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私の記事はこう活用してほしい!~小論文作成のためのサイトマップ~

更新日:2025/01/27

 小論文・作文指導者の〆野が普段の添削・採点指導で教えている、作文・小論文・志望理由書作成における実践的な技法をレクチャーするのが、このシリーズ【文章作成の実践】。

(〆野の自己紹介はこちらから見られます。)


「小論文を書く」ためのガイドライン

 記事が100を越えて、大分増えてしまいました。そのため、私の記事に対して大学受験生が「何をどう読んだらいいかがわかりづらくなっている」のでは、と思いました。そこで、本日は「小論文の作成の仕方を学習したい」と考えている受験生を想定した上で、そうした生徒がどのように私の記事を活用していったらよいか、そのガイドラインをサイトマップのかたちで、記事としてまとめてみました。

 この記事を頭から最後まで読めば、小論文作成についての「『A』to『Z』」が「通し」でわかります。そういう意味では、今回の記事は、これから小論文について学び始める受験生諸君には(自分で言うのもなんですが)必読の記事です。

1.小論文学習に入る前にわかっておいてほしいこと。

 小論文を書く前にまず知っておいてもらいたいのが、「多くの失敗している小論文答案は、問題文や課題に正確に答えられていないものである」という事実です。小論文の内容の正確さや精度ということ以前に、問題文の指示に従っていないものや問題文の要求に答えられていない答案が多いのです。この事実にまずは着目してください。ですから文章をどう書くか以前に、「問題文や課題をどう読み取るか」が重要です。

(失敗している小論文は「課題」に答えていないのが9割!)

 また、「小論文とは元々どういう文章なのか」ということを先に理解してください。作文と小論文とは何が違うのか、しっかり認識しましょう。小論文とは、「ある問題について、自分の意見(仮説)を述べ、それについての根拠を述べることでその意見の論理的な正しさを論証した文章」のことです。

(小論文の定義)

 さらに、多くの小論文では、主に「現代のリアルな社会問題」がテーマとして出題されます。そのため、「常日頃から社会問題にふれ、その問題について理解し考察する学習」も必要になってきます。そもそも、その出題された社会問題についての知識や理解がなかったら、小論文答案を書こうにも書くことはできないでしょう。普段からテレビ・新聞・ネットのニュースに目を通したり、市販の小論文参考書を用いて「頻出テーマに対する学習」を行ったりするとよいでしょう。

(頻出の社会問題への理解や考察が必要※下記の内容は2025年度入試のもの)

 もちろん、ここで扱っている小論文とは、いわゆる「問題や課題に対して自らの意見を文章答案としてまとめるもの」を意味しています。しかし、入試では「小論文」と名打たれていても、そうした小論文ではなく「実際は理数系教科や英語・国語の論述問題」という場合もあります。したがって、自身の志望先の入試科目に「小論文」があるとしても、その「小論文」が本当にここで意味している小論文なのかどうかは、学習に入る前に志望先の過去問などで確認しておく必要があります。

(あなたが課されている「小論文」は本当に小論文か。)

2.「序論(書き出し)」はこう書く。

 ここからは、小論文の構成順序に従いながらお話ししていきます。なお、ここの説明では、小論文構成として最も一般的な「序論・本論・結論」といった三部構成を採用します。

「序論―本論―結論」の三段構成
「序論」……定義づけや問題提起
「本論」……論理展開の中心部分
      ・自分の意見の明示
      ・具体例など、根拠の提示
「結論」……自分の意見のまとめ

『常用国語便覧』新訂版

(構成についてはこちらを参照のこと)

 まず「序論(書き出し)」ですが、ここでは大きく分けて2つのパートが必要になります。それは、「問題文や課題の要約」と、それを受けての「問題提起と意見提示」です。

 前述でも指摘した「問題文や課題に適切に答えられていないという典型的かつ致命的なミス」を避けるためにも、課題の要約をし、そこで挙げられている「テーマや論点」を正確に把握する必要があります。「課題文で、筆者は、○○について△△と述べている。」のように、自身が課題文の何について答えるべきかを要約することで確認します。つまり、「小論文を書き出すための準備」に当たるのがこのパートです。

(出題形式別の課題要約の仕方)

 次にそれを受けて「書き出し」ます。ここが事実上の小論文の書き出しスタートです。「課題文で、筆者は、○○について△△と述べている。」ということを受けて、「では、○○は△△なのだろうか。」などのように問題提起することで、論点を明確にします。そして、「私も筆者と同様に○○は△△だと考える(賛成意見)」や「私は、筆者の△△という意見に反対である(反対意見)といったように自分の意見を提示します。

 しかし、この賛成・反対という意見の提示は、その提起した問題がYES・NOクエスションである場合です。たとえば課題文が事実上の問題提起で終わっている(つまり筆者自らの意見を明らかにせずその答えは読者に委ねているタイプの文章)ような場合は、賛成も反対もしようがなく、「では、□□の問題について社会でどのように取り組むべきか。」といったWHクエスションとなります。そのため、対する意見(答)は「私は、□□について◎◎すべきだと考える。」となると想定できます。しゃくし定規に賛成・反対と意見を提示する生徒が多いですが、課題文と問題文を読んで「何をどのように答えるべきか」しっかり考え、適切に答えましょう。

(課題要約について)

(意見提示の仕方)

3.「本論(展開部)」はこう書く。

 次は「本論(展開部)」のお話しです。いわゆる「その論のクオリティー」はここのパートで決まります。ここは「自分の提示した意見の正当性を読み手に理解させる」、最も大切なパートであり、ここで失敗すると、その小論文は説得力を欠いた内容になってしまい、読み手から評価されないものとなってしまいます。また、論の構成パートで最もボリュームのあるところ(序論・本論・結論の理想的な構成比率は「1:3:1」)であるため、その論展開の仕方も考える必要があります。

 ここで重要になってくるのは、その意見に対する「根拠」です。この「根拠」の確からしさが説得力を生み出す大きなカギになります。したがって、ここでの課題は「その意見と根拠との論理的結びつき(論証過程)についてどのように考えたら、適切な論内容となるのか」ということになります。

 「根拠」には大きく分けて二つあります。「具体例」と「理由」です。これは「同じようなもの」としてまとめて扱う学生が多いですが、厳密には各々「運用の仕方」が若干異なります。その扱い方や運用の仕方については、以下の記事で確認することができます。

(具体例と理由)

(適切な具体例の示し方)

 「本論」は、要は、この「根拠」である複数の「具体例」と「理由」の組み合わせによって構成されるものなのです。そして、この組み合わせの仕方によって展開の仕方が変わってくるのです。

 また、説得力をさらに高める方策として「自分の意見に対する反対意見をあえて提示し、それに反論しその反対意見を無力化することで、逆に自分の意見の正当性を高める」というものがあります。これは長い小論文を書くときには極めて有効な論展開であり、これについても是非学習しておくとよいでしょう。ただし、これは、短い小論文を書くときには用いない方がよいです。たとえば400字以下の小論文でこれをやると、「仮想敵」である反対意見に字数を取られてしまうことで、十分な反論もできずに、また返って自分の意見を十分に主張できなくなるという事態になりかねません。そして結果、説得力のない小論文となってしまうことが考えられます。「反対意見の想定」の運用や注意点については、以下の記事で確認してください。

(反対意見の想定)

4.「結論(まとめ)」はこう書く。

 最後は「結論」です。結論は、極めて簡単に言えば、「最初に提示した意見を再度述べること」です。小論文とは、「自分の意見が論理的に正しいことを、根拠を挙げることで論証した文」です。ですから、一番の目的は「自分の意見を読み手に論理的に理解させること」になります。したがって、最初に挙げた意見を改めて示すことで結論とします。この「結論」でもいくつか注意点があります。それは、以下の記事で確認してみてください。

(結論について)

5.その他の記事。

 一応、ここまでで小論文作成についての話は終わりですが、最後に、「書き終わったら必ず『見直し』をしよう」ということをお伝えしたいです。これは小論文でなくてもそうですが、試験は「見直し」が必須です。誤字・脱字や誤表現、原稿用紙の誤った使い方、また文構成の乱れで意味の通りにくいところなどがないかどうか、読み直してチェックしてみてください。書きっぱなしで終えることがないようにしてください。

(見直しとチェックが肝心。)

 また、ここまで読んできた高校1・2年生で「文章作成が苦手」などの理由から「いきなり800字以上の小論文の作成に入るのは自信がない」という方には、「200字作文での練習」をおすすめします。書くことは「書くこと」でしか上達しません。しかし、いきなり長文を作成するのは気後れするという人もいるでしょう。ですから、まずは「Xの1ポスト分くらいの字数の文章を作成する」ことから始めると手が出しやすいかと思います。

(200字作文のすすめ)

(書くことは「書くこと」でしか上達しない。)

まとめ ~本記事で、小論文作成の「最初」から「最後」までを学習することができます。~

 順を追って、小論文の作成の仕方について述べながら、それに該当する拙記事の紹介をサイトマップ形式でしました。これでどの記事がどんな内容に対応しているかは、おわかりいただけたかと思います。これらの記事を順番に全部読んでいただければ小論文作成に関することは十分に学習できるはずですが、気になることやわからないことに関しての記事だけを拾い読みしていただいても結構です。

 また、ここで話題とはしなかった基本的な表記や表現、構成などの問題は、下の「文章作成の基本」マガジンに記事としてあります。たとえば文末表現の問題や段落構成の仕方など、気になるトピックがあったら、その該当の記事を読んでいただけるとよいかと思います。

(文章作成の基本)

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〆野 友介 | 教育系noter | 小論文・作文指導者| 志望理由書の作成指導も |
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