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どうせ俺らは早く死ぬ

しめじです。
一番好きな乗り物は新幹線です。

なんとなく新幹線の中は考え事が捗りやすい気がしている。高速で過ぎ行く景色とゆったりとしたシート。穏やかなアナウンスが流れる中、客はみな「移動する」という目的のため物静かに座っている。あの空気感が好きだ。
いつかやりたいと思っているのだけど、ひと月とかの暇が出来たら適当な区間の新幹線定期を買って、延々と同じ区間を往復していたい。実家に強制送還されていた頃に定期を持っていたのだけれど、あれは最高の娯楽だった。

今日は野暮用で大阪まで出ていたのだけれど、またボン・ジョヴィの「It's My Life」を延々と流しながら乗っていた。一曲ハマる曲を見つけると2週間くらいヘビロテする癖があるので、まだ一週間くらい聞き続けられる気がしている。

「I ain't gonna live forever」というサビの和訳について考えていた。

It's my life,
it's now or never
I ain't gonna live forever
I just want to live while I'm alive

My heart is like an open highway
Like Frankie said, "I did it my way"
I just wanna live while I'm alive
It's my life

平易な歌詞ほど和訳するのは難しい。
直訳すれば「永遠に生きるわけじゃない」となるけれど、もっと近視眼的な、刹那的な意味合いを取り込まないといけない。

考えたってわからないが、本当に年老いたくないんだ
いつか死んだらって思うだけで胸が空っぽになるんだ
将来何してるだろうって
大人になったらわかったよ
何もしてないさ

だから僕は音楽を辞めた「だから僕は音楽を辞めた

一昨日思いついたのだけれど、ヨルシカの歌詞と意味合いとしては近いんじゃないかと思っていた。歌っていることは生と死で真逆なのだけれど。
いずれ死ぬと考えてみた時に、胸の内を吹き抜けるあの風がもたらしてくれる清涼感は、確かにどちらの歌詞からも感じられるものだと思う。
凍らせたスピリッツを飲み下してから、鼻で息を吐きだした時のように、心の中で優しく香って、ふわりと吹き抜けて穏やかな気持ちにさせてくれる。

前にこれを呟いたらあまり共感されなくて悲しかった記憶がある。もっともこれに共感できる人と共感してくれない人では、共感してくれない人の方が幸福なのだろうけれど。


それで、今日新幹線の中で思い出したのはクリトリック・リスの事だった。

どうせ俺らは早く死ぬ。
上裸のおっさんが叫んでる、よく分からない動画なのだけど結構気に入っている。本当によく分からないし滅茶苦茶なのだけれど、それでもなんだか楽しい気分になる動画だ。

It's My Lifeのサビもこういうことじゃないだろうか。
「どうせ俺らは早く死ぬ」。これを「ain't gonna live forever」に当てはめてみたとき、パズルのピースが嵌まったような感覚がした。
借りた言葉をそのまま使うのも癪なので「どうせ長くは生きねえよ」だとか自分で改変を試みてはいるのだけれど。

結局、人間が出力を出すには締め切りが必要なんだ、そういう事だろうと思う。いつか死ぬなんて忘れてノンビリ生きてたら何も残せない、そういうことかもしれない。
心が折れようと、初期衝動が消えてしまっても、おっさんになってしまっても、小説が書けなくなろうと、それでも。ain't gonna live foreverと呟いて手を動かさないといけないんだろう。
もっとも何か遺す人生である必要があるのか、というのは別の問題なのだけれど。まあ残せるか残せないかで言ったら残してみたい気概はある。


それにしても本当にいい曲だ。洋楽のいいところは意識しないと歌詞が読めないところだと思う。その分、音と声に集中できるというか。
シンプルでうるさくて、パワフルで開放的で、ただただカッコいい。

まったく、今になってボン・ジョヴィを知るとか、なかやまきんに君の動画を見て爆笑するとか、流行に乗るのがあまりに遅いのは僕のよくないところなのだけれど、それでも気付けて良かったと思う。これは逆に長生きした方がいい点の一つなんだろうね。



とりあえずは飽きるまでこの曲を聞いていたい。それから先は、のんびりぼんやり生きてることに気付くたび聞き返してみようと思う。
本当に良い曲だ。

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