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清水分析同好会(仮)第2回分析ミーティング  その2【試合分析報告】

 3月1日に行った清水分析同好会(仮)分析ミーティングのまとめ、その2です。

 その1はこちら。

 こちらの内容は以前ツイッターでも触れましたが、noteにも残しておきます。

 時間があったので今回の考察を補助になればとJun Kanomata(@jun_kanomata)さん製作のパス分析ツール「paSSSonar」でパスのデータも抽出してみました。その結果も交えながらまとめてみます。

(パスソナーは前半が15〜45分、後半が60分〜90分の値です。)

【テーマ1】後半、FC東京に押し込まれた原因は?

 FC東京は55分に三田に代えてアダイウトンを投入。下はその時のシステムのかみ合わせのイメージGIF動画。

かみ合わせアニメ

・FC東京はシステムを4-3-3から4-4-2に変更。
・システムのかみ合わせ上では清水のトップ下後藤の周囲にFC東京のCHが2枚いる状態。
・FC東京のCHの1人がフリーになりやすくなる。

 FC東京のCHが比較的フリーになりやすくなったのが1つ目のポイントです。

 FC東京のCHにボールが入るようになったのはパスソナー図にも表れています。下が橋本のパスソナー図(左:前半、右:後半)です。

橋本前後半

 アンカーだった前半のパス数が3回。ダブルボランチの左に入った後半は13回。明らかに橋本がボールに絡む回数が増えています。

そして、

ディ後フリー

・フリーになるFC東京のCHに対して清水はCHの1枚(位置的には西村)を前に出して対応。
・FC東京が保持した時は両SHが上がってディエゴが引いてくるため4-2-1-3のような形になっていた。
・西村が動いたスペースで引いてくるディエゴがフリーに。

 FC東京はディエゴが引いてトップ下のような位置にいるので西村が動いたスペースでフリーになりやすくなっていました。

下はディエゴのパスソナー図です。(左:前半、右:後半)

ディエゴ前後半

 少しわかりづらいですが、注目はパスの方向。後半は、清水陣内で前向きに出すパスが増えています。これはディエゴが前半に比べてスペースを得て前を向く回数が増えたからと解釈できるのではないでしょうか。

 このように、トップ下の位置でディエゴが前を向けるようになったのがFC東京が清水を押し組むようになった要因のひとつになったと思われます。

 さらに、

数的不利

・左WG金子は非保持時に低い位置に戻らない。
・FC東京右SB中村に高い位置を取られると奥井のところで1vs2の数的不利に。

 左WGの金子は非保持時に低い位置に戻らない傾向がありました。なのでFC東京の左SB中村が高い位置を取ると奥井のところで1vs2の数的不利が生じます。そこでCBのヴァウドが奥井をフォローしようとレアンドロを見れば今度は中央でディエゴがさらにフリーになります。

 下は中村のパスソナー図。

中村

 後半はCHがボールを持てるようになったことでSBにボールが渡り、またボールを受けた時にサイドにスペースがあるため高い位置まで行けていることがわかります。

 このようにサイドで優位に立ったFC東京は、

同数2

・中央でフリーのディエゴを使う。
・または4枚ゴール前に上げてフリーのSBがクロス。
・清水のDF陣とFC東京の前線は4vs4の同数。
・同数なら質的にFC東京が有利。

 清水陣内で有利な状態を作りゴールへ迫ることができていました。

 以上のように選手交代後、中盤でのマッチアップがずれてピッチの各所に数的不利が発生。それが清水陣内、特にゴール近くでFC東京のアタッカー陣の質の優位を際立たせる結果になりました。

 ここまでが清水が後半押し込まれた原因の推測です。

 それではさらに進んで清水がFC東京の攻撃に対応するにはどのような手が考えられたでしょうか。分析同好会としての対応策も考えてみました。

 一番シンプルなのは、非保持時に金子をサイドの低い位置に下げさせること。しかしおそらく金子にはカウンター要員としての役割があったのではないかと考えられます。
 だとすれば金子を低い位置に下げてしまうのは、チーム戦術上好ましくありません。

 そこで考えた対応策は金子を少しだけ内側に下がらせて、フリーになる相手のボランチ周辺のスペースを消す方法です。

金子竟がwド

 これなら金子がDFラインまで引く必要がありません。内側のスペースを消し、ボールホルダーにプレスに出ても最低限のスライドで済みます。

 これがこの会で導いた解決策です。実際は金子の動きにどのような意図があったかはわかりません。しかし見えていた現象自体は事実です。僕らにできることは現象をできるだけ忠実に見て、そこから考察して、また次の観戦に繋げること。そしてそのサイクルを真摯に続けることでモフ将エスパルスを理解して楽しむことです。

 テーマ1はこんなまとめでどうでしょう?(笑)

【その2】失点時の立田の対応について

 結果的に立田が3失点すべてに絡んています。これは立田個人的な対応ミスだったのでしょうか。

 まず3失点した場面を抜き出します。

1失点目(74分)

74分

2失点目(79分)

画像7

3失点目(89分)

画像8

 立田が失点直前にプレーに関与していること、そして2度PKを与えてしまったことから彼のプレーが注目されますが、いずれの場面も立田が対応する前に組織として不利な状態に陥っています。

 さらに言えば失点はテーマ1で考察したようにマッチアップのずれからくる各所にできた数的不利により、後手を踏んだ状態が続いたことが影響していると考えられます。負荷がかかる時間が長ければ個人としても集中力を保つのは容易ではありません。

 当然個人での対応に改善、向上の余地はありますが、相手の押し込まれた状態が続いていただけにチームとしてなんらかの修正が必要だったのではないかと思われます。

【その3】アタッキングサードでの金子と奥井の関係性

 左サイドでの崩しのスムーズさに比べて、右サイドは崩し切れない場面が多い印象が残りました。その原因を探ったのがテーマ3です。

 観察の結果、左サイドは、西澤が外に開けば石毛や西村がハーフスペースを突き、カットインすれば外を回り、という複数人の関係性ができていました。

 一方、右サイドは金子がワイドでボールを持った時、奥井が斜め後ろでフォローする立ち位置から動かない場面が目立ちました。そのため相手のDF周辺にスペースができず金子が単独で仕掛けざるを得ない状況が多く発生しています。

 この右サイドの動きが何らかの戦術的意味合いがあるのか、まだ連携不足なのかはわかりません。しかし少なくとも右サイドのワイドにボールが渡った時の行き詰まり感は上に上げたことが要因になっていると思われます。この会では奥井はもっとスペースメイクのためのフリーランをするべきではないかという意見にまとまりましたが...。

 ー補足。帰ってから少し気になったのが、

このような意見。

 確かに奥井と金子がチームの求めているものに忠実な結果上のような事象が起きた可能性は充分考えられます。

 このワイドの崩しと各選手の配置、動き方は今後もう少し掘り下げて見てたいと思います。

【最後に。まとめとお礼】

 今回のミーティングはFC東京戦でメンバーが気になった部分の映像を見ながら分析(と言っていいのか...)してみました。

 ネット上では普段からお互いやり取りしていますが、実際にメンバーと会って話をすることで考えがよりクリアになった気がします。

 今後もまた何か発信していけたらいいなと思います。

 最後にお礼。実はこの日、おしゃれなランチの場にタブレットやパソコン、はたまた戦術ボードまで持ち込んむという場違いな雰囲気をまき散らしていた上に(一応事前に許可は貰っていましたが)、時間まで大幅にオーバーするという失態を犯してしまいました。

 平謝りの私たちを「全然大丈夫ですよ」と優しく笑顔で許してくれたTHE SIXのスタッフのみなさん。大変すみませんでした。そして毎回素敵な食事と素敵な空間をご提供いただきありがとうございます。

 ご迷惑をかけない範囲で是非また利用させてください(次は気をつけます)。

 



 




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