スーパーボウル2021が漫画みたいだったのでざっくり解説
【AP Photo/Chris O'Meara】
全米でも最も盛り上がるスポーツの祭典『スーパーボウル』。
アメリカンフットボール世界最高峰のリーグであるNFLの優勝決定戦のことです。
日本のプロ野球でいう日本シリーズのようなもの。
ただ勝負は1試合のみ。そしてハーフタイムには毎年世界的なアーティストが14分間のパフォーマンスを行います。
それだけに全米の視聴率は毎年驚異の50%近くまで昇るんですね〜。
特に今シーズンは例年以上の話題性があり、シーズン当初からまるで漫画のようなストーリーが展開されてきたんです!
対戦カードは「カンザスシティ・チーフスVSタンパベイ・バッカニアーズ」!
若手スーパースター要する常勝軍団
【AP Photo/Lynne Sladky】
チーフスはここ数年でメキメキと実力をつけ、今では圧倒的なオフェンス力を誇る昨年のチャンピオン。
そのチームをリードするのが、クオーターバック(以下QB)のパトリック・マホームズ(画像左の15番)。
2017年にドラフト1巡指名を受け、鳴り物入りでチーフスに入団した彼は、その強肩とスター性で見るものを圧倒してきました。
とんでもないQBがNFLに現れた!と誰しもが唸りましたね〜。
若くして様々なNFL記録を打ち立てる実力も去ることながら、イケメンかつ観客の心を惹きつける華のあるプレーが彼の魅力。
ワイも気付いたらファンになってた。
「肩強っっ!!」「何そのプレー!?!?」「マホームズなら何かが起こるぞ・・・!」
観戦しながらそんな言葉を思わず口にしてしまうほどに、夢中にさせてくれる若手のスターQBなのです。そして昨年は、見事スーパーボウルMVPの最年少記録を打ち立てた。
チーフスは他にも、リーグ随一と言われるタイトエンド(以下TE)トラヴィス・ケルシーや、100mを9秒代で走るレシーバー、タイリーク・ヒルなどオールスター選手がわんさかと在籍。
誰しもが認める銀河系ハイパーオフェンス常勝軍団です。
NFLの”皇帝”ブレイディ
【AP Photo/Mark LoMoglio】
バッカニアーズは、パッとしなかった数年前から徐々に力を付けてきた印象。
ただそこに今年、リーグNo.1QBのトム・ブレイディが電撃移籍!
トム・ブレイディに関してはもう凄すぎてここには書き切れないから、知りたい方はwikiを見てほしいです。
簡単に言えば、若い頃から数々の記録を打ち立て43歳の今もなお記録を作り続ける生きる伝説。
個人としてスーパーボウル出場は去年までで9回、制覇は6度しています。
歴史上どちらもダントツの1位。
(ちなみに2位は出場5回、制覇は4回)
NFL史上最高の選手との呼び声も高いです。
そんなブレイディが、デビューから19年間在籍し王朝を築いてきたニューイングランド・ペイトリオッツから移籍。
「今年が最後なんじゃないか」「王朝から離れた43歳がどこまでできるのか」
そんなリアクションをしたNFLファンも少なくはなかったが、蓋を開けてみたらとんでもなかった。
バッカニアーズには元々、ここ数年のチームを引っ張ってきたオールスターレシーバーの二枚看板、マイク・エヴァンスとクリス・グッドウィンがおり、今シーズンはブレイディの元で輝いた。
(※さらにここからが漫画のような展開)
まず、ペイトリオッツ時代の相棒で、2018年に引退するまで当時リーグの最高峰TEだったロブ・グロンコウスキーがブレイディを追って現役復帰。
あの黄金タッグを違うチームでまた見れるのかと誰もが興奮した。
そして、素行の悪さでNFL各チームから切られていたスキルフルな選手たちをブレイディらが「優勝にはお前が必要だ」と声をかけてまわった。
結果的にその全ての選手がシーズンを通して文句も言わず戦い抜き、チームを支えた。
チーフスにも負けず劣らないオールスター軍団となり、負けはありながらも強さが光りプレーオフへ進出した。
スーパーボウルの呪い
【Ben Liebenberg via AP】
スーパーボウルという決戦は毎年開催地が違う。
リーグに存在する32チームの本拠地を、1年ずつ順番に周っていくシステム。
シーズン前から既に発表されていることであり、当然開催地チームは本拠地でのスーパーボウルに出場できるよう精一杯戦う。
だが昨年までの54シーズンの中で、ホーム開催のスーパーボウルに出場できたチームはいない。
これは一種のジンクスとされていて、どの強豪チームも途中で敗退してしまうのです。
だから毎年、開催地とは全く関係のない2チームが激突。(ある意味フェア)
巨人vsソフトバンクの日本シリーズなのに会場はナゴヤドーム。そんなことが54回続いてきました。
だが今年はバッカニアーズの本拠地であるタンパ開催。
移籍1年目のブレイディ43歳がジンクスを破れるのかと、シーズン前から話題にもなりました。
そして見事バッカニアーズは、プレーオフをレギュラーシーズン以上の強さで勝ち上がり、そのジンクスを破りました。
無論相手はレギュラーシーズン1位通過で、プレーオフでも危なげなく勝ってきたカンザスシティ・チーフスである。
新旧スターQB対決
現地2021年2月7日 第55回スーパーボウルが開催された。
ハーフタイムショーは The Weeknd 。
コロナ禍でもちゃんとスターを用意してくるあたりは抜かりないですね。
パフォーマーはちゃんとマスク姿だが、逆にそれが物々しさを増している。
今年はそこまでイカつい大掛かりなセットではなくて、カメラワークやパフォーマンスの魅せ方がとても良かった気がした。
個人的に好きなアーティストというのもあるけど、高校時代に聴いていた曲たちをこの歴史的な試合のハーフタイムに見れたことが幸せでした。
(試合に移ります)
下馬評としては若干チーフス優勢かと言われていました。
だがチーフスのハイパーオフェンスを、バッカニアーズはシーズンとはまるで違う生き物になったかのように止めた。
この試合まで圧倒的なオフェンスを続けてきたあのチーフスがなかなか良いところを見せられないでいるのです。
マホームズは強烈なディフェンスを受けながらも、やはりファンを湧かせるプレーを随所に見せた。だがレシーバーへのディフェンスも苛烈なもので、結局タッチダウンは一つも取ることができなかった。
一方のバッカニアーズは、10回目のスーパーボウルとなるブレイディを中心にオフェンスがうまく噛み合った。
ホームアドバンテージで流れも一気に傾き、試合は一方的な展開となりました。
昨年チャンピオンの常勝軍団チーフスを、1年目のドリームチームが破ったのです。
NFL史上最高の選手へ
【AP Photo/Ashley Landis】
ブレイディの優勝回数は”7回”となりました。
個人としてはもちろんダントツだが、32あるチームで最も優勝回数が多いのがペイトリオッツの”6回”であるため、NFLのどのチームよりもチャンピオンリングを持っている1人の選手となりました。
(ちなみにペイトリオッツの”6回”の優勝は全てブレイディによるもの)
とてつもないですよね(笑)
ジンクスを破るどころか自身の持つ記録を更新し、43歳にしてまたもや伝説を作っちゃいました。
ワイ個人としてはチーフスが好きだったから悔しかったけど、ここまで完膚なきまでにやられると逆に清々しいし、現役のブレイディを見れてる今の状況に喜ぶべきだとも感じた。
それだけに偉大な選手であるし、マホームズはこれからさらにブレイディの記録を抜く存在として成長していってほしい。
ケガが怖いけど、彼ならやってくれそうな気がしなくもないんだよなあ。