『ぼくらの☆ひかりクラブ』~少年たちの思い出~
2011~2012年出版(日本)
著作、古屋兎丸
ぼくらのひかりクラブ
光クラブは中学生の少年たちが集まった秘密組織で、帝王ゼラを中心として世界征服を目指していた。そのために必要なものとしてロボットを作り、さらにそのロボットで少女を誘拐する。だが、光クラブは内側から徐々に崩壊していった……。
この作品はその数年前、光クラブの結成時からの話にさかのぼる。
『ライチ☆光クラブ』の過去編。
『ライチ☆光クラブ』は、元々舞台だったものを漫画化した作品です。
『ライチ☆光クラブ』を読んだのは数年前で、最近、この作品を読みました。本編の感想もいずれ書きたいと思います。
決してこんな出来事があったわけではないけれど、子供のころを思い出してノスタルジックになる話でした。
世界征服、昭和チックな子供のころの話、ということで、『20世紀少年』を思い出しました。
また、世界征服つながりで『愛と幻想のファシズム』も。最初は気の合う仲間で作った組織なのに、どんどん人間関係の雲行きが怪しくなって……というところも狩猟社が被りました。あちらはタミヤ自身がゼラになってしまったような感じですが。
本編を読んだときはニコが好きだったのですが、今回過去編を読んでみて、カネダを好きになりました。
ニコがゼラを信奉することには、それに足る理由があるのだと思っていました。が、過去編の内容ではちょっと納得も共感もできなかったのが残念です。
タミヤと友達になれたのに、タミヤのほうがずっとニコのことを考えてくれていたのに、何でゼラに行っちゃうんだよ! と。よく考えろどう見ても胡散臭すぎるだろあのメガネ男は!!
タミヤにはカネダとダフがいたから。自分は一番になれないから……というのはあったかもしれませんが。それでも、あれほどゼラにのめりこむのには共感ができずその分彼の評価が下がった感じです。
本編でも思いましたが、いまいちゼラにカリスマ性を感じられなかった点が物足りなかったです。
「メガネ、黒髪、インテリ、根クラ、メンタル弱い、悪役、狂気」ということで、私の好きになる要素は揃っているはずなのですが……(笑)。
あまりにも非人道的だからだと思います。
ただし、「け、け、螢光中だからって馬鹿にするのか?」とか「タミヤぁぁ! チェスでは僕に勝てないくせにぃぃ」とか言っちゃっているところは好きです。
対して、カネダは本編では影が薄かったですが、過去編では出番が多く、キャラもよくて、私服を着ているだけでも笑いがでるほどお気に入りになりました。
光クラブといえば一番キャラクターが濃いのが「ジャイボ」です。ジャイボがヤンデレになった理由が明かされるかと思っていたら、最初から病んでいたでござる。さすがのゼラ様もドン引きするレベル。だがそこがいい。
描かれてはいないけど、ゼラもジャイボもニコも、同じようなさびしい気持ちを抱えていたのかなと思います。ジャイボとニコはその気持ちをゼラにぶつけたが、ゼラは自分自身を愛することにぶつけてしまった。それが最後の悲劇につながるのかなと。
個人的に一番やばい奴だと思ったのはデンタクでした。ゼラは中二病をこじらせすぎただけだと思いますが、デンタクには生まれ持っての狂気を感じます。
最後に番外編になりますが、四コマ劇場がかなり面白いです。