経済学の成立からコロナ恐慌までの経緯
経済学の祖はアダム・スミス(Smith,Adam 1723.6.5 生 スコットランド 1790.7.17没 エジンバラ)です。主著は「国富論(An Inquiry into the Nature and Gauses of the Wealth of Nations 1776)です。今から244年前の著作です。これによって「経済学」の歴史が始まった。「神の見えざる手」によって社会の富の生産と分配が決定するという自由主義の経済が確立した。
国富論から91年後、カール・マルクス(Marx, Karl Heinich 1818.5.5生 ドイツ トリール 1883.3.14没 ロンドン)が「資本論(Das Kapital 1867)」第1巻を刊行した。マルクスの死後、朋友のエンゲルスに引き継がれ、第巻は1885年に、第3巻は1894年に出版された。「マルクス経済学」が確立した。
1929年のニューヨーク株式市場の大暴落をきっかけに世界恐慌が起きた。マルクスの資本論から69年後、ケインズ(Keynes,John Maynard 1883.6.5生 ケンブリッジ 1946.4.21没)が主著、「雇用・利子および貨幣の一般理論(The General Theory of Employment,Interest and Money 1936)を公刊した。新古典派経済学では解決できなかった世界恐慌脱出の処方箋を、国家が経済への介入の必要性を主張した。
第二次世界大戦後、アメリカとソ連の冷戦状況が1991年のソ連の崩壊まで続いた。覇権国家となったアメリカは順調に経済成長を達成したが、1971年8月にニクソン米大統領は一律10%の輸入課徴金設定とドルの金交換停止を柱とする緊急経済政策を発表した。対米依存の日本に打撃を与えた。その後1985年9月22日にニューヨークのプラザホテルで開催された先進5か国会議(G5)でドル高是正の合意が決議された。
1980年代後半の日本経済は不動産価格の上昇と株価の上昇が起きていた。1989年12月29日の大納会の日に日経平均株価は38,915円を付けた。翌年1990年1月から株価が大暴落し、不動産価格も暴落した。これは「バブル崩壊」と呼ばれ、日本経済の凋落を意味した。1997年に金融危機が起こり、1997年11月17日に北海道拓殖銀行が経営破綻。11月24日には山一証券が廃業した。そして金融再編に進んだ。
2001年9月11日にアメリカはイスラム過激派組織による同時多発テロの犠牲になった。2003年3月20日にジョージ・Wブッシュ大統領がイラク侵攻を表明した(イラク戦争・第二次湾岸戦争)。この戦争経済でNYダウ平均株価を押し上げた。これに追随して日経平均株価も上げた。
2008年9月15日にアメリカの投資銀行のリーマン・ブラザーズが経営破綻した。いわゆるリーマン・ショックである。2008年10月28日に、日経平均株価が6,994円の底値を付け、2009年3月9日にNYダウは6,440ドルの底値を付けた。世界経済は金融緩和政策による景気回復を処方箋とした。
1990年代から中国は驚異的な経済発展を成し遂げた。現在、アメリカと覇権争いをしている国家が中国である。2017年1月20日、第45代アメリカ大統領にドナルド・トランプが就任した。アメリカは対中国貿易で膨大な赤字がある事を問題にし、習近平国家主席と貿易不均衡問題について首脳会談を重ねた。2019年には事態が深刻化して「米中貿易戦争」と呼称されるようになった。2020年1月15日に米中貿易協定に署名した。2020年2月、トランプ大統領と習近平国家主席は新型コロナウイルスの感染流行による問題を電話会談で協議した。3月27日に両首脳は新型コロナウイルス対策で緊密に連携することで合意した。
ケインズの「一般理論(The General Theory)」刊行から84年が過ぎた。世界恐慌から91年が過ぎた。大きな景気循環は60年から90年に一度のサイクルで出現する。今回の新型コロナウイルスによる恐慌局面はこの景気循環に一致している。ケインズ以降の経済学は有効でなかったという論評もある。外出自粛により、考える時間が増えた。新たな未来へ導く方策を考えようと思う。