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銅と硝酸の反応(2024/01/07 追記)

銅と硝酸の反応について、よく質問されるので、覚えておくことをまとめておきます。

2024/01/07
銅と硝酸の半反応式から反応式を作る方法が分からないという質問があったので、追加しました。
これで8とか4とか訳の分からん係数になることが理解できると思います。
あと、$${\displaystyle Cu^{2+}}$$ の誤記も訂正しました。

塩酸や希硫酸は水素よりもイオン化傾向の小さい銀や銅は酸化できませんが、硝酸は銀や銅も酸化できます。

希硝酸で銅を酸化すると一酸化窒素を生じます。
$${\displaystyle 3Cu+8HNO_3 \to 3Cu(NO_3)_2+2NO+4H_2O}$$ 

硝酸の半反応式
$${\displaystyle HNO_3+3H^++3e^- \to NO+2H_2O}$$
銅の半反応式
$${\displaystyle Cu \to Cu^{2+}+2e^-}$$

半反応式から反応式を作るためには $${\displaystyle e^-}$$ の係数を揃えて加えます。

硝酸の半反応式×2
$${\displaystyle 2HNO_3+6H^++6e^- \to 2NO+6H_2O}$$
銅の半反応式×3
$${\displaystyle 3Cu \to 3Cu^{2+}+6e^-}$$

$${\displaystyle 2HNO_3+6H^++3Cu \to 2NO+6H_2O+3Cu^{2+}}$$

ここで$${\displaystyle 6H^+}$$と$${\displaystyle 3Cu^{2+}}$$ が余ります。
硫酸酸性の水溶液と書かれていたら硫酸イオンで補うんですが、今は周りに硝酸がたくさんあります。
両辺に硝酸イオンを6個追加すれば反応式の完成です。

$${\displaystyle 2HNO_3+6HNO_3+3Cu \to 2NO+6H_2O+3Cu(NO_3)_2}$$ 

ちょっとかっこ悪いので$${\displaystyle HNO_3}$$を1つにまとめて、$${\displaystyle Cu}$$を前に出せば完成です。

$${\displaystyle 3Cu+8HNO_3 \to 3Cu(NO_3)_2+2NO+4H_2O}$$

一酸化窒素は、水に溶けにくく酸化されやすい無色無臭の気体で、空気中では酸化されて二酸化窒素になります…と、学んだと思いますが、実際は、銅と希硝酸でも二酸化窒素を生じています。
銅と希硝酸の場合は水溶液の溶質としての硝酸の濃度が低く、水に溶けやすい二酸化窒素が水に溶けて一酸化窒素だけが残ります。

濃硝酸で銅を酸化すると二酸化窒素を生じます。
$${\displaystyle Cu+4HNO_3 \to Cu(NO_3)_2+2NO_2+2H_2O}$$

硝酸の半反応式
$${\displaystyle HNO_3+H^++e^- \to NO_2+H_2O}$$
銅の半反応式
$${\displaystyle Cu \to Cu^{2+}+2e^-}$$

半反応式から反応式を作るためには $${\displaystyle e^-}$$ の係数を揃えて加えます。

硝酸の半反応式×2
$${\displaystyle 2HNO_3+2H^++2e^- \to 2NO_2+2H_2O}$$
銅の半反応式
$${\displaystyle Cu \to Cu^{2+}+2e^-}$$

$${\displaystyle 2HNO_3+2H^++Cu \to 2NO_2+2H_2O+Cu^{2+}}$$ 

ここで$${\displaystyle 2H^+}$$と$${\displaystyle Cu^{2+}}$$ が余ります。
両辺に硝酸イオンを2個追加すれば反応式の完成です。

$${\displaystyle 2HNO_3+2HNO_3+Cu \to 2NO_2+2H_2O+Cu(NO_3)_2}$$

こちらも$${\displaystyle HNO_3}$$を1つにまとめて、$${\displaystyle Cu}$$を前に出せば完成です。

$${\displaystyle Cu+4HNO_3 \to Cu(NO_3)_2+2NO_2+2H_2O}$$

二酸化窒素は、水に溶けやすく赤褐色で刺激臭のある気体で、水に溶けると硝酸や亜硝酸になります…と、学んだと思いますが、実際は、銅と濃硝酸でも一酸化窒素を生じています。
銅と濃硝酸の場合は一酸化窒素は酸化されて二酸化窒素になるので、二酸化窒素だけが残ります。