「探究学習」を「総合型選抜対策」に繋げるための本3選【高1・2生対象】
更新日:2024/11/28
小論文・作文指導者の〆野が普段の添削・採点指導で教えている、作文・小論文・志望理由書作成における実践的な技法をレクチャーするのが、このシリーズ【文章作成の実践】。
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(〆野の自己紹介はこちらから見られます。)
「探究学習」を「総合型選抜対策」に活かす本3選
以前、別の記事で、「総合型選抜をはじめとする推薦系選抜での受験を積極的に考えるべきだ」というお話しをしました。「自分は何も特別な活動もしていないし、そうした活動の実績もない」と推薦系選抜の受験を早々にあきらめるのではなく、むしろ早い段階から推薦系選抜の受験も選択肢に入れることで、ワンランク上の志望大学や志望学校への合格の確率が高まる、というお話しでした。今日はそのお話しの延長線上で、「『探究学習』を総合型選抜対策に繋げよう」、「将来、総合型選抜で受験することを意識して、その対策として『探究学習』に取り組もう」というお話しをしていき、それに役立つ本を3冊紹介します。
(総合型選抜をはじめとする推薦系選抜での受験を積極的に考えて、第一志望校に合格しよう。)
「探究学習」とは何か。
そもそも「探究学習」とは何でしょうか。特に保護者の方はご存じない方もいらっしゃるかと思います。それもそのはずでこれは近年の学習指導要領の改訂に伴い登場した新しい授業です。この「探究学習」には、「総合的な探究の時間」と「各教科に属する科目」の二つがあります。
2022年度から、全国の高校で「総合的な探究の時間」が必修となりました。これは「変化の激しい社会に対応して、探究的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成することを目標にしている(文科省『今、求められる力を高める総合的な探究の時間の展開 高等学校編』より)」学習であり、2018年改訂の高等学校学習指導要領において、以前「総合的な学習の時間」だったものが名称変更となったものです。
二つ目の「各教科に属する科目」では、探究学習として「古典探究」「地理探究」「日本史探究」「世界史探究」「理数探究基礎」「理数探究」の六つの科目が新設されています。
このうち、一つ目の「総合的な探究の時間」は、一方的に授業を受ける「受け身の学習」ではなく、「生徒自身が課題を設定し、解決に向けて道筋を探る授業」です。これは以下の「三つの学習目的」を想定した授業プログラムです。
では、実際、具体的にどのような取り組みを行っているのでしょうか。それは、下の記事をお読みいただくとわかります。
(「いま注目!新しい高校の授業 ”探究”学習って?」NHK静岡より。バスケットボールチームの運営やお弁当の開発など、いろいろな研究テーマがあるようです。)
こうした探究学習の取り組みは今始まったばかりですが、ここでの「学習や経験」が「総合型選抜の有効な対策」になると考えられます。文科省『今、求められる力を高める総合的な探究の時間の展開 高等学校編』にある、実際この学習に取り組んだ「生徒の声」を見ると、それがわかるでしょう。
余りにまとまった回答なので「大人(文科省)に言わされた感」がなくはない内容ですが(笑)、こうした学習経験を踏まえて「問いを立てて,調査・分析をし,行動して検証する」といった大学進学後にも必要な「研究へのアプローチの仕方」を実際身につけられれば、これを基に、志望先に、「総合型選抜」での受験を通じて「問題発見能力」や「課題解決能力」、「論理的思考力」が身についていることを十分にアピールすることができます。このように、「総合型選抜」の準備や対策としての「格好のネタ」になるのです。
(また、ここで身についた「問いを立てる」力は小論文を書く上でも大いに役立つでしょう。)
「探究学習」を「総合型選抜対策」として意識する。
総合型選抜(旧AO入試)は、他の入試方式に比べ、「学習への意欲」や「学びに対する明確な目的意識(=将来像)」が選抜基準として重要視されるものです。エントリーシートや志望理由書などの受験生からの提出書類のほか、面接や小論文、プレゼンテーション試験などを通して、その受験生の能力・適性及び学習に対する意欲などを時間をかけて多面的・総合的に評価していきます。そのためこうした総合型選抜で評価されるためには、その評価の裏付けや根拠となる、他の受験生との差別化がはかれるような、「特別な活動経験や活動実績(たとえば地域でのボランティア活動など)」が求められてくるといえます。しかし、こうした「特別な活動経験や活動実績」を有していてそれをアピールすることができる受験生はめったにいないため、これが今まで「多くの受験生が総合型選抜での受験に二の足を踏む」一因となってきました。
(総合型選抜とは)
しかし、「探究学習」の時間が設けられたことで、アピールできる「特別な活動経験や活動実績」を、多くの受験生が誰でも、普段の高校のカリキュラムの中で手に入れることができるようになったのです。これを受験に活かさない手はありません。そして、これを高校1年や2年の段階から意識しておくことで、教科の成績以外の「学習に対する意欲や取り組み」を評価してもらえる総合型選抜によって、自分の成績よりもランクが上の大学に合格することができる可能性が開かれるのです。ですから、ただ漫然と高校の「探究学習」に「参加」しないでください。大学・学校進学後の学びや卒業後の将来像を明確にしながら、いわゆる「やらされ探究」にならないように、それに繋がる貴重な活動経験であることを意識して「探究学習」に主体的に取り組んで欲しいのです。そうすれば、その「探究学習」そのものが、極めて有効な「総合型選抜」の受験対策になるのです。
こうしたことを踏まえた上で、以下の3冊の本をみなさんに紹介します。これらの本を通じて、より有用な「探究学習」ができるはずです。
中高生のための 「探究学習」入門 (光文社新書)
高校生のための「探究学習」ワーク
高校生のための「探究」学習図鑑
まとめ ~「総合型選抜対策」として意識して「探究学習」に取り組もう~
本日は「『探究学習』を活かして総合型選抜にチャレンジしよう」という主旨の下で、それに役立つ本を紹介していきました。
タイトルにあるように、これは「高1・2生対象」の記事です。それは、「総合型選抜への対策は早期から取り組む必要がある」からです。受験生(高3生)になってから準備をし始めても間に合いません。今のうちから、自分が行きたい大学や学部・学科で総合型選抜が行われているかどうか調べて、その入試内容をリサーチしてください。それによって、学業成績が今一つ及ばないような大学や学校でも、「目的意識」や「学習意欲」、「将来像」を明確に持って総合型選抜で臨めばその志望先に合格できる可能性が生まれてくるはずです。そしてそれと並行して、「総合型選抜の対策」として意識しながら「探究学習」に取り組んでいって欲しいと思います。
〈参考資料〉
文部科学省
NHK静岡放送局
逆引き大学辞典WEB
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