見出し画像

【コラム】あの「クセツヨ女」枠の行方 ~ラジオの話~

 数少ない私の趣味に「ラジオ聴取」がある。今日は、ラジオ番組についてのコラムを書いていきたい。お付き合いいただければ幸いである。 

 遅ればせながら、8/26(月)に放送された「森香澄のオールナイトニッポン0(ゼロ)」(ニッポン放送)を、昨日radikoで聴取した。森香澄氏は元テレ東のアナウンサーで、現在はフリー。去年写真集を出し女優のお仕事もされている方だ。放送当日も、「私はかわいい」と自らで令和のあざとい女の代表だと公言しカラカラと笑いながらも、「炎上しがちで賛否分かれるタイプだが、それでも私は人に嫌われたくない」、「もてたい」と言い放つ図太さを見せた。すがすがしいくらいの徹底的な自分至上主義。放送を聞き「本当にこの人、自分が好きで『かわいい』と思っているんだろうな」と私は思ったが、この「枠」にふさわしいパーソナリティだとも思った。別のタイプだが、またも「炎上クイーン」がこの「クセツヨ女」枠を担当したのである。

 森香澄氏はこの日だけの担当。レギュラーではない。しかし代打パーソナリティとも言えない。なぜなら、ここの枠は一ヶ月程前から急に「空席」となり、週替わりでパーソナリティーが変わっているからである。なぜこんなことになったのか。それは、この月曜日のオールナイトニッポン0(ゼロ)、そもそもは「生粋の炎上クイーン」フワちゃんがレギュラーで担当していた、と言えば、察しのいい方は事情がわかるだろう。

 なぜフワちゃんが急遽降板したのかは本稿では詳しく述べないが、ともかく「ご存じの通り」自らで放火したネット炎上が過ぎて収拾がつかなくなり、彼女は芸能活動が休止となった。そこで、この枠に急にぽっかりと穴が開いた。そこにやってきたのが、「別のタイプの炎上クイーン」森香澄氏なのである。

 フワちゃんの芸能活動休止の原因となったことは、このコンプライアンスが厳しい時代には致し方なく全く擁護する気はないのだが、私は一リスナーとしてフワちゃんの番組は楽しみに毎週聞いていた。一言で言えば毎週「あぶなっかしい」放送であり、それで変な中毒性があったのだろう、私はそれに魅了されていたのだ。

 曲をかければ自分も大声で大合唱(それが放送に乗るし、ゲストにも強要する)した。自分の遅刻や忘れ物の常習癖を「おビョーキ(※1)」と呼び、余りに遅刻が過ぎるので自費でロケバスをチャーターし現場に行くなどのエピソードを披露した。また自分の思い通りにならないとすぐに「発作(※2)」を起こし大きな声で騒ぎ立て泣きじゃくり、公共の電波を使って阿鼻叫喚の地獄絵図を放送に垂れ流した(それがひどいときは、曲を強制的にかけて、その間彼女の興奮を冷ますシステムをとる)。さらに他のタレントにはズカズカ土足で上がりこむように「写メ撮ろう♪」とスマホを自分勝手につきつけるくせに、リスナーには「私がプライベートの時に、スマホで私を撮るな!」と理不尽に激高し、コーナーでは、リスナーメールでテレビの生放送中に鼻くそをほじっているのを暴露されるなど、放送する方も聞く方もとてもカロリーのいる番組であった。

 元々フワちゃんはもっと早い時間帯の「オールナイトニッポンX(クロス)」を担当していた。その頃は正直聞いたり聞かなかったりであった。というのも、この頃は「0(ゼロ)」よりもさらにラジオ番組のテイをなしていなかったからだ。「0」のフワちゃんが「多少なりとも飼い馴らされたフワちゃん」であるとしたら、控えめに言っても「X」のフワちゃんは「野生のフワちゃん」であり、全くの「手つかずの自然」状態であった。放送は、始終話という話はなく、何か焦って大声で騒いで、時間が来たら強制終了という感じ。唯一、番組のテイをなすのは、フワちゃんの武器の一つである「幅広い交友関係」をフル活用したゲスト回だが、これはパーソナリティーがゲストを迎えているというよりも、「小さい子がいる家に親戚のおねえちゃんが遊びに行ったら、小さい子が楽し過ぎる余り興奮しちゃって押さえが利かなくなっている」様であり、「MCがゲストの話を聞く」というよりも「ゲストによってMCが制止される」という「とても時代が追い付いていない」番組のため、当然中年の私も追い付けずに、というか見事に振り落とされた。

 そんなフワちゃんも「X」を卒業後、月曜「0」の担当になると、オープニングのエピソードトークを仕上げてくるようになった。彼女なりに考えたのだろう、なかなか面白いエピソードトークであった。やっと番組らしくなってきたわけであり、その段階になって「全く安心はできないものの、前よりは安心できる放送になったな」と思い、続けて聞くようになった。そんな矢先の急な降板劇だった。別れは突然やってきたのである。近年は、彼女なりの、粗削りではあるが、創意工夫の見える放送だったので、リスナーとしては少し残念ではある。

 フワちゃんは「X」を卒業するとなったときに、番組存続を願って「かなりごねた」らしい。しかし、そのときまさかファーストサマーウイカ氏が月曜「0」を降りて、そこにフワちゃんが来るとは思わなかった。そのころ、私はウイカ姐さんのラジオをヘビロテしていた「土手チン(※3)」だったので、姐さんが降板してその後釜に「あの野生児」が来たとき、さすがに「もうこの枠は聞かないかもしれない」と思ったのだが、不思議なもので知らずのうちに「フワギャル(※4)」になっていた。今にして思えば、これは「クセツヨ女」の枠の魔力なのかもしれない。

 その頃のウイカ姐さんは、今みたいに「NHKに宮仕えする清少納言」ではなく「きつい関西弁むき出しの下ネタ上等元ヤン」キャラであり、当時「炎上クイーン」ではなかったがなかなかの「物議をかもす女」であったことは間違いはない。そう考えると、この枠はやはり「クセツヨ女」の枠と言ってよいだろう。「どぎつい関西弁の元ヤンねえちゃん」の去りし後に、「シノラー似の迷惑系ユーチューバー」が来て、その空いた枠に「モンスター級の自分大好きあざとい女」が来るというのは、タイプは異なるが、いずれも胸焼けする、クセが強い面々である。

 さて、週替わりの来週の月曜「0」、9/2(月)は元NMB48の渋谷凪咲氏が担当予定とのこと。「芸人並みに大喜利に強い、笑いにストイックな大阪の女」が来る。こちらも大分クセが強い。そして来週もたぶん、私は聞く(笑)。今は週替わりだが、今度誰がこの「クセツヨ女」枠のレギュラーになるか、大変楽しみである。


※1・2 本人が放送で言っていることなので、本当に医学的にどうかは定かでない。
※3 「番組の通称は「土手」で、パーソナリティのウイカが自称「東京23区内で最も土手が高い女」である事から来ている。リスナーはそれぞれ「土手チン(男性)」「土手ガール(女性)」「土手ランナー/土手リスナー(通称)」と呼ばれている。2021年1月26日には、番組初のオリジナルグッズとしてリスナーの考案で開発した「土手ジャージ」が完全受注生産で発売された。」以上wikiからの引用。要は下ネタである(笑)。
※4 フワちゃんのオールナイトニッポン0のリスナー名称。ちなみにこちらは、男も「フワギャル」。

「記事が参考になった!」と思われる方がいましたら、サポートしていただけると幸いです。いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!