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大切に扱ってほしいという切なる願い|つれづれなるエッセイ

保育園の頃、帰り道、
母の漕ぐ自転車の後ろに乗って揺られながら、
子どもながらのピュアな疑問をよく母に投げかけた

「なんで星ってきれいなの?」
「なんで空って青いの?」

こういう、日常生活を送るには至極どうでもいい、
けれども美しいきれいな対象に対する素朴な疑問を
毎日のように質問していたような気がする


ある日の帰り道
いつもと同じように
ふと思い浮かんだか
その日に不思議に思ったか
どちらかの
いづれにせよ他愛ない質問を
母にした

すると母は
自転車を一生懸命漕ぎながら
少し息を切らしながら
「なんでだろうねえー」
とひとこと言った

私はこの時

(母は私の話にこたえる気がない)

とわかった

ピュアな好奇心がすっと冷めていった

(母は忙しい。
 だから、
 迷惑かけないようにしなきゃ。
 私のせいで疲れないようにしなきゃ。)

そして心に痛みを覚えた

(私から湧き出てくる
 奥がきらきらと光る原石に
 母も興味を持ってほしかったな)

(私を大切に扱ってほしかったな)



フルタイムで仕事しながら
子どもの送り迎えをして
帰ったらごはん作って食べさせて
お風呂に入れて
寝かしつける

3人も。

私には到底できない偉業を
母は文句言わずに成し遂げた

すごい
本当にすごい

だからこそ
母に悲しい思いをさせたくないし
迷惑はかけたくない

だからずっと悩みは打ち明けなかった

子どもの頃の痛みが
無意識に
母には心配させないようにと
働いていた


大きくなってから
あんたは万年反抗期だと
母に言われたことがある

それはきっと子どもの頃に決めた
「母を心配させたくない」

成長した故に生まれる
「自分は本当はこうしたい」
のせめぎ合いだったのだろう
と今ならわかる


今の私は
時に親しい人を大切にできない
この、時折地獄から湧きそうになる
負の連鎖を早く断ち切りたい


私は親しい人を大切にする
そして親しい人には私を大切にしてほしい

この純粋な願いを一生持ち続けて私は生きる



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ラーニングサークル「嫌な人」のワークを
先日受けて今湧いてくることばたちを書きました




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