが 1865年に著書で用いた。南アジア,インドネシア,メラネシア,インド,北アメリカの平原地帯,南アメリカなどの民族の間に行われる」ともあり、本来文化人類学等の研究対象となるべき行為といえるが、和田ながらはこの演劇的行為と演劇との関連性に興味をいだき演劇作品に仕立て上げて上演した。
非当事者である私のような男性にとっては触れてはいけないというか、実感を持って理解することが困難との思いがこの舞台を見終わっても残るため、この作品についてああだこうだと語ることに難しさを感じるのだが、それが楽しめるかというとそうは言い切れないもどかしさはあるものの作者の作品へのアプローチには共感できるところも多い。そこには現代美術の良質な作品に感じるのと類似した知的な楽しみを感じた。
そうした作品全体の質感には作者である和田ながらの表現者としての資質があるのはもちろんだが、作品の舞台美術を現代美術家の林葵衣が手掛け、それが単にオブジェや美術として舞台上にあるというだけにとどまらず作品そのものにかかわってくることも作品の質感を決定する大きな要因となっているのではないかと思う。
りん (id:simokitazawa) 8日前
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