【お悩み別】高校生に贈る「将来の夢(目標)」を見つけるのに役立つ本7選【志望理由書対策】
更新日:2024/11/07
小論文・作文指導者の〆野が普段の添削・採点指導で教えている、文章作成における基本事項を紹介するのが、このシリーズ【文章作成の基本】。
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(〆野の自己紹介はこちらから見られます。)
志望理由書の作成に、「将来の夢(目標)」は不可欠!しかしここが悩みの種……。
自己紹介にもあるように、私は一年の3分の2を「高校生が高校で書いた志望理由書の添削指導」にあてています。その期間、毎週私のもとには志望理由書が大量に送られてきます。その中には大変よく書けていてほとんど手直しが必要のないものもあれば、中には「私には今現在将来の目標がありません……」から書き出される文章もあります。自分の「やりたいこと(=将来の夢)」を実現するために大学や各種学校に進学するのであり、それが前提である以上、志望理由書で「将来の夢」は欠かすことができません。「将来の夢がない」となったならば、その大学や学部学科を志望する理由(志望理由書)を明確に述べることはできません。ですから、もちろん「そうした文章」は志望理由書の体を成しているとは言えないので指導の対象となります。しかし、それらの文章からは、同じ「将来の目標がない」でも、その悩みの内容は人それぞれであることがわかります。
自分が将来の夢を持てないことを申し訳なく思い、それによって志望理由書がまとめられないことに対する謝罪だけに字数を割く者。「友だちは将来『やりたいこと』が見つかっているのに私は見つかっていない……」と他人と比較して自分の現状を嘆く者。「今『やりたいこと』や『興味のあること』はたしかにあるが、そもそもこれが将来どういう仕事になるのかわからない……」ととりあえず探り探り書いた者。また逆に、「私には将来の目標がない」と言い切った上で、「どうして大人になると働かなければならないのか?人は将来の目標を持たなければならないのか?」と哲学的な問いを発する者……。きっと学校で先生に「課題として」書かされたのでしょう。いきなり「あなたの将来の夢とは?」という問いかけを突きつけられた高校生たちの苦悩の声が聞こえます。
もちろん、高校の先生方は嫌がらせで志望理由書を生徒に書かせたわけではありません。「今後の進路指導として、各生徒がどういう将来に対する希望を持っているか、先生側は知りたい」、「将来の目標を考えてもらうことで、生徒には自身の進学の動機に自覚的になってもらい、普段の受験勉強に対する意義を見出してもらいたい」、「学校推薦型選抜や総合型選抜受験希望者には、その対策として志望理由書を作成して欲しい」、こうした目的の下で生徒に志望理由書を書かせています。しかし、そうした先生の思いとは裏腹に、生徒は「自分の将来についていきなり考えさせられた戸惑い」のようなものを持っているようです。
本来ならば一人ひとり対面でお話しできればその悩みも解決するのでしょうがあいにく私はそれができる立場ではなく、またそれは高校の先生のお仕事なので、ここでは、そうした「将来の夢」を見つけるヒントになる本を7冊、ご紹介します。
「『やりたいこと』はある!でもこれ本当に仕事になるの?」そんなあなたに贈る本5選
将来の夢について、最も多く見かける悩みは「自分の興味や関心のあることはあるにはあるが、それがどういう仕事につながるかわからない」というものです。「英語が好きになったことがきっかけで将来は海外で仕事をしようと考えた、しかし自分の英語のスキルを大学で磨いていくことでそれがどういうキャリアに結びつくのかわからない」などがそれです。これはそもそも、世間にどういう仕事があるのか、といった仕事や職業に対する知識が不足しているからと言えます。こうした方には、「中高生向けの仕事探し本」が多く出ていますので、それらを5冊紹介します。自分の仕事や職業に対する理解度や興味の対象に応じて、選んでみてください(なお、ここに挙げた以外にも職業ガイド本はあるので、いろいろ探してみるとよいでしょう)。
「中高生向け仕事探し本」の代表的一冊!『新 13歳のハローワーク』
今では、中高生を対象にしたキャリア教育(今の勉強が将来の仕事や人生設計にどのようにつながっていくのかについての教育)の必要性が教育現場で叫ばれるようになりましたが、これはそうした流れのきっかけを作った本の一つです。まさに、「中高生向け仕事探し本」というジャンルの先駆けであり、代表的な一冊です。「旧」は当時マスコミでも話題となり、ベストセラーにもなりました。学校の教材として取り入れられたこともあります。この「新」でも603種の職業を、芥川賞作家でテレビ番組で司会もこなす村上龍氏が紹介しています。
自分の「なりたい職業」・「将来の夢」が見つかる仕事ガイド!『「なりたい!」が見つかる将来の夢さがし! 職業ガイド234種』
自分の将来の「なりたい」目標や夢が見つけるだけでなく、その「なり方」や「就き方」も解説している職業ガイド本です。先輩のインタビューが付いておりイラストを用いてわかりやすく解説しています。自分にあった仕事が探せる「チェックシート」付きなので、自分の資質や適性、「やりたいこと」から、自分の「なりたい」を見つけることができます。自分の長所や活動実績を将来にどう活かすか、考える一冊です。
リアルな給料情報も仕事選びには必要!現代社会の仕事をゲームキャラクター的に紹介!「決定版 日本の給料&職業図鑑 最強DXリニューアル版」
累計50万部を突破したシリーズの最新版。540種の職業を網羅。あらゆる職業をファンタジー風のイラストでゲームキャラクターのように紹介しているのが特徴。中高生向けではなく大人向けですが、前述のような内容なので中高生の方も楽しんで読めます。また、平均給料、仕事の内容や就き方などの情報も掲載しているのが特徴。こうしたリアルな情報も、「将来の仕事」選びには必要です。
宇宙人が576の職業を絵でわかりやすく地球人に紹介した一冊!『宇宙人とみつける仕事図鑑 576の職業が絵でわかるからおもしろい』
「宿題で出た『将来の夢』の作文が書けない12歳のユメオ。そんなとき、突然ワプリンと名乗る宇宙人が『またワープに失敗した!』と言って現れた。悩めるユメオに『君の夢、いっしょに探そうか?』とワプリン。ふたりはUFOで地球の仕事を見に出かけて」(文響社の内容紹介より)宇宙人が12歳の子と「将来の夢」さがしをするという設定の職業ガイド本。小学生からを対象にした本ですが、監修は、転職エージェント業界の大手リクルートエージェントなのでしっかりとした内容で構成されています。単なる職業図鑑というより、「宇宙人との社会科見学を通していろいろな仕事を発見する」という「お仕事探し」ストーリー本です。フジテレビ系の番組「ノンストップ」で紹介されたそうです。
技術革新でこれから生まれる仕事や消える仕事が5分でわかる!『5分でわかる10年後の自分 2030年のハローワーク』
今の仕事を知ることも必要ですが、AIやIOTなどの技術革新によってこれから生まれてくる新しい仕事や反対に消えていく仕事を知ることも必要です。これは、「10年後、消える仕事、残る仕事を考えなさい」という課題を出された、中学生のミーンさんと4人の仲間たちがとある研究所のVRツアー通して「未来の職業体験」をする、という設定の職業ガイド本です。現在の技術革新で残る仕事、消える仕事とは何か、大学や各種学校を卒業してからの社会にはどういう仕事があるのか、という視点からの「仕事選び」です。
「そもそも『やりたいこと』がわからない……」そんなあなたに贈るこの一冊『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方 人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッド』
「自分の興味・関心を持つものや『やりたいこと』がそもそも見つかっていない」という、将来ヴィジョンが全く五里霧中で手がかりすらないあなたには、こちらの本をオススメします。一足飛びに「将来の夢や目標」を考えるのではなく、まずは今の自分が『やりたいこと』は何か、考えてみませんか。
「やりたいこと探し専門プログラム」を開発した著者がそれを解説する本です。「自己分析」して、自分の「やりたいこと」を探してみましょう。「自分の『やりたいこと』は運命的にいつしか出会うものではなく、論理的に見つけ出すものだ」、というのが本書の最大の特徴。3ステップで自分の「やりたい」を段階的に主体的に見つけていきます。
「なぜ将来は働かないといけないのか?」そんなあなたに贈るこの一冊『なぜ僕らは働くのか―君が幸せになるために考えてほしい大切なこと』
「何で将来の夢や目標を考えなければならないの?ていうか、何で働かないといけないの?」と、将来のキャリアに根本的で哲学的な問いを持ってしまったあなたには、こちらの本をオススメします。働くことの意味が見えてきます。
「なぜ働くのか」、「なぜ勉強するのか」。学生が一度は持つであろう疑問に明解に答えます。あのテレビでもおなじみの池上彰氏が監修。小学生対象ですが、中高生にも(大人にも)耐えうる内容。働くうえで考えなければならない、いろいろなテーマについて、マンガと図解で多角的にわかりやすく伝えています。「読者満足度、驚異の97.5%」だそうです(学研出版サイトの内容紹介より)。 職業ガイドというより、仕事を含む人生のあり方が考えさせられる本です。
まとめ ~全ての高校生に「将来の夢や目標」について考えてみることをオススメします~
「将来の夢や目標」について考えることは、もちろん学校推薦型選抜や総合型選抜受験(希望)者にとっては「志望理由書の作成」において必要不可欠なことではありますが、では、そうした受験をしない人にとっては考えなくてもよいことかというとそうではないと思います。むしろ、推薦型選抜を受ける受けないに関わらず、全ての中高生にとって将来進路を考えることは不可欠なことであり、「大学や各種学校を受験しない(就職する)」という選択肢も含めて、全ての中高生は自分の「将来の夢や目標」について考えなければいけないと思います。
誰にでも、またどういうかたちでも、「高校を卒業した後の人生」というものはあります。推薦型選抜受験者の志望理由書作成に必要なのはもちろんですが、その他の生徒にも、その卒業後の長い人生をよりよく過ごしていくために、上掲のような本を通して、一度自分の「将来の夢や目標」を考えてみて欲しいと思います。
追記
保護者の方や教育関係者の方には、子どもの将来の夢について考える上で、こちらの記事をオススメします。「○○ハラ」や「センセーショナルな本のタイトル」は感心できませんが、子どもの「将来の夢」の問題にどのようにアプローチをすべきかについて有用なヒントが書かれています。下に本の紹介もしておきます。
「志望理由書の書き方」にお悩みの方には、こちらの「〆野式テンプレ志望理由書作成法」がオススメ!