年末年始は世の中との距離感がバグる|つれづれなるエッセイ
年末年始は世の中と自分の距離感がバグる。
わけもなく世の中に対していつもより親しみを感じるのと同時によそよそしさも感じる。
なんだかたまたま会った知らない人に親切にしたいような、話しかけたいような、朗らかでいたいような。でも年末の賑わいや高揚感から一歩距離をとって、白々しくいたいような気もするのだ。
実際こんなことがあった。
実家に帰る前に駅直結のショッピングビルに入ってみると、催事場でおいしそうなおつまみやお正月の食べ物が売られていて、人だかりができていた。人がひしめき合っている中に入るのは苦手だから、ついつい、この人たちはなんで見てるんだろう、と考えてしまう。お土産を買うために見てる人たちかな、美味しいおやつを買いに来たのかな、それとも私と同じくせっかくだから何か美味しいものがあったら買って帰ろう仲間だろうか。せっかくだから、の気持ちが支えてくれて私も人だかりに加わった。
ぐるっと見て回ると、たこわさとかにしんの南蛮漬けとか、とにかくお酒のおともにぴったりなものを量り売りで販売するお店を見つけた。(いいなあ美味しそうだなあ、いいのがあったら買って帰ろうかなあ)とぼんやり悩みながら考えながら見ていたら、隣で覗き込んでいたおじいさんが振り向きざまに
「おいしそうだよねえ」
とわたしに声をかけてきた。同じことを思っていたので嬉しくなって、
「ふふ、そうですねえ、、お酒のあてにぴったりですよねえ」
と返事をしたらおじいさんは
「でもちょっと高いんだよねえ」
といいながら去っていった。にこにこしながら去っていくおじいさんを見送りながら、ああ、あのおじいさんは私の仲間だったんだ~!と急に嬉しくなって、たこわさはいらないや!と後ろ髪引かれず、にこにこと後にした。
たこわさを買うことで得られる嬉しさよりも、おじいさんとふふっと会話できた嬉しさの方が上回ったのだ。それも圧倒的に。だから満足して帰った。私はハートフルなやりとりをしたかったのだ。
私は結局何も買わなかったけど、みんなハートフルでいたいし、誰かにもハートフルになってほしいから、催事場に行くのかもしれないね。そうとらえることができるようになってよかった。
そう思うと、人との距離感がバグるのはディズニーランドに行った時とかクリスマスとかと同じ現象だね。みんなでハッピーでハートフルにいたい気持ちがディズニーランドやクリスマスを作ってる。その世界が日常にも広がっていけばいいのにな。目指すは日常もハートフル。
気が付けばもう大晦日ですね。みなさまよいお年を^^